つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

今週の佐橋美店

2022年06月14日 | 佐橋美術店の展示・展覧会
長く作品を所有させていただくことの多い当店ですので、この季節にもお馴染みの作品もご覧いただくことになるかと思いますが
「今週の佐橋美術店」をご紹介申し上げます。

エントランスには、小杉放庵の「初夏」を。その下に、梅原龍三郎のブロンズ「エウロペ」を飾りました。
なぜかとても似合っているように感じています。案外、この2人の画家の目指したところは、同じであったかもしれません。

もう一つの壁には、菊池契月の「踊図」を掛けました。この場所は広すぎるかな?と思っていましたが、素描ながら存在感があり
この御人が自由に、所狭しとイキイキと踊っているように見えて楽しくなります。








入口には、杉山と梅原の裸婦、間に佐藤忠良の婦人像を置きました。ハイレベル!







天井灯の周りはそのまま鳥海青児の作品を飾っています。見飽きることのない作品達です。





山口薫二点と吉田善彦の「緑雨」

少し切ない感じでしょうか。







通路には福井のミニ作品。

そして、新しく仕入れた梅原のもう一つのブロンズを飾ってみました。




何だか笑ってしまいそうな作品なのですが、これが時々、角度によってですが💦良い仕事をしてくれます。


続きは、又
書かせていただきますね。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竹内栖鳳

2022年06月13日 | 竹内栖鳳
お休みをいただいている間は、余りブログを書かないようにしていますが、前の記事に後輩のKさんがコメントをくださったので少し書かせて頂こうと思います。

「これは名作ですね。
表装は確かに残念ですが、作品自体は世が世ならという感じがします。」


ありがとうございます。

栖鳳の絵のうまさには、もう何の文句の付けようがありません。

が、この頃私達は栖鳳の作品に少し疑問を抱いていました。

栖鳳の作品は、果たして良い絵なのか?


そんな時、佐橋がこの上の画像の本を読み始めたのですね。

この本は、以前、、もう亡くなられてしまいましたが、色々な意味で影響を与えてくださったお客様の紹介で津田青楓に初めて私が出会った時に求めた本です。その時は、私もザーッと流し読みをしましたが、すっかりその内容の事は忘れていました。


今回、津田の油絵を入手しましたので、佐橋が少し勉強をしようとこの本を読み始めたのです。


そして、京都の交換会に伺う前に、2人でこんな話をしていました。



「漱石も青楓も、栖鳳の作品を評価していないんだよ。精神性を感じないってね。絵は下手だけれど、大観の方が中身があると言っている。京都画壇の作品を扱う時、栖鳳は外せないけれど、いままで感じてきた栖鳳作品への違和感はそれだったかな?と思う」


「そう言われて気づいたけれど、私もこの本を読んだ時、なるほど!その通り!と思った記憶がある。確かに、晩年の水墨画でも、軽々しく感じる事があるし、栖鳳の絵には、情感が伝わってこないことが多い。だから、かなりの栖鳳作品を手放してきたけれど
手元に残った作品を見ていると本当に栖鳳は軽いのか?京都の人の心が関東人には伝わりにくいように、栖鳳の魂が見えにくいだけではないのかな?と思いはじめたところよ」

美術、音楽、全ての芸術に精神性は必要なのか?という根本の問いもあるでしょうけれど、精神性という言葉に、宗教的な意味だけでなく、愛や情というものも含めれば、少なくとも絵画においては、精神性のない作品は飽きがくると言えるように思います。それは、抽象、具象の境もなく、画家の人間としての魅力に関わるものだと思います。




絵のうまい画家の作品の選び方。

杉山寧も含め、これから私達には大きな課題になりそうです。

明日からの一週間もどうぞよろしくお願い致します。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京都へ ②

2022年06月07日 | 旅行記
新幹線も比較的空いていて、当日の予約で席も取れました。

名古屋から京都までは40分ほどです。

丁度京都に雨の予報が出ていましたので、佐橋は杖代わりに傘を持ち、私は折り畳み傘を持って2人ともに安全のためにリュックを背負い出かけました。

名古屋では少し陽も照っていたので、2人ともに帽子を被っていったのですね。

それがいけませんでした💦

私は新幹線の席に到着してすぐ、自分と佐橋の帽子を重ねて網棚に載せてしまったのです。

「帽子を忘れた!」と気づいたのは、京都駅に着いてからでした。


本当に、京都には、いつも忘れ物をしに行くようなものです😭😭


私の帽子はともかく、佐橋の帽子はお気に入り、銀座のトラ屋さんで求めた高い帽子です👒

とりあえず、交換会の会場にタクシーで入り、まずJR東海の新幹線忘れ物口に佐橋が電話をしてくれました。
今の所届け出はない様子。。

仕方なく会場でお願いしていたお弁当を🍱食べ、佐橋はそのままセリの場へ。

私は、JR西日本さんへ電話をかけました。

私達の乗った新幹線は岡山行き🚄
新大阪までの忘れ物は、JR東海さんの管理、それ以後にみつかった忘れ物は西日本さんに届くのだそうです。

どちらも、忘れ物受付の方は大変丁寧に応対をしてくださり、もし見つかったらお電話をくださる。二、三日内に連絡がなかったら、念のためもう一度各窓口にこちらから問い合わせをするよう指示をいただきました。

途中電話が切れてしまったり、結構な時間を費やしてしまいましたが、とりあえず忘れ物の手配は済みました。

急いで会場に入ると、台場に、、

交換会の会場では、コの字型に画商が並び、その真ん中に直接か少し高いテーブルを用意して毛氈を敷き、そこに一点、一点次から次へと額やお軸が乗せられていきます。作品に近いところにはベテラン画商さん、その後ろに若手画商さんが控え、作品を覗き込みます。


コの字の前と後ろには、会主がいて、発句!
まずセリを始める価格を大声で伝えると各画商が声を上げ始めるのですね。

作品を出した画商さんは、なんとか高く売りたい。作品の欲しい画商さんはなんとか安く買いたい。

これは、いつでもどこでも繰り広げられる美術品をめぐる「攻防」です。

泣きを入れる画商さん、強気で怒り出す画商さん、冗談を言って場を和らげる画商さん。
そして、居眠りをしだす佐橋さん⁉︎💤

色々です😊


私がやっと会場に入ると、台場の上には小さな額が競りにかかっていました。

金魚?

金魚といえば、、京都といえば、、西村五雲?

誰の作品かはわかりませんが、「いいなぁ」と思いました。

競りはみるみる進み、ある金額で声が止まると、「はい、〜円、佐橋さ〜ん!」

佐橋もさすがに画商さん、ここ!という時には決めるのです。この作品は佐橋に落札されました。




ということで、多少損はありましたが、私たちが持って行った荷物は無事に売れ、また二点ほど新しく作品を仕入れることが出来ました。

そして、この二点も含め、7月にまた小さな展覧会を開かせていただこうと思っています。




その後は、タクシーで近美さんへ。

清方作品を堪能して、常設展示を見せて頂こうと4階に上がると、JR西日本さんから電話が入りました。

帽子二つは、岡山まで旅をし無事、係の方に保護されたそうです。

着払いになりますが、帽子は宅急便で名古屋に戻ってきます🚚





と、ここまで書いたところで、今朝、早速帽子が帰ってきました。丁寧に梱包してくださっていて助かりました。








これから、京近美さんの四階からのこの風景を見させていただく度に、私は帽子のこと、交換会のこと、そして発病から1年経って2人で京都に伺えたこの日の事を思い出すでしょう。

旅にも、忘れ物にも、それぞれ良いところがあるものですね。


仕入れた作品の到着はまだ少し先になるようです。
今日は佐橋のリハビリ通院の日でもありますので、ご紹介は展覧会の準備と共に後日とさせていただきます。


今週もどうぞよろしくお願い致します。














コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京都へ ①

2022年06月07日 | 旅行記
日曜日に、京都で交換会が開かれました。

休日ですし、丁度国立近代美術館で開催されている清方展も見てみたかったので、私も佐橋にくっついて、そうです「くっついて」が1番正しい表現だと思います、、くっついて出かけました。

この2、3年私は愛知県の外には出ていませんし、佐橋は今年になってもう二度ほど1人で上京し、交換会へ出ておりますが多分今回が1番長い距離を歩く事になりそうなので、2人ともに少し不安がありました。

交換会の大会というと、以前は午前中から昼の休憩を挟んで夕方までずっと競りが続いたものです。
ですが、今はオークションが優勢ですし、今回も荷物は少なく、午後からの開催で2時間と少しで閉会となりました。


京都の会は、当たり前のことですが、京都画壇の作品が多く出品されますので、覗かせていただくのを私も楽しみにしていましたが

なんと!京都といえば!!

そうです。私たちにとっては鬼門!!

今回も見事に「忘れ物」をし、しばらくそのセリを覗けずにいました💦

続く。。


追伸

清方展の招待状を親しくしていただいている画商さんからお分けいただきました。
まだ2、3枚残っておりますので、関西にお住まいのお客様を中心にご希望の方にお送り申し上げます。
ご連絡をお待ちしております。




sahasi2009@castle.ocn.ne.up

















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山口薫

2022年06月05日 | 山口薫
もう一点、新しく入手致しましたのは、山口薫の水彩作品です。

まだ入手したばかりですので、こちらも飾り付けの準備ができましたら、あらためてご紹介いたしますが、何と言っても薫の詩、そして牛の顔。








私は、薫について余り調べた事はありません。作品に対する評価、批評文にも余り触れた事がありません。
ですから、皆さまが良くご存知の事を、ちんぷんかんぷんにここに書き、「え?」と思われてしまう事があるかもしれませんが
それを恐れず、いつものように勝手に書かせていただく事にすると、、



薫にとって、犬や猫は家族、馬は自身、牛は思い出や憧れを意味する様に感じられています。






「ごく馬鹿のような顔をして私は街をゆく 心の楽しいとき」



この詩を読んで佐橋は涙が出そうになったと言い、この作品を高く評価しています。

私にはこの作品も、佐橋の評価も、やはりよくわからない部分が多くありますが、


ただ、今更に驚くのは「心の楽しいとき」という言葉です。


「楽しい時は、思わず顔がほころんで街を歩いている」とだけなら普通なのですね。


けれど、薫は最後に「心の楽しいとき」と添えています。

そうした「楽しい自分」さえも冷静に見てしまう、疑いを持ってしまうのです。


その時は本当に楽しかったのでしょう。

牛の角と角の間に小鳥を乗せたい位🐥

けれど、楽しい気持ちは水彩の絵の具のように直ぐに水に溶け出し、淡い思い出になっていきます。




薫作品に皆さまは何をお求めになるのでしょうか?

私はこの作品を高く評価したいという主人に驚き、長く一緒に暮らしながら、まだちっとも薫の事も、佐橋の心も理解していないことにショックを受けました。







かと言って、若い時のように、相手を深く理解しようとは思いません。

ただ、私と違う心がそこにある、それはこんなに深い哀しみなのか、、
それだけをわかっていようと思います。そして、これからも薫からも佐橋からも離れずにいようと思います。




よく見ているとこの顔は鹿の様にも感じられてきます。

えー〜ー、しか⁉︎ 


杉山寧作品も薫作品も、店内に飾らせていただきましたら、またご紹介申し上げますね

















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする