つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

トレド

2023年07月16日 | 香月泰男
香月の「トレド」は、スペイントレドに実際にお出かけになった事のあるお客様にも、一度も訪れた事のないお客様にも、とても評判の良い作品です。

シベリアシリーズの印象から香月作品には男性ファンが多いという思い込みは、この頃すっかり捨て去りました。

香月の作品はオシャレ!

今まで近代日本洋画にご興味のなかった女性のお客様が最初に入手されたのが、香月のデッサン的な小品。そんなケースも実際にありました。





落ち着いたら、一人旅をし、いろいろな美術館さんにまた伺ってみたいなぁという淡い夢があります。

香月の出身地山口県の香月泰男美術館さんのサイトを久しぶりに覗かせていただくと
こんなチラシと美術館さんの文章を見つけることができました。





香月は1950年代”厨房の画家”と呼ばれるほど、食材を数多く描きました。とりわけ魚は種類も豊富で、近隣の漁場の豊かさが感じられます。魚は香月にとって”私の味覚神経をそだててくれた”と記すほど身近な食材でした。
海はどうでしょうか。香月の故郷、現在の長門市三隅は日本海に面していますが、積極的に選んだモチーフではなかったようです。一方、旅先では、海辺や海岸、船上から見た海を描いています。
香月の描いた魚や海からは、ユーモラスさ、命への慈しみ、自然の織り成す美しさの表現を感じていただけることでしょう。会場には香月が好んで食した魚や、美しいと感じた海が並びます。どうぞお楽しみください。


「地元の海を描かずに、旅先の海を描く・・」

結局香月の作品全体を通して感じられるのは、シベリアの体験を得て、この作家が命をどう捉え、何に「美」を感じたか?ということだろうと思います。

「トレド」は香月が旅先で出会い、美しいと感じ、描きたいと思った場所。

香月らしい描写技術も十分に発揮され、異国情緒、ある種の気分の高揚さえも感じられる作品だろうと思っています。

今回ショーウィンドウにこの作品を飾らせていただいたのは、時々当店の幾つかの作品をご覧になりに自転車を漕いでいらしてくださるお客様に、私が店にいなくても、この作品をお楽しみいただくためです。

作品をお持ちになることはできなくても、シベリアシリーズの香月作品への憧れをずっとお持ちでいらっしゃるお客様もまだ多くいらっしゃいます。

お買い物ができないからと、ご遠慮をなされて、汗びっしょりになって自転車をこがれてきても、椅子にも腰掛けず、私のお出しするお茶も遠慮される。

年金でお暮らしと聞いていますが、きっとご商売をされてきた方だろうなぁと思え、その律儀さに「買わないお客様」というレッテルを勝手につけてしまうのは良くない事と、反省をさせられます。

今の私は、皆様に大変お世話になりながら、その感謝の気持ちさえ空回りをしてしまっているように感じるのです。



この香月作品がこれからどこへ嫁いで行くのか?

佐橋のいないこの店ではその楽しみも途切れてしまうのか?

本当の感謝の心を探せるまで、私はきっとこの仕事のギリギリのところを、しばらく歩いていくのだろうと思います。


香月泰男「トレド」8M
キャンバス・油彩
香月鑑定会




追伸
ブログの記事の整理が進まず、過去の価格設定をそのまま表示させていただいている作品もございます。現在の価格につきましては、恐れ入りますが、メールなどでお問合わせくださいますようお願い申し上げます。











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香月泰男

2022年09月03日 | 香月泰男
ふと、気づくと、、今年もあと四ヶ月しか残っていないそうです💦

いないそうです💦って、他人事のようですが、、去年より今年は日々が早く過ぎていきます。

今年はリハビリ中の佐橋に代わり、体を動かす時間が長くなり、案外私にしては「攻め」の時間を過ごしているのかもしれないと思うのですね。

「色々な事を記憶に留めておく事が出来なくなって、毎日が早く過ぎていく」という年齢的な問題と捉えるより、「攻めの時間、そう信じたい!」という勝手な思い込みの部分もありますが、、

