つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

入江波光

2023年04月26日 | 入江波光
結局床の間には入江波光の「かにときす」を飾らせていただきました。

久しぶりに開くお軸。









人気は常にNo.1ながら、なかなか納品には至らない作品です。

それでも、私達はこの作品を開くたびにニンマリ。大満足なのですね。



波光の作品には、吉田善彦!いやそれよりもパンチがないのです。

見方によっては波光の線や色は、スーっと水に溶けてなくなってしまいそうに感じるかもしれません。




けれど、よくよく味わってみると、そこには揺るぎない「正義感」という一筋の光が通り
まるでお能を観劇するような、幽玄で、慈悲深い気分を観る者に与えてくれます。








美術館さんにお納めした以外に入江波光作品をお客様にお納めしたことがないのではないか?と
ふと気づきました。

えらいこっちゃ!






午後から少しづつ晴れてきて、ご近所のお客様がいらしてくださっています。

今週はこのようにお天気も不安定なようですが、細々と展覧会を続けさせていただきます。

よろしくお願いいたします。


入江波光 軸  かにときす  紙本 共箱 35×44㎝ 




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やっぱり大好き入江波光

2022年07月14日 | 入江波光
昨日、お客様のご来店に合わせ、ショーウィンドウとエントランスのみ掛け替えをさせていただきました。





酒井三良の鵜飼。

漁火の煙が、涼やかで優しい夏を演出してくれています。



ホッとします。






エントランスは同じ三良の帰漁。
こちらも癒しを届けてくれる作品です。


結構頭が疲れているのね、私⁉︎と気づかされます😅



そして、やっぱり抜群なのは











こちらです。

入江波光 「かにときす」 

何度もお声がけいただきながら、結局私達のところに居てくれる作品です。

でも、昨日はこの作品に真にうっとりできましたので、「やっと波光に近づいてこられたかな」と
思えました。


木曜日、皆さま、どうぞ良い一日をお過ごしくださいますようお祈りしています。












コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春、彼岸。

2022年03月22日 | 入江波光
  
出会いから半年。
いよいよこの作品を皆様にご紹介させて戴く日がやって来ました。


というより、やってきてしまいました🤦‍♀️🤦‍♀️

良い作品であればあるほど、
皆さまに御覧にいれたい、自慢したい、当店に評価をいただきたい。
⇄どなたにも見せたくない、独り占めしたい、、、うぅ、どなたも買わないでぇ〜

の気持ちの行ったり来たりになってしまいます。

けれど、画商は何を持っているか?でなく、何をお客様にお納めしたか?だけが、評価される仕事です。
画商として生きた証は、本来、お客様方のコレクションの中に、そっと静かに消えていかなくてはいけないのですね。
ここはきちんと弁えて、作品のご紹介をさせて戴こうと思います。頑張ろうー









画家というものの本分を、よくよく弁え、それをその人生と画業に徹底させた。
それが入江波光であったと思います。



そして、その徹底は、結局画家に対する評価は画家本人でなく、画家が他界した後の作品の独り歩きのうちに得るものであるという信念に基づくものでした。

半年前、私はひとりで店番をしながら、この作品を受け取らせていただき、あの応接室の床に上がり、意を決してこのお軸を開きました。

今まで、こうした高価なお軸、しかも長物は佐橋が全て扱ってきました。
私がお軸を開いたり、閉じたりたしたら、変な癖がついてしまうのではないか?という心配もあります。

けれど、見たかった。早く見たいと思いました。





お軸を自在にかけ、開き始めてもなかなか絵が出てこないのです。
出てこないのだけれど、、その余白は今まで開いてきたどんな作品の余白より、美しく、軸を開いている自分の動作がストップモーションのように感じられました。既にここで波光はお軸という形態の本分を私達に教えています。






軸を開ききる手前にやっと、ささやかで、とても美しい山桜が咲き始め、その下に鴛鴦の雄が身を震わせ体の水を捨て、椿の花の咲く影に雌が静かに水面に浮かんでいます。
最後に散った桜の花びらの薄さ、水に濡れて透き通っては消えていく色の儚さを圧倒的に鮮やかな緑の苔の上に乗せ表現をし、
この場面、物語を終えます。

お軸の上から下へ時間が経過し、生きるということの美しさと儚さがこのひと巻きに展開される。

本当に美しく、感動に満ち満ちる作品です。














制作年ははっきり致しませんが、印譜から波光晩年の作品だと思われます。
(印譜の画像を撮り忘れました。明日以降追記させていただきます。)


入院中の佐橋の退院を待つことなく、独りでこの軸を開いてしまう私。
お客様にこの作品をお納めしたいと願いながら、ずっとこの作品を眺めていたいと思う私。
父母や妹、弟との思い出。子や孫への想い。


全ての私を許し、ますます歳を重ねていくことへの孤独を忘れさせてくれる。

波光作品は、本来の芸術のあり方、日本画の意味、お軸の素晴らしさをいつも私達に教えてくれます。護持尊の作品について書かせていただいた時にもお伝えしたと思いますが、波光はその画業の殆どを壁画修復に費やし、古画に学び、作品保存の研究に徹し、また家族との細やかで愛情に満ちた生活を大切にしようとした画家です。


開廊20年。佐橋が私の画廊での仕事を静かに見守り、私を育ててくれた20年でもございます。
その象徴ともいえる作品に出会えた事を何より幸せに感じ、お求めくださるお客様がいらっしゃいましたら、喜びと敬意を持ってこの作品をお納め申し上げます。



追記












入江波光 軸  鴛鴦  絹本彩色  共箱 酉一郎鑑  119×25㎝

軸 200×37.3. 軸先42㎝















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今日の佐橋美術店

2021年08月06日 | 入江波光



大きな作品の搬出を終えて、スッキリしたギャラリー。

さて、夏休み前にどんな作品を飾らせて頂こうかと思った時、選んだのはやはりこれ!入江波光作品でした。









特にこちらの「護持尊」には当店にしては破格のお値段をつけさせていただいております。

気に入って、売りたくないから〜という理由ではなく、この作品を手放したら、もうこれ以上に質の高い作品にはなかなか出逢わないだろうと思えるからです。

日本人として生まれ、日本人として生きる時、そして科学がこれ程進み「目には見えないもの」を益々排除しようとする不安や心配が蔓延する時、波光の描く世界の与えてくれる安心、信仰はどんなに力強く、清く、尊いものでしょう。

私達には、日常の生活や仕事を通して自身の「愛」を深め、それを他者と共振、共鳴させ、何倍にもその輪を広げて生きていく事がどんなに大切であるか。静かに淡々と波光は教えてくれています。

夏の波間の光。

波光の作品の美しさをこれからも皆さまとご一緒に感じていければ幸せです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

入江波光 軸 

2021年01月17日 | 入江波光



入江波光は佐橋が好きな画家の一人です。好きな画家というより憧れの画家という言葉が似合うようにも思います。開店以来何点かの作品を扱わせていただいて参りました。

入江波光について略歴などは省略させていただきますが、彼もまた誰よりも真摯に画業とむきあった画家で、少し理にこだわりすぎているのかなぁ?頑固すぎるかな?

入江波光の作品を見るとそういう要素を少し感じることがありますが、それらをすべて含めて。。 入江波光という画家の 質の高さ、強さに心を奪われます。

以下入江波光の「画論」より 彼自身の言葉を抜粋しこの画家の紹介とさせていただきます。


「芸術の世界に立てば個性はせまい自我である。」

「自分にあまり固執してはいけない。成長と創造のない苦しみに自分を追いやることになるから・・気前よくすべてを放り出すことによって自分が鍛えられる第一歩がある。」

「近代絵画の悪い一面は構想画が少ないことである。構想力が貧困というよりも無いのに等しい。伝統も古典も一切断ち切って自分一人の力で一つの新しい世界を確立し、そこへ華々しく躍り出ようとする現画壇の動き、これは近世絵画の悲劇である。」

「伝統の心の奥深く、底深く、釣瓶をおろしてみても汲み上がってくるものはいつもその人の努力とその人の経験とその人の理想と細心さが量を決めた水である。ただ、量の少ないことばかり云って画人の日々のつとめを怠ってはいけません。」








入江波光 軸 かにときす 紙本・彩色   35×44㎝   共箱  280,000










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする