KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★プライスレスな時

2020年03月29日 | Time in ニューヨーク
風になびく霧雨のカーテン。
音もなく丘に、林に 
流れていくさまも美しい
小雨模様の日曜日のペンシルバニア。

さっそくに、ブロンクスのアパートメントから
持ってきてもらったミシンでソーイング。

マムが愛用していたという
キルトのベッドカバーに
穴があいているんだけど
捨てるにはもったいないのよ。

Kaoru、ちょっと2階にあがって見てくれる?
これ修理できるかしら?とマリア。

同じ生地を使った4つある
ピローケースの1つを使って
(パッチワークのように埋めていけば)
なんとかなりそうかしら?

ベッドの上に広げられた美しく華やかな色のカバー。
大きく破れた穴からは驚くことに
ナチュラルなコットンがのぞいている。








その昔、子どもの頃にお布団が破れると
こんな感じのよれた綿花が
のぞいていたのを思い出した。

今どきのキルトの中味は化繊の素材か、
羽毛か。だから生成りの天然コットンが
こんなに使われているのを
久しぶり見たような気がする。

確か、アンソロポロジーだかどこかの
ブランドだったと思うわ。

マムのお気に入りだったのよ、と言う。

素敵な色づかいは見ているだけで
気持ちも明るくなっていく。

ピローケースに思いきってハサミを入れ
糸をほどいたり布をはずしたりしながら
それぞれのパーツに一度バラバラに戻して

それらをもう一度破れた場所に当てて
ひと針ずつ修復しながら
新しい命を吹き込むような作業。








マムとはここで一緒に過ごすことは
できなかったけれど、もう一度
紡いで繋がっていけたような気がして。










100年も前に建てられたのだという
この美しいハウス。
15年以上前からここで休日を過ごしていた
というファミリーの思い出が
あちこちに散りばめられたこの場所。

今日は朝から、倉庫を大掃除。
ホコリだらけになって気がついたら
2時を回り、おなかがすいて
ランチを食べようと思ったら停電。

この辺りは良くあるんだとか。

テレビもネットもなくて
細かな霧雨に包まれてさらに静かな時間。

日が落ちて冷え込む前に
なんとか間に合うといいけれど。 と
願っていたけれど、結局キャンドルの光で

私は味噌汁ごはん。
2人はバーベキューグリルで
ハンバーガーとホットドッグ。
緊急時にはそれぞれの国の代表料理で
しのぎたくなるものらしい。

昨日はご飯とサバの塩焼きとワカメスープと
和風ドレッシングのサラダ。
それから小芋のスパイシーグリル。

今日のディナーはマリアが
ボロニェーゼ(ボロネーゼの発音通りに
カタカナにするとボロニェーゼ)
の予定だったのに。
3時間ほどコトコトと煮詰めていく
定番のイタリアンおうちごはん。

ミートソースのようだけど、別モノ。
このボロニェーゼにかける
気合いというか、意気込みやこだわりが 
ハンパない。これは明日のお楽しみに。

私は日本の家庭料理、韓国風や中華を。

マリアとリオはイタリアン、メキシカン、
南米やトルコ料理など
それぞれの得意料理を気が向いた人が作る
のもまた楽しみのひとつ。

そして毎日、ブレックファーストの後に
掃除やら本を読んだりメールをしながら

お昼前後から始まる州知事の
クオモさんの会見を聞くのが
すっかり日課になっている。

淡々と現在のニューヨーク州の状況と
対処法を述べた後に、

ニューヨーカーたちに呼びかける言葉は
とてもシンプルで英語を母国語としない
私のような移民たちにもわかりやすくて、
それを聞くのが私のここ最近の楽しみのひとつ。

(政策やら政党とか力関係とか、

これまでの背景のことやら、

今後の采配のことはよくわからないので、

それはさておき。

聞き取れるところだけ、英語の勉強と思って。)


またたく間に、世界で一番の
ホットスポットにある今
緊迫する医療現場とまだまだ先が見えない
厳しい現状は予断を許す状態ではなく
日に日に深刻度が増していき

知事もみんなも本気だ。

そんな中で、
昨日は家で過ごす人々へのメッセージ。

毎日外出られず、きっとストレスが
たまっていていることと思う。

ウチの娘も、もちろん彼女の会社も休みだから
家にいて、おかげでたくさん話しをする時間ができたよ。
犬のキャプテンともたくさん遊ぶ時間ができて嬉しいよ。
日頃は忙しくてなかなかそんな時間もなかったからね。

家族と過ごすそんな時間はまさにプライスレスだよ。

1人で暮らしている人は、
家族や友だちと電話やメールで
連絡を取り合ってほしい。

この時を使って、
いつか自伝を書いてみたいと
思っていた人はぜひ書いてみて。

いつか時間ができたらやろうと
思っていた趣味のことだったり。

こんな時間はめったにあることではないから、
有効に使っていこう!

と力強いのに自然体。
しっかりと自分の言葉で。

丁寧な言葉使いで完璧なまでの
原稿を読み上げるでもなく、
堅苦しくもなく、機械調でも
命令調でもなく、かといって
フレンドリーすぎる雰囲気でもなく

自分の事もまじえながら
共にみんなで乗り越えていこう!という
姿勢が伝わってきて思わず引き込まれてしまう。

New York’s though outside!
New York’s soft inside!

ニューヨーカーは外側はタフでたくましく
内側はしなやかであれ!とは

おとといの質問してきた
ニュースキャスターへの返答のセリフ。

先週には

I love New York!
We love New York!

白人も黒人もユダヤ人もイスラム教の人々も、
スパニッシュもアジアンも
ここでは関係ない。
みんな一緒に乗り越えよう!


画面には「I ❤️NY」のロゴが掲げられている。

New York loves you!

ニューヨークは君を愛している!



ズキュンときてテレビの前で思わず泣いた。

やっぱりここいたって、
どこにいようと
誰もが不安な日々を過ごしている。

今、医療の最前線でいるであろう
ナディアはどうしているだろう。

SNS やニュースで次々に流れてくる
想像を超える現場で命をかけて
人々を支える方々へ感謝と
尊敬の思いを抱きながら、

プライスレスなこの時を
かけがえのない、今この瞬間に。

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