KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★「光の中のスリランカ」第三話“光り輝く島の世界観”

2012年01月12日 | 旅の物語


すっかりと眠りに落ちた夜更けの
静かな街を走ること2時間。
真っ暗な、色のない世界に
まばらな街灯とヘッドライトが
わずかに行く道を照らす。

しばらくすると2匹の野うさぎが
ピョンピョン、と跳ねながら
道を横断する姿を発見。
まるで、歓迎の“ウサギのダンス”を
見せてくれているようだ。

運転をしていたスリランカ人も
ウサギは珍しいという。


2週間の間、
野生の動物たちにあちこちで出会った。
スリランカは、野や山、海、
自然と動物が人々と上手に共存している
優しい国なのだと思う。

カーレースゲームのように
追い抜いたり、追い越されたり
激しい運転バトルや、賑やかなクラクションが
鳴り響く喧騒の道路。
気が荒いのかと思うと、決してそうでもない。

家路に向かっているのだろうか?
首輪をつけた牛が数頭、
誰に引かれるのでもなく横断すると、
安全に渡り終えるまで、ゆっくり気長と待っている。


2匹の犬にずっと吠えられて
海に入ったまま砂浜にあがれず怯えていた野良犬を
かばうように吠える犬たちを追っ払っていた光景。


駐車中のトゥクトゥクという三輪車タクシーの屋根で
ノミとりをしていた猿の親子。

その様子を写メするスリランカ人。
こっちでも珍しい光景なんだ。
私と一緒になって写メっている姿に
ちょっとビックリしたり。





ゾウを連れてゆったりと歩く老人。

「なんでゾウがいるの?どこ行くの?」と
車に乗っている人に聞いたら
知らない。と答えるので、
知らないことにちょっと驚いたり。


バーベリンで参加した川をめぐるボートツアーは
川に生息する野生動物の宝庫だった。

ワニ、オオトカゲ、青や白、黒くて美しい鳥たち。



  


マングローブのうっそうと茂る森を
ボートで入っていくのだが
それは、まるでジャングルクルーズ。

これって本物だよね~!
とワクワクする。




ボートのお兄さんが、
「ゾウが出てくるかもしれないから気をつけて!」と
注意を促す。
太陽の光がわずかに差し込む
マングローブのトンネルの下、
細い水路をゆっくりと進み

ようやく抜けると
「よかった、ゾウが出てこなくて!
今日は日曜日だから、ゾウはお休みみたいです。」と
ナイナイの岡村似の陽気なお兄さんは
マジメな顔でみんなに伝えた。

しばらくして、
ひとつの疑問が浮かんだ。

あんなに水が深そうで、
歩くスペースもないようなところに
どうやってゾウのファミリーが生息しているんだろう?

そう思って聞くと、間髪入れずに
「ジョーク!ジョーク!」と
歯を見せて、ケラケラ笑う。

日曜日だからゾウが休みなんて
まるでディズニーランドのお約束のセリフだったんだ。
思わず私も吹き出した。

だけど、7~8人の同乗者のうち
3人が日本人。残りがドイツ人。
マジメな人種が揃っていると
思いっきりみんな真に受けて、
ボケとツッコミは成立しない。

しかもドイツ人は、
アーユルヴェーダヘルスセンターで
毎日支給される決まった時間に飲む薬を
しっかりボートにお白湯とともに持参し、
午後4時になったら、景色も説明もおかまいなく
いっせいに飲み始めた。

さらに他のボートに分散した仲間からも
自分の腕時計を指差し「4時よ~!」と
声を掛け合っていた。
「わかっているわ~!もう飲んでいるわ~!」
そんな会話が大きな川の上でやりとりされている。

こんな状況でも忘れないんだ!
さすがドイツ人。きっちりしてる。

ビックリして薬を指差し「Wao!」と私が驚くと


「だって私たち、ドイツ人だもの!」と誇らしげに言い

「イギリス人は時間にルーズだから一緒にいられないわ!
その点、日本人は私たちと一緒だものね!」と言う。

私は薬の時間も4時、6時、7時…って書いてあっても
いろんなイベントに参加して遅れてしまうと
え~い!まとめて飲んでしまえ!となってしまうし
そのうち適当になってアバウトなO型の私は、

