つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

2024/08/31

2024年08月31日 | 佐野繁次郎
本日ご予約をくださっていらしたお客様が今日の大雨を予想し、ご来店を一昨日に変更してくださいました。

お忙しい中をお時間を作ってご来店いただいたので、大変恐縮に思っていましたが、おかげさまでその分私は気楽にこの数日を過ごすことができました。

ですから、今日は一日自宅にいようと思っていたのですが、梱包用のプチプチの至急の配達をお願いしてしまっていたので、もし今日来てくださってしまったら?と心配になり、小雨の時を見計らって店に出て参りました。

雨は時折強く降りますが、今の所は被害なく店で作業ができています。やはりこの雨の中をお店の方がプチプチを配達に来てくださいましたし、応接室のクーラーの調子が悪いことにも気づくことができたのでよかったと思っています。

(ちなみにプチプチ、エアキャップ、いろいろ呼び名はありますが、全て商品名だそうです。)

あとは、少し片付けをして早めに帰宅しようと思います。






先ほど、なんとなく、佐野繁次郎の作品を飾ってみたくなって箱から出しました。






佐野は明治33年生まれ、驚くことに森芳雄や脇田和より7~8歳年長になります。

佐野の作品の魅力は、大阪の船場で筆墨業を営む家で生まれたこと、日本で小出楢重、2年間のフランス生活でアンリ・マティスに師事したこと、佐伯祐三と親交をもったことなどに由来するようにも思いますが、佐野の作品がいつも「新しさ」を感じさせるのは、制作の根本にその文学的な思想があったからだと思います。


「なんとなく~」という気持ちは、全くあてにならないものだから、自分から真っ先に排除しようと若い頃は思ってきましたが、以外に「なんとなく」という気持ちに〝本筋〟が現れることもあるなぁと最近感じます。



今日はなんとなく~ 「さのしげ」でした。



佐野繁次郎 「ボンボン売り」
油彩・キャンバス 6号 東美鑑 


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1950年代

2024年08月29日 | 脇田和
不思議です。

この数日、この脇田和の作品について書かせていただこうと思っていました。

そして、今日、以前はどんな記事を書かせていただいたのだろうか?とブログの記事一覧を見てみると、

なんと昨年の今日!!

2023年の8月29日に、この作品について書かせていただいていました。

丁度一年前に、この作品を描いた画家は誰でしょう?とクイズを出させていただいて、
「19さん」という女性の方が唯一正解をされたのでした。


(19さんは、お元気でいらして、今もこのブログをお読みくださっていらっしゃるでしょうか)

たった一年のことですのに、私は当時あまりにも必死に生活をしていて自分が何を考えていたかを思い出せません。

ただ、クイズを出させていただいたこと、そしてそのクイズに皆様がお返事をくださったことはよく覚えていて、
それを力に昨年を乗り切れたのだと今も思っています。





当店の脇田和作品は唯一この一点になりました。

佐橋と2人というより私が佐橋にお願いをして仕入れてもらった作品です。

今も好きな作品ではありますが、この頃「どうしてこの作品だったのだろうか?」と思うことが多くなりました。










つい先日、弥栄画廊さんのご子息がお立ち寄りくださいました。

ギャラリー正面のガラス絵に「いい清宮だなぁ〜」とおっしゃりながら、続いて脇田作品をご覧くださったので「この作品をどうして買いたいと思ったのかわからないのだけれど、いい作品だと思ったのね」と私からお伝えすると

「これは1950年から52年くらいの作品だと思いますよ。この頃脇田はこういう少女像を描いていて僕も良いと思って持っています。
この頃、猪熊も岡田謙三なども同じような子供の絵を描いていて、顔も似ているのですよね。戦後教育に画家が関わった時期でもあり、これを契機にこの世代の画家たちは具象から抽象に転換していくように考えています。」と思わずメモを取ってしまうほど
しっかりとお話をしてくださいました。

なるほど〜一年前の記事には1950年代後半から60年代と書かせていただきましