つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

美人画

2022年03月08日 | 舞台
昨年末、お客様から山種美術館さんのカレンダーをいただきました。

2ヶ月単位のカレンダーですので、3月には新しい作品、山種美術館の所蔵品を楽しめます。

楽しめると言っても、画商のおうちにやって来た美術館カレンダーさんは少しお気の毒💧のように思えます。



先日も、カレンダーを捲る私が「あぁ、3月は松園なんだぁ。あれ?この松園は何年ごろの作品だろう?
若い時の印譜に見えるけど」と言いながら眼を凝らして、作品下のタイトルと制作年を見てみると



昭和17年「娘」とありました。

「昭和17年ってあるよ。結構晩年の作品なんだわぁ」と私が言うと、

カレンダーに背をむけ作業していた佐橋がやっと声を出してくれました。

「17年だと、線がむっちりしてくるんだよね。なんていうかな?ふくよかな線になって
描かれる女性が悪く言うと中年っぽくなるんだ。」

結局、佐橋はカレンダーをじっくり見ることなく部屋を出て行きました。

17年と聞いただけで、作品を見なくても、雰囲気や線を想像できるのはさすがだなぁと思いましたが、








何をおっしゃる😤 可愛らしい娘さんではありませんか!
これは、中年のむっちりでなくて、若いお嬢さんのパンとしたお肌なの!

昭和10年代以降、松園は60代となり、日本画家としての円熟期に入ります。
線は益々豊かなり、女性ならではの美しいふくよかさが作品に表現され、現在の市場でも
この時期の作品が最も高く評価されています。

さすが、山種さん、大変素晴らしい作品をお持ちです。

ただ、あえて佐橋の好みと申し上げておきますが、

「松園が最も松園らしい線、生きている線を引いたのは昭和の初め、50代の頃だ」と感じているようなのですね。






晩年の作品に比べると、硬いといえば、少し硬いのかもしれませんが、
確かに線はピシと引けている、画家の画面に対する緊張感や集中力を感じます。



画家達の名前をずらっと並べ、或いはその画家の評価の高い時期の作品を集めることだけを目的にされる
コレクターさまがいらっしゃいます。そして、それは案外ご予算の豊富なかたがたに多い気が致します。

その画家の作品に何を見ているか?
その目線こそが、各コレクターさまの個性であり、ご自身の生きている証になるのだと思います。

松園>清方>深水?



清方>深水>松園?


笑笑

好き嫌いの基準で十分だと思います。頭ではなく、体ごとで、作品をお感じくだれば良いと思います。


ちなみに私は、やきもちが焼けるので、美人の美人画は苦手です😅














コメント (2)
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音楽コンサートのご案内

2018年09月06日 | 舞台




昨年もご紹介させて頂きましたチェンバロの演奏会が今年も開かれます。

秋らしく、古楽演奏をお楽しみいただけるのではないかと思い、ご紹介いたします。





10月20日 土曜日 午後 1時半 開演 名古屋市東区 文化の道 百花百草 前売券 3000円

9月21日 金曜日 午前11時半 開演 名古屋市中区 宗次ホール 全席自由 1000円(演奏約1時間)


お問い合わせ 上羽さん 0529517875 agehatch@gmail.com

佐橋美術店 0529384567
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御園座こけら落とし

2018年04月04日 | 舞台
運よくチケットを求めることが出来、1日の日曜日には御園座さんのこけら落としの公演、夜の部に伺うことが出来ました。


新しい緞帳にも興味津々。



絹谷幸二さんの「黄金旭日名古屋城」積水ハウスさん寄贈





杉本健吉 「天人奉楽」 名古屋鉄道、三菱電機さん寄贈



松村公嗣 「野分」 大丸松坂屋百貨店、トヨタ自動車さん寄贈




2、3階の食堂がなくなってしまったり(一階にイートインコーナー、豊富なお弁当、飲み物など販売されています。持ち込みは禁止されていますが、劇場内でお食事ができるようになりました)、寂しくなったところもありますが、赤を基調に綺麗で、椅子まわりも以前に比べてゆったりと座り心地がよく、なんといっても花道横のお席での観劇は格別でした。




