KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★おにぎりの“心”

2005年09月09日 | KAORUの好きなものギャラリー
【トマトソースのビン】

「おにぎりはね、ぜったい地方色豊かな食べ物だと思うのよ!」
と花の同僚、EMIKOさんは言う。

今や、すっかりコンビニのおにぎりが文化となり、
流通システムの発達から、日本の味がずいぶん
画一化されてきてしまったのではないだろうか。
その分、別の捉え方をすれば食生活も豊かになり、
全国津々浦々だけでなく世界の味も楽しめるようになった。

でも、ほんの少し前までその土地ならではの
「ご当地おにぎり」が“母の味”として
それぞれの台所を支えていたにちがいない。


「うちのだんなは九州出身だから“しゃけおにぎり”は
食べたことがなかったらしいの」とEMIKOさんは言う。

なるほど寒い地方の“鮭”は、南では
あまり馴染みのない食材だったらしい。
山口県出身の人でも、こちらに来るまで
そういえば記憶にない、という。
本州でもどのあたりまで“しゃけおにぎり”は
スタンダードなのだろうか?
年代にもよるのかもしれないと思い、
念のために戦中生まれ、大阪出身の母に聞いてみたが
上京してからその存在を知ったという。

でもそうだわ!カリカリに焼いた
“たらこおにぎり”は大好きだったわ~!と
懐かしそうに話しているところをみると、
ということは、流通システムに関係なく
“しゃけ”は西日本ではおにぎりの具として
受け入れられていなかったようである。

では何がオーソドックスな具材かというと、
“梅干”,“昆布”

このふたつは時代と地域を越え、
日本全国に分布しているようだ。
そして、“おかか”も圧倒的なポピュラーさを誇る。

興味深いのが、東北から北海道にかけての代表的な味、
“すじこおにぎり”。
遠足や運動会といえばこれが家庭の味なのだそうだ。

これはすぐに食べると生臭くていけない。
アツアツのご飯で握るとちょうど昼頃、
適度に“すじこ”の周辺に汁がにじんで、赤くなる。
まさにお昼時が食べごろとなるそうだ。
北日本出身の人は、上京するとコンビニで
この“すじこおにぎり”を無意識に探すそうだが
見当たらなくてがっかりとするのだとか。
もし出ても、冬のわずかな間なのだということを
思い入れのない、他の地方の人は知らない事実だろう。

長野県あたりは野沢菜のおにぎりなどお漬物が
はいったスタイルや、味噌や醤油であぶった
焼きおにぎりなどちょっと聞くだけでも、
思い出深い家庭の味の話に花が咲く。

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そして、一番多かったエピソードが“形”についてだった。

「うちのお母さんは三角が握れないのよ、
でも私はできるけどね!」

この意見はわりに多かったのが不思議だ。

「母はなんで三角形ができないのか、
よくわからないわ…」
「ただ単に手のひらをくの字に曲げて
三角にするだけよね?」
…という、なんでこれができないのか理解できない
“疑問派”

「私は丸い形が握れないの。俵型も苦手なの。」
「どうやったら丸いおにぎりができるのか
わからないのよね」
「ふわっと握るのがいいらしいけど、
母のように上手にできないの」

…など、形に対する“コンプレックス派”

さまざまなところで、チャンスがあると
リサーチしてみたが
最終的に“形”の所に話題が行きついてしまう。
「味に対する思い入れ」よりも、
「形に対するこだわり」のほうが強いようだ。

つまり食材は地域や時代、流行などに左右される
流動的な要素を含み郷愁のような懐かしさを
大切にしつつも、手に入らなければ
なんとかそれなりに受け入れて慣れてしまうようだ。

でも自分が、あるいは母が握る“形”
となると、急に熱が入る。

日本の食文化を支える「おにぎり」はその言葉通り
“愛情”を握っている。
そして“心を結んでいる”「おむすび」なのではないだろうか。

そうそう、ちなみに息子には内緒だが、
お弁当でおにぎりを結ぶ時、
「大好きだよ!」という気持ちも
一緒に込めて握っている。

すっかりと大きくなった多感な彼を
ギュっと抱きしめることも、チュっと
することもないかわりに、“おにぎり”が重要な
親子のスキンシップの役目を果たしてくれている。




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