少し先になって、人生を振り返ってみた時、案外きっと「あの頃は2人とも一生懸命生きてたなぁ」なんて思えるのではないか?という淡い期待もしています。


さて



偶然のなり行きで出会えた香月作品ですが、正直にお話しすると、この作品に対する印象は余り変わりません。

きっと、それは私の頭の中に、「あ、金魚!」と同じように「あ、香月!」が抜けないからだと思います。

「あ、香月!」「あ、守一!」

これは、画商にとって普通、とっても美味しいフレーズなのですが、ひねくれ者の私には、「邪魔」なのです。

心が動かない。

頭が邪魔をします。



めちゃくちゃ、上手い。

センス抜群。

画家として香月は素晴らしいのですが、きっとまだピン📌💡ときていない。

或いは、当店には同じ香月でも、違う作品の方が相性が良いのかもしれませんが、兎に角、もう少しこの「トレド」を眺めてみようと思っています。


この場合「売る気」については逆説も成り立つ訳でありまして、、、やはり佐橋美術店の香月はお買い得!なのかもしれません。




いえ、やはり、もう少しこの作品をじっくり眺めてみようと思います。





香月泰男 キャンバス・油彩   8M     トレド 香月鑑定会  











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香月泰男

2022年08月04日 | 香月泰男
前の記事に「名古屋より暑い新潟、山形県」と書かせていただきました。

そして、すかさず昨日から大雨の被害が広がっています。



自然というのは、本当に大変な力を持っていて、私達を守ってくれているのか?お構いなしなのか?

天に向かい、どうぞ極端なバランスの取り方だけはしないでくださいとお願いしたい気持ちです。

ひたすらに、皆さまのご無事をお祈りしております。
気をつけることが多すぎる夏ですが、どうぞ、どうぞお障りなくお過ごしくださいますように。






皆さまが「オアシス」とおっしゃってくださるこの店は、おかげさまで私達にとっても「夢の完成形」に近い店となりましたが、
いちばん大切なのは、この店を維持させていく事だと今更ながら気づかさせれます。


水鳥を水の上とやよそに見む 我も浮きたる世を過ぐしつつ 紫式部



水の上を美しく滑るように泳ぐ、例えば白鳥でさえも、その水面下で水掻きを広げ、せわしなく泳ぎ続けています。

その水鳥に思いを寄せる紫式部の、現実生活に対する憂鬱こそがあの源氏物語を生んだのだと思う時、私達の、そして皆さまの日々のご苦労がどなたかのお役にたつ事に繋がっているかもしれない。


そう思うことも悪いことではないように感じます。


自分達の辛いとき、皆さまのお苦しいとき、どんな時も私達が出来ることは、結局こうして作品を皆さまにご紹介し、ご一緒に鑑賞させて頂くことだけですが、今は先をあまり考えず、この事だけに幸せを感じさせていただきたいと思っています。





さて、






「誰の作品?良い作品だなぁ。えっ、香月?またまた佐橋さん、珍しい作品を。。
本当によく見つけてくるねぇ。」

「いつ頃の作品?お値段は?」


先週ご来店のお客様にいただいたお尋ねのままに書かせていただきました。



香月は1957年フランスからスペインを旅しています。

8号「トレド」東美鑑 はスペインの風景を描いた作品。

香月46歳頃の制作だと思われます。






香月の絵の旨さがよくわかる良い時代の制作作品。

しかもそれ程の価格ではない。


勇気を持ってここを持ってみることも、当店らしくとても素敵なことだと思っています。

ただ、香月作品をあまり飾ったことがありませんので、少し様子見をさせていただいております。

ギリシャ壺🏺←こんな絵文字もあるのですね!ビックリ🫢





ギリシャ壺を出して並べて、この位置に収まりました。
香月の存在感。ギリシャ壺に負けず、淡々としています。




この壁面の展示の2週間ほどの印象はとてもよかったので、まず皆さまに簡単なご紹介だけさせていただきました。

水墨画を見ているような印象といえばよいでしょうか?

しばらくまた2人で眺めて、香月作品についての当店のアプローチ方法を模索したいと思っています。



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