KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★時を越えて、海を越えて

2020年03月24日 | Time in ニューヨーク
イタリア製の古い食器棚には
ファミリーの長い歴史がたっぷり詰まっている。

マリアが何回も説明してくれる。

イギリス、スェーデン、ドイツ、ロシア、オランダ、トルコ…
たくさんの思い出と一緒に
ひとつひとつを愛おしむように。

私はまるでアンティークミュージアムを
眺めるような気持ちでこの棚をのぞき込むのが、
ここ数日の楽しみになっていた。

すると、昨日のこと。

そうそう、これは日本から来たお皿よ。

ブロンクスに持って帰ったらいいわ、と
奥から引っ張り出してテーブルに並べた。

マムのいとこが、第二次世界大戦後の
1950年代にミリタリーにいて
日本から持ってきたものだという。

力強い金色の龍。






指でそっと触ってみると
オレンジとグリーンの背びれの部分や
黄色のフチ部分は盛り上がっていて手書きらしい。

顔も良く見ると全部違う。






んー、日本らしいデザインかといえば、
ちょっと違うような?中国っぽいけど、
と思いながらひっくり返すと赤い文字で

たしかに、Japan と印刷してある。






70年も前に漢字ではなく英語が使われているのは、
もしかしたら米軍基地用に作られたものかもしれない。
いろんな思いをめぐらしてみる。

そしてその昔、
お父さんがバミューダ諸島に海軍として
赴任していた時にマムが使っていたという
バラとタイサンボク(マグノリア)のティーカップ。






バミューダはイギリス領で
アフタヌーンティの習慣があり
一人ひとり違うカップを持って
お茶をしたらしいのよ。と教えてくれた。

これはヨーロッパ製なのだろうか、
色合いがとても美しく






特にこのマグノリアのブルーと
紫のカップを何度か棚から出しては
うっとりとしていた。






これはどこで作られたのかしらね?
マリアが裏をひっくり返すと、

HAND PAINTED 
MADE IN JAPAN 

と描かれていた。

なんと、日本製。





遠い昔、日本から海を渡りカリブ海のバミューダ島へ。
そしてイギリス式のアフタヌーンティのために
アメリカンマリーン(海軍)たちの
ファミリーが愛用し、

そしてニューヨークを経て
ここペンシルバニアのカントリーハウスの棚で
長いこと眠っていたなんて。

そして今、日本人である私のもとに。

同時に古きMade in Japan の
中国風から西洋風までの幅広さにも驚くばかりである。

なんだか感慨深い。

東京のうちから一番近い神社が龍神さまで、
息子が少年野球時代の頃からお祭りやら
新年の挨拶などでとてもお世話になっていて
ご縁がぐっと近くなり、その後も
毎月、1人で、時には母と一緒に、
または友だちを連れてお参りに行き、

年越しはここでカウントダウンをして
初詣、お札と破魔矢を買い

町内会の有志の方々が振る舞う樽酒に
自分で塩を盛って升の角からグビっとして
さらにおしるこを頂く、というのが
楽しみで私の生活の一部になっていた。

ニューヨークに来て、
すっかり離れてしまっていたのに

急に龍神さまが目の前に現れてくれたようで
気持ちがふわっと温かくなった。

しかも金色に輝いて。

ましてこのタイミング。

ニューヨークが世界の中心地になるのも
時間の問題と言われている、

世界中が不安なこの時に。

大丈夫だよ、と励ましにきてくれたような

そんな気がしてなんとも心強い。

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