時間の感覚も、そうでもないから
ドイツ人と同胞に思われても、ちょっと違うなあ~。
と戸惑ってしまう。


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そのほか、まだまだ動物たちはいっぱいだ。


屋根や木をつたって、元気に動き回るリスたち。

牛乳を取るためか、ほとんどの家で飼われていた牛。
そこにかならずといっていいほど、
近くにいる小柄な白い鶴。(牛についている虫を食べるらしい)

さまざまな動物たちと
さまざまな人種が同居し混在し、

それをゆったりと受け入れる
スリランカの人々の大らかさ。

その空間と空気が、
気づかないうちに忙しい毎日で
自分を見失いかけていた私に、
忘れかけていた大切なことを思い出させてくれる。


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スプートニクの国際交流会館に到着したのは
夜中の3時近くだっただろうか?

Sさんは温かい紅茶を入れてくれた。

スリランカで最初に口にした本場セイロンティ。

その後、何杯飲んだだろう。
それは日本に戻ってからも、続いている。

毎朝、温かいセイロンティから一日が始まる。



ほっと一息ついて軽くシャワーを浴びたあと、
ベッドを蚊帳で囲むと、そのまま深い眠りに落ちた。


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翌朝、併設されている
「SPUTNIK 日本語学校」の授業を見学していいですよ!と言われて
そっと教室を覗き込むと
日本に留学を希望する20歳ぐらいの若者が
テキスト片手に一生懸命勉強している。

小学生が一斉に声を揃えて
教科書を読むようなスタイルで、
なんだかカワイイ。

私が気になるらしく
時々、振り返る子もいる。

まさに自分の息子と同じ年代。
オーストラリアにいる時には
こうやって学校で異国の言葉を勉強していたのかな?
そんな姿と重ね合わせて
授業参観気分である。

そして、
自己紹介を日本語でお願いします。と言われて
先生に前に呼ばれた。

生徒たちの目はキラキラと輝いていて
好意的なまなざしで私を迎え入れてくれた。




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聞いた話によると、
スリランカは仏教徒が多く、
なかでも「小乗仏教」に分類される思想で、
「“輪廻転生”を皆信じていて
いいことをすると次はいい人生になる。
できれば、もう生まれ変わりたくないから
出来る限りいいことをする。」のだという。

「自分のことしか考えていない、といえば
そうですが、それがいいのかそうじゃないのか別として
だから、みんな本当にいい人たちですよ!」
来世のことを考えて、悪いことはしない。という発想らしい。

日本の「大乗仏教」はどちらかというと
個人の幸せよりも「世の平和」を願うスタイルのように
記憶しているが
(定かではないけど、学校のときに習った
うろ覚えによるとそんな感じだったかな?)
その思想もいつの頃からか、
「自分より他人を大切にする」という
自己犠牲的な要素があるのを
敬遠されたからなのか、影が薄くなって
形だけになりつつあるような気がする。

(でも、今の日本は宗教の教えからの「世界平和」という観点でなく
なんのくくりもない形で、平和への願いや意識が
少しずつ進行しているのではないかと思う。
もちろん、いつの世も願いは同じだもんね。)

スリランカの人々は、それよりも
最も大切で興味のあることは
未来の自分の極楽浄土や輪廻転生のようだった。
でもそれがお互いを助け合い
安心できる土壌を生み出して
結果は同じところに行き着くのである。

だから、なのだと思うが
貧しい国だ、と本人たちは言いながら
不思議なことにストリートチルドレンが
まったくいなかった。


「お恥ずかしい話ですが…」

流暢な日本語でSPUTNIKスリランカの理事さんは
「スリランカには400もの孤児院があります。」と教えてくれた。


私はストリートチルドレンがいない、ということのほうが
誇れる話なのだと思う。

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昼過ぎに授業が終了すると
私は、ふたたび荷物をまとめて
車で5分ほどの「SPUTNIK ガールズホーム」へと移動した。





ここから“天使たち”と過ごす短い、
でも心に残る時間が始まるのである。







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