REオフステージ (惣堀高校演劇部)
034・部室棟が見える窓
※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改題改稿したものです

※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改題改稿したものです
へーーここがタコ部屋やねんなあーー!
「よかったら入りませんか」
千歳が勧めると「うん、ありがとう! よっこらせ!」と、ミリーは窓から入って来た。
「あ、ごめん!」
「わ! あわわわ……」
グニュ(#'▢'#)
間近に着地したミリーは、狭い床にタタラを踏んで、延ばした両手で千歳の胸を掴んでしまった。
「いや、ほんまにごめん(;'∀')!」
「あ、あ、ごめんはいいですから、手をど、ど、どけてください꜀(>д<꜀ )」
「ごめんごめん!」
慌ててどけた手を、握ったり開いたりするミリー。
「自分以外のオッパイ初めて触った……アハハ、なんやったら、うちのオッパイ触ってみる?」
胸を突きだしたミリーに、両手をブンブン振ってイラナイイラナイをする千歳。
「今からお茶にするから、空いてるとこ座れや」
「うん、おおきに!」
「えと、紅茶とコーヒーどちらにします?」
「うちはコーヒー、あったらミルクも砂糖も」
「おれもコーヒー」
「あたしは紅茶」
「はい、じゃ、これお茶うけです」
千歳は器用に身体を捻って、背もたれの後ろからお菓子の袋を三つばかり取り出した。
「千歳の車いすって、いろんなものが付いてるのねえ」
千歳は器用に身体を捻って、背もたれの後ろからお菓子の袋を三つばかり取り出した。
「千歳の車いすって、いろんなものが付いてるのねえ」
「電動にしたんで、ちょっと余裕なんです」
「えー、そうやったんか、気いつけへんかった」
「へー、どれどれ」
「あ、やだ、じろじろ見ないでくださいよー」
「そだね、ここ狭いから、今度、広いところで見せてよね!」
「え、あ、えと……」
「先輩、お湯が噴いてる!」
「わ、あわわわ」
いつのまにか、狭さが距離の近さになり嬉しくなってきた。
「ここから、部室棟がよう見えるんやねえ……」
いつのまにか、狭さが距離の近さになり嬉しくなってきた。
「ここから、部室棟がよう見えるんやねえ……」
コーヒーカップを両手で包むようにして、ミリーが呟いた。
「部室棟たすかってよかったねえ」
「ほんまや、こんどばっかりはアカンかと思たもんな」
「汚い建物としか思ってなかったけど、すごいものだったのね」
「わたしもビックリです、なんかの縁でしょうねえ、ひいお祖父さまの設計だなんてね……」
「補強すんねんやろか、解体修理するんやろか」
「ここから、ゆっくりと見届けですねー」
そこまで聞いて、ミリーが振り返った。
「ね、うち、演劇部に入れてくれへんやろか?」
「「「え(゚д゚)!?」」」
「部室棟が、どないなっていくか、ここから見てみとなってきたよって」
「お、おう!」
そこまで聞いて、ミリーが振り返った。
「ね、うち、演劇部に入れてくれへんやろか?」
「「「え(゚д゚)!?」」」
「部室棟が、どないなっていくか、ここから見てみとなってきたよって」
「お、おう!」
「いいじゃん!」
「ぜひとも!」
度重なる危機と妥協と思惑の末に、演劇部は定足数の四人になった……。
度重なる危機と妥協と思惑の末に、演劇部は定足数の四人になった……。
☆彡 主な登場人物とあれこれ
- 小山内啓介 演劇部部長
- 沢村千歳 車いすの一年生 留美という姉がいる
- ミリー 交換留学生
- 松井須磨 停学6年目の留年生
- 瀬戸内美春 生徒会副会長
- 生徒たち セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長
- 先生たち 姫ちゃん 八重桜 松平(生徒会顧問)
- 惣堀商店街 ハイス薬局