日韓関係は冷え込んだまま、改善の兆しが見えない。文在寅政権の支持率は急降下しているが、文大統領は苦境から脱却する意思もないようだ。
しかし、マスコミの一部には、現状を打開したいという機運が感じられる。数日前の“朝鮮日報”に掲載された『「反日」で韓国を駄目にして日本を助ける「売国」文在寅政権』と題した朴正薫(パクチョンフン)論説委員の小論を抜粋して引用する。
残念ながら、韓国人は自らの力で光復を勝ち取ることができなかった。他人が持ってきてくれた独立だったことで、それは未完の産物にしかならなかった。国力競争で日本に勝つことが真の光復だった。日本よりも富み、強く、格調高い国をつくることこそ真の独立を実現する道だった。光復後、韓国は日本が見下せないように力を育もうという克日の情熱を燃やした。それはまた、一種の独立運動にほかならなかった。新たな国家建設に力を貸した国民一人一人が独立運動家だった。そうして国を発展させた克日の民族エネルギーを、現政権は理解できずにいる。(中略)
サムスン・LGのテレビは30年におよぶソニーの独走を終息させ、現代・大宇は造船の「日の丸軍団」に立ち向かった。現代自動車はトヨタ、ポスコ(浦項製鉄)は新日鉄に匹敵する競争相手へと成長した。これが克日であって、真の独立だろう。
(中略)
世界の人々が韓国で思い浮かべるのはサムスン、現代自というブランドだろう。現政権の論理に基づくなら、これらの企業は典型的な親日企業に該当する。サムスン電子は三洋の技術で始まり、現代自は「戦犯企業」三菱からエンジンを持ってきた。サムスンの創業者イ・ビョンチョルは、日本を師匠のように仰ぎ見た。しかし、日本は克服すべき対象だという観点は片時も手放さなかった。現代グループの鄭周永(チョン・ジュヨン)も、ポスコの朴泰俊(パク・テジュン)も、LGの具仁会(ク・インフェ)も同様だった。それは日本を知り(知日)、日本を活用して(用日)、日本に勝つ(克日)という「戦略的親日」だった。企業だけでなく、あらゆる部門、全ての韓国国民がそうだった。各人が己の立ち位置で日本を競争相手として、国力を育むことに力を貸した。光復後の70年史は、また別の独立運動の歴史だった。
韓国にとって日本は、まだ学ぶべきところが多く、得るものが多い国だ。「親しくしてこそ勝てる」という克日の観点を、現政権は理解できずにいる。単細胞的な世界観で固まり、国際孤立と外交的なのけ者状態を自ら招いている。力が弱まり、縮こまる道へと国を引っ張っている。韓国の国力が衰弱したら誰が喜ぶか、想像するのは難しくない。反日を原理主義的教理のごとく振り回す権力者に問う。どちらが日本を助ける親日で、誰が国を駄目にする売国をしているのかと。
要するに、この論者は何が何でも「反日」ではなく、日本に学ぶべきことは学んで、「克日」を実現しようと提案している。「親日」的言動が直ちに社会的抹殺を招く韓国の現状では、この程度が精いっぱいの政権批判であろう。それでもいいから、こうした軌道修正論が多数派になれば、現状打開につながると期待する。