メインのアーユルヴェーダを後にしたのは
きっと、一番好きなもの、おいしいものや、
重要なことは最後にとっておく、という
私の性分が大きく采配しているに違いない。
時にそれが災いするコトだってある。
後回しにしておいたために、
または、
大切にとっておいたがために
時間ギレとなり、中途半端で終わって
あ~、もっと早くに先にしておけばよかった~!
と後悔してしまう場合は数え切れないほどある。
おなかいっぱいになりすぎて、
充分に味わえない場合もある。
でも、そんな数々の失敗にもメゲず、
というか懲りずに、
やっぱり本題は最後にするのが
私のお決りコース。
今回は、なにしろボディメンテナンス“肉体改善”が
最重要課題だったので、
ゆっくりと気分を集中し、専念するためには
後から思いついた「ガールズホーム」訪問から始めよう。
クルネーガラ(スプートニクのガールズホーム)2泊
↓
キャンディ(HOTEL「Tree of Life」)1泊
↓
ベルワラビーチ(アーユルヴェーダ)10泊
そんなプランでいこう!と決め、
スプートニクの関係者の方に
慌ててメールをいれたのが出発2週間近く前。
3泊目はキャンディにある
HOTEL「Tree of Life」に泊まってみたかった。
原宿のアロマセラピーのお店「生活の木」の社長さんとは
以前からご縁があり、それがきっかけで
スプートニクにも、孤児院設立にも
参加させていただいたという経緯もあり
旅行会社を通さず
「Tree of Life」に宿泊したいのですが…。と
直接メールを送り、社長さん直々に
現地の予約を入れていただいたのが、
(涙~!ホントにすばらしくて良い方なんです~!!!)
出発の数日前。
後半の予定は、ツアーという形で決まっていたものの
最初の3日は、きっとなんとかなるだろう、と思って
ギリギリになったけれど、やっぱり、予想通り♪
日ごろの人間関係作りや信頼関係が、
いざという時、こんな時、
大きなチカラを発揮してくれる、と改めて思う。
それは、小さな小さな積み重ねであり
一朝一夕には出来あがらない。
この人は、どんな人なのか
一瞬でわかることもあれば、
ガッチリと向かい合って相互理解を深める場合もある。
または、あいさつ程度の短い時間を、
長い年月の間繰り返すことで、
短期間ガッチリと向き合うのと同じくらい
「この人なら信頼に値する」とどこかで
感じることもできるのが、私たちだ。
お互いに特別に深い話をしたことがなくても、
ちょっとしたなにげない一言で、
またはメールの文面から、
この人なら安心。という気配は察知できるものだ。
それは、動物的な嗅覚や勘に近いと思う。
ある本に、
「結婚サギが成功するのは、騙されたがっている人間も
世の中にはいるからです。彼らが成功する範囲は
意外と狭くて、ある種の心理状態の人しか
ひっかからないのですが、
そういう状態の人を見抜くのに長けていて、
だから同じ人が2度も3度も騙されたりするのです。」
というようなことが書いてあったことがある。
この人は自分と同じ匂いがする。という感覚や、
まったく違う世界の人だ。と思うのは
現実や現状、理屈や理論を超えて、
頭で考える理解を遥かに超えて
魂の奥深いところでの、超感覚によるものが多い。
だからうまく説明ができない。
そして実際にはフタを開けてみないと
わからない場合も、また同様に多いものだ。
ドンピシャ!と思う場合も多いけれど、
もちろん、期待ハズレのコトや
こんなはずじゃなかった。最初はいいと思ったのに…なんて
泣きたくなるようなできごとだって、
数限りなく訪れる。
それでも、どんな結果でも
やがてはそれを受け入れ、昇華し、
次にコマを進めるために、
くじけそうになりつつ
結局、また自分の直感を信頼し続ける。
その繰り返しが、人生の
大きなくくりでの“ルーティンワーク”だ。
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そんな、私の直感やら思惑、無意識の計算通り(?)
順調に旅の準備が整い、
12月5日、飛行機は成田からモルディブのマーレへと
空に向かって翼を広げた。
飛行機はスリランカ航空。
後から聞いた話だと、対応がイマイチとか
機体が古いだとか、それには乗りたくないから
なんとしてでも別の飛行機会社で!となかば意地に
なっている人もいたが、
私は、別に大丈夫。
確かに微妙に壊れているところを発見したり
食事のワゴンの反対側から食事のトレーが飛び出して
お客さんが慌てて、押さえる場面などがあって
これは日本の航空会社ではないよな~、なんて
思ったりしたけれど、
数々の飛行機に乗った思い出を振り返ると、
長時間のフライトで疲れたのだろう、
キャビンアテンダントが座席のいくつもを
使って横になり眠りこけていたり
(すごく若い時だったので、当時は経験がなく
そんなものかと思っていた。)
フライトが始まると、自分も座席に座り
ポテトチップスをムシャムシャ食べ始めたり…なんてコトもあり
日本のハイクォリティなサービスとはまた違う
事例を何度か目の当たりにしていたから
多少のデコボコなんて、あんまり気にならない。
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飛行機は、比較的すいていた。
それでも窓側はすべて埋まっていて
窓からの風景を見たい私は、
通路側だったのを確認すると
すぐに、もし空きがあるようだったら
窓座席に移動していいか、と聞いてみると、
エキゾチックで、丹精な顔立ちをした
スリランカ美人のキャビンアテンダントが、
全員が乗り込んで確認してから、お知らせします。
と答えてくれた。
機内アナウンスが流れ、
静かに動き出すと、私の席まできて
OK!と後方の座席を指差した。
離発着の時に、キャビンアテンダントが
一時的に腰をかけるシートと向かい合わせになっている
後方、一番前の座席である。
折りたたみのシートは
フライト中は壁面にたたまれるため
前には少し広めの空間があり、
足を伸ばすことができる。
前後に座席があるよりも
ゆったりとしていて、窓も見られるし
よかった。と思った…のだが
前方とは少し雰囲気が違う。
最初はよくわからなかったのだが
後から気がつくと
私のもともとの座席は、
日本人で固められていたのだ。
でも、後方はさまざまな国の人たちが
乗っていて、言語ばかりでなく
体臭も、衣服も、なんとなく違う。
日本人ばかりであることは、
こんなにも当たり前であり、安心できて
空気のようなカンジである
ということを、席を移動して初めて気がついた。
急に海外モードになって、
気が張ってくる。
やはり、どんな国でも
一歩外にでると、気を抜かないようにしている。
かといって緊張しすぎても疲れてしまう。
ほどほどに、いつも気を引き締めつつ
海外の文化や気配を楽しむのは、
国内旅行とはまた違った神経の張り方だ。
それは、いい旅にするためのルールというか法則で、
どこまで異国の人々を
信頼し、どこまで疑うのか、
そのアンテナは自分の感度にまかされている。
疑ってばかりでも、恐くてなにもできないし、
この世に悪い人なんかいない!と思っていても
やっぱり、限度がある。
どんな人と出会い、どんな日々を過ごすのか
それを“運”と呼ぶのか、“引き寄せの法則”と
呼ぶのか、“偶然に見せかけた必然”となるのか
わからないけれど、
なるべく、避けられるアクシデントやハプニングは
最小最低限に、低く低く抑えたい。
だから、
窓際に移動したことを、さすがの私でも
ちょっとだけだけど、ホントに少しだけど
よかったのかな?あのまま座っていた方が
いいのかしら?という思いが頭をかすめた。
そうはいうものの、窓のそばは離れがたい。
太陽が眼下に沈み、燃えるような赤が
だんだんと消えていくさまは、
自然の織り成す本物のムービー。
食事が終わって、夜になり
機内の明かりが消えると
いつしかウトウトと眠りについた。
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しばらくして、ふと目が覚めた。
右斜め前、
中央側の座席には、若いカップルが
イチャイチャのベッタベタで
手をつなぎながら、ずっと寄り添って座っていた。
会話は聞こえなかったけれど
ショッキングピンクのTシャツと
真っ黒のでっかいサングラス。(←機内でもそのまま)
それからミニスカート。
ヴィトンのカラフルバージョンのでっかいバッグ(←本物かどうかは…?)
カップルお揃いのペアキャップ。(←黒にショッキングピンクのデザイン)
そして、あの密着ぐあい。
たぶん、日本人ではないよな。
今どきの若い日本人カップルはもっとあっさりしてるし。
コリアンか、チャイニーズか…。
どちらかは定かでないけれど、
とにかく、いつも視覚の片隅に
モゾモゾと動いていた。
そんなアツアツカップルも、
頭と頭をくっつけ、体を寄せ合って
眠っているような時刻。
座席後方から、ターバンをまいて、
よくテレビでみるようなベストと
ダボっとしたズボンをはいた
男性が私の横を通り過ぎ
そして、目の前の少し空間のある場所で
立ち止まった。
あたりを軽く見渡し、
それから、ふたたび前方の席へと
歩いていったので、
気にも留めずに、私は目を閉じた。
ほどなくして、
スパイシーな体臭がしたような気がして
目をあけると、ターバンの男性が戻ってきたのだった。
しかも、同じような格好の人がさらに2人。
手には、小さい一人用のじゅうたんを持っていた。
おもむろに、私の足元に敷くと
静かに座った。
しかも、座席に対して右斜め45度。
方位磁石でも持っているのだろうか、
どちらかの方角を目指して
おごそかに3人の男性たちが
手を伸ばし、祈り始めた。
あ~、こういう光景
テレビでみたことある~!!!
地面におじぎして、いっせいにお祈りしているの。
でも、これ今、空の上なんだけど・・・
しかも私の足元のすぐ横で。
足、ゼッタイに動かせないよね。
そう思って、じょじょに右側前方に
視線を前の人に持っていくと、
やっぱり~!
あのイチャイチャカップルの足元まで
潜入している。
しかも、ベタついたまま
おかいなしに爆睡。
つまり、私の足元からカップルの足元まで、
ゴツイ体格の方たちが3人、
ところ狭しとじゅうたんを敷き詰め
大マジメに神様に向かってひれ伏してる構図である。
となりにはパキスタン人のグループが座っていた。
お祈りをしていた人々とは
無関係の人種と信仰らしく
右斜め前のカップル同様、熟睡体制。
異国の者同士が集まった
そのシュールな光景が
眠たい私の目の前で繰り広げられていて、
まるで飛行機の中は
空飛ぶじゅうたんのようだった。
海外への旅はそうこなくっちゃ♪
なんて思いながら、
ふたたび、ウトウトと浅い眠りについたのだった。
モルディブでスィートな時間を過ごす
大量の若いカップルたちがマーレで降り、
機内の平均年齢はぐっと上がった気がする。
さらに飛ぶこと2時間弱。
10時間以上の空の旅時間を終えて
スリランカのコロンボに到着したのは
夜中の12時過ぎ。
入国手続きを済ませて
旅の相棒、スーツケースとともに
表に出ると、メールでやりとりをしていた
日本人スタッフのSさんが
待っていてくれた。
いよいよ、
スリランカでの一歩を踏み出した。