55回目のバースディケーキは自分で手作り♪
前日の買い出しで、
明日のケーキどうする?
好きなのここから選んで!と言われて、
レジ前の冷蔵ケースに無造作に置かれた
プラスチックケースに入っている
カットされたケーキをチラッと見たけど…
ん〜。頭の中で味をシュミレーションしてみる。
きっと食べきれなくて、
少し食べて結局捨てちゃうんだろうな。
そう思ったと同時に
自分で作りたい!と言っていた。
でも自分の誕生日ケーキを自分で作るなんて、
なんか申し訳ないわ…とマリアは言うけれど
美味しいケーキ屋さんのなら嬉しいけど、
スーパーの何日も前から置いてあっても
不思議ではないのをわざわざ買うくらいならなぁ。
それに時間もたっぷりあるし♪
じゃあ、
食べたいケーキを自分で作ったらいいよ、と
言ってくれて生まれて初めて、
自分のために手作り。
ハッピーバースデー、ワタシ。と
言いながらイチゴたっぷり、
大好きなショートケーキを。
ディナーは何が食べたい?
ブロッコリーロブ
(菜の花のようにつぼみのついた
茎の細くて長いブロッコリー。ほろ苦い味)と
イタリアンソーセージの
オレキャッティが食べたい!!!と即答。
これは、マリアもリオもジョニーも
ファミリーの誰が作っても
美味しい大好きなイタリアンごはん。
お父さん側のファミリーが
イタリアのかかと部分の
Puglia プーリア出身で
この地域の料理なのだそう。
ミラノ風、ローマ風、ナポリ風…は
日本でもなじみがあるけれど
プーリア風は聞いたことがない。
だからか、このパスタもここに来てから
このファミリーに教えてもらった味。
生のイタリアンソーセージの皮をはずして、
中味だけを取り出して使うのがポイント。
そっちの方がソーセージの味がよく出て
美味しいのよ、という。
道ではイタリアのお母さんたちが
細長く伸ばしたパスタ生地を包丁で
トントンと切っていくそばから
同時にもう一つの手で耳たぶ状に形づくる。
まるで機械のように
ものすごい速さなのよ、
それが日常のよくある光景だったのだと
教えてくれた。
ハウスの中を大掃除しながら
思い出の品が後からあとから出てきては、
マリアはファミリーの懐かしい話を聞かせてくれる。
Kaoru !見てコレ!と興奮して リオが持ってきたのは古いロシア語の書かれたボトル。
中にハーブが一本入っている。
お父さんがロシアからの送ってくれた
おみやげをどこからか見つけた様子。
何十年前のものなのか検討もつかない、という。
Googleトランスレートのカメラをかざし、ロシア語から英語に翻訳してみると、ワインと書いてあるらしい。
そして、箱の片隅には小さなゴム製の、青いタコのオモチャが入っていた。
紙きれには、青いボールペンで
まだ壁を落ちていってくれるといいんだが。
壁に向かって思いっきり投げてみて。
と直筆のメッセージが添えられていた。
お父さんの言葉通り、
2人はまだネバっとしたゴムのタコを
思いっきり壁に投げて遊び始めた。
お父さんは去年、90才でこの世を去り
還暦を過ぎた子どもたちが、
思いがけないギフトで
時を越えて親子に戻る。
一方私は、
小さい頃に大阪の叔母が作ってくれた
手作りショートケーキの味を思い出していた。
素朴だけど子ども心に衝撃的な美味しさだった。
当時は甘くて固い
バタークリームのケーキが全盛だったから
幼い私にとっては初めての
生クリームの柔らかいケーキだったのだ。
それから叔母の影響で私たち姉妹は
小学生の頃から自分たちで
お菓子作りを始め、今に至る。
あー、あれからあんなにお菓子作ってきているのに
なんでふわっとできないんだろう?
ツノがピンと立つまで泡だてたのに…と
思いながらも味はやっぱりおんなじように
素朴でおいしくできた♪
こんな時だからこそ、家の中にいて
家族の愛を思い出す。
昔の記憶も、今近くにいる家族も、
海を越えて離れて暮らす家族たちも。
そして、朝からマリアには
ひっきりなしにいろんな人たちから電話が鳴り、
片づけの手を中断してはおしゃべりしている。
ひとりで暮らす友だちたちが、
外にも出られなくて誰にも会えず
淋しいからみんな電話かけてくるのよ、と 肩をすくめて私に言う。
家族だけに限らない。
友だちだって、みんなみんな繋がっている。
いつ終わるかわからない今を
少しの楽しみを日々見つけながら、
未来に向かっていくしかない。
昨日の庭掃除で
ちょっとカラダが痛いけど、
またそれも楽し。
今日もまた掃除モード。
そしてゆっくりとした時間を
大きな自然の中で♪