大好きな中村吉右衛門さんのお馴染み「梶原平三誉石切」は、役柄通りの男気に溢れ、歌舞伎の形と台詞回しの美しさが相まって気持ちよく別世界に誘われました。名刀と出会えた主人公のあの眼!あの笑顔!当店にご来店のお客様が、良い作品に出会われたときのお顔にそっくりで、一人で笑えてしまいました。





新幸四郎さんは、しばらくお芝居を拝見できなかった間に、もともとの姿の美しさに幅と深みが増していらっしゃってとても驚きました。まさに、新しい幸四郎の誕生です。


一度拝見したかった新白鴎さんの弁慶には泣けました。


「同年輩の富樫では、義経公を守る信念に富樫が感銘し、関を通してやる気になるんだという解釈で弁慶を勤めております。今度は、若い幸四郎を相手にするわけですから、それとは違った弁慶でないといけないと思います。熱意だけではない。人間としての懐の大きさに富樫が打たれる。そんな弁慶を演じたいと思います。」というお言葉通り、新しい白鴎さんの演じる弁慶には、その生き甲斐も哀しみも全部が現れ、「人間」を見せていただいた思いがしました。


お能に比べ、歌舞伎は観劇料もお高くなりますが、久し振りに「お江戸の春の香り」に触れられた思いが致します。

歌舞伎の美しさ、華やかさは気持ちを明るくしてくれ、明日への勇気を与えてくれます。



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お能を観て

2017年03月08日 | 舞台

梅若玄祥さんの舞台を観たいと以前京都に出かけましたが、ご本人が体調を崩され休演。

ふとしたきっかけで今月5日に名古屋でまた梅若さんの舞台があることを知り、慌ててチケットを求めました。

当日は佐橋は京都に仕事で出かけましたので、私一人で名古屋能楽堂に出かけました。

演目は 「巻絹」

偶然にもチケットを求めたのは実父の亡くなる前日。今の私にはとてもぴったりの作品だと思い期待していましたが、やはりあまりに直前だったためか良いお席が残っておらず、なかなか鑑賞に集中することができませんでした。

 

ただこの演目の中心になる歌に

「音無にかつ咲きそむる梅の花 匂わざりせば誰か知るべき」があり

 

 

 

また「神は人の敬いによって威を増し。人は神の加護に依れり。」という地謡があり・・

 

私にはこの歌や言葉が人生の様々なことに通じるように思え、心に響きました。

 

 

自ら音を発したり、光を発することなく何時も静かにそこにある絵画。

そこに香しい気品、深い芸術性がなければ誰にも気づかれることはありません。

 

見る人の作品や画家に対する敬いの気持ちが、作品に美しさを増させ、

その美しい作品を人は心の拠り所とする。

 

 

お能はいつも丁寧に丁寧に私の心を鎮めてくれ、本当に美しいものに

出会う力を授けてくれます。

 

 

 

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観劇

2015年02月08日 | 舞台

冷たい風に雪の舞う、今日の名古屋になりました。

昨日はお休みを頂いて久しぶりに佐橋とお能を見て参りました。

名古屋観世会定例公演能。

この数年、色々あって中々歌舞伎やお能の観劇に出かけられませんでしたし、

昨日の「景清」は父と娘のお話ということもあり、東京で一人暮らしの父を思ってか。。

感動して何だかとっても泣けました。

観世清河寿さんの纏う空気、エネルギーもすばらしかった。

「羽衣」の山階弥右衛さんのお姿も美しかった。

長丁場の観劇で足が冷えてしまい疲れましたが、よいお休みとなりました。

観劇のときは義妹の作ってくれた巾着やバッグを持って出かけることにしています。

私の選んだ布、デザインに沿って、どんなに縫いにくい生地もきちんと作ってくれます。

この紫は少し地味すぎた気もしますが・・

私の周りにはアーティストがいっぱいです。

 

 

 

 

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