つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

立て看板

2023年08月07日 | 今西中通
先週土曜日に余り店にいられなかったので、昨日の月曜日は一日店に出ました。

気になっていた仕事を片付けて、久しぶりに店のパンフレットの作成をしました。

コロナの事が有ってから、店の立て看板を外に出す事はしていませんでした。

またコロナの規制が随分緩んだ今年になってからは、佐橋の体調が悪い事が多く、急なお客様に対応出来かねたので
看板を出しませんでした。




この看板を外に出すと、前をお通りのみなさまがパンフレットをお持ちくださったり、店に入ってこられる事が
多くなります。


わかっていても、どうしても出来ない事。

それがこの立て看板を店の外に出す事でした。






パンフレットには以前、展覧会のご紹介や鑑定のこと、作品の買取の事なども少し書かせて頂いていました。

けれど、佐橋が居なくなってそうしたお仕事に責任が持てなくなりましたので
新しいパンフレットにはそれを省かせていただきました。


「作品が売れても売れなくても、私はもう少しだけ、この店で近代日本美術作品のご紹介をみなさまにしたい。」この数日はそればかりを思っていました。

ですから、パンフレットにはその事だけを書かせていただこうと決めました。

毎日佐橋の車で店と自宅の往復をしていましたので、はじめはバスと地下鉄でここまで通う事に
疲れ果ててしまいましたので、不定休にさせていただいて店を開ける時間もまちまちになりました。

この2ヶ月の「研究」によって、バスのすいている時間帯、地下鉄との乗り継ぎの良い時間帯を把握、
ご予約がある以外は早めに店を閉めさせて頂こうとも考えました。





ご予約のお客様のご来店を優先しながら、これからは少し店にいる時間を長くして、作品のご紹介を前をお通りのみなさまにさせて戴こうと思います。






今更に、この今西の作品の一つ飛び抜けた格調の高さに驚きました。

「疑ったり恐れたりしなければ、時間はいつも豊かにゆっくりと流れている」

そう教えてくれる素敵な作品だと思います。















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今西中通 裸婦裸婦

2023年02月03日 | 今西中通
今西中通の作品は今までにも何点か扱わせていただいています。

1908(明治41)〜1947(昭和22)年の夭折の画家であり、その作品も中通が所属した独立美術研究所時代の先輩林武が、のちに美術雑誌に幻の画家として彼を紹介したことをきっかけに広く知られるようになりました。

結核という病気を抱え、また貧困に苦しみ、放浪の末に亡くなったといわれる中通の作品は、とても悲しく、優しく、独特の感性に満ちています









今回ご縁をいただいたのは水彩の裸婦像です。

裏に藤井久仁子さん(妻)のシールがあり、1941年制作とありますので、中通33歳の作品である事がわかります。

多くの額絵に囲まれたベッドに横たわるモデルの女性の肉体はふくよかでありますが、お顔はどこか幼い感じがして、画家のこの女性に寄せる思いは 決して情熱的なものではなく、細やかで切ないものであるように思えてきます。

そしてその切なさは、長谷川利行の作品に感じるものとは違う、束の間に揺れるマッチの火の温かさほどのようなもの。

しばらく眺め、またその時々の感想をお伝えしようと思います。




今西中通 水彩 「裸婦」 1941年  
26.5×37.5㎝ 藤井久仁子鑑 








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