大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『レ・ミゼラブル』

2012-12-23 08:07:13 | エッセー
タキさんの押しつけ映画評
『レ・ミゼラブル』


 これは、友人の映画評論家滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので本人の了解を得て転載したものです。


 ヒュー・ジャックマンとラッセル・クロウそしてアン・ハサウェイに神の祝福あれ。

 素晴らしい映画でした。まだ感動が身体の中に収まりきらない。とはいえ、万人にお勧めはしない。まず、キャラクターがいきなり歌いだす形式が苦手な人には苦痛だろう。冒頭から全体の1/3位までは ものすごいダイジェスト感がつきまとう、舞台だと(東宝舞台)同じ事をしていても そうは思わないが映画だとその様に感じる。一人一人がクローズアップされるので 作品世界に入り切る前だと表情のみに気を取られるからだろう、その意味、舞台のほうがスケール感があり、冒頭から観客を飲み込んで行く。
 この部分を乗り切って、1832年 革命前夜のパリに行きつければ、後には間違いなく感動が待っているのですがね。

 ユゴーの原作を読んでいる方には説明不要、舞台をご覧になった方も同じく。本作で初めて“レ・ミゼラブル”に触れられる方へ……当時のフランスの歴史など全く知らなくとも構いません。原作は間違いなく、そのフランスの歴史に根ざした物語ではありますが、その中心にあるのは人間の魂の尊厳・救済・浄化です。
 アニメ「フランダースの犬」のラストに涙する感性さえあれば無問題です。
“ミッズ”のストーリーを尚更に語るのはやめます、あまりにも無粋ですから。舞台に比べて映画の方が感動的に見える部分があります。それは先述とは逆に、キャラクターのアップによってもたらされる物です。 ジャン・バルジャンを執拗に追うジャベール警部の内実が 彼が選ぶ自己の身の処し方と共に分かりにくいのが舞台の弱点でもあるのですが、本作では一点の誤解も無く伝わってきます。それどころか、ユゴーの思惑さえ超えて ジャベール自身の浄化にも思い至ります。
 この映画で一番泣かされるポイント…3ヶ所(?)…コゼットの可憐、、、ブ~~!!ち~がいま~す。エポニーヌ(コゼットが預けられていた宿屋の娘)のマリウスに向けられる純愛、それはもう一切、混じりっけのない、正真正銘、天下無敵の純愛。神は時にとてつもない喜劇を演出され そしていきなり幕切れを見せ賜う…… 第二、革命の前章なる学生達の純粋、あまりにも無計画、無鉄砲、状況判断の甘さ……市民に見捨てられ、遺骸をさらすのだが……志しはあまりにも気高く、またあまりにも愚かしく、当然にして滅ぶ。その潔い馬鹿さ加減が美しい。そして最後は、全て受け入れられ、明らかになり愛する者の幸せを確信して旅立つジャン・バルジャンの笑顔、ファンテーヌが感謝と共に迎えにやって来る。 ジャベールの最期に涙を捧げてはならない、それが彼に対する礼儀。

 そろそろ引け時、書きたい事は10倍あるけどキリがない。後は映画館で堪能して下さい。パンフレットは購入必須、見事な解説が載っています。 来年、新演出の舞台があります。これは必見! 大阪は9月からフェスティバルホール…う~ん、新しくなったフェスティバルも魅力的だが 待ち切れそうにないので5月からの帝劇に行きてぇ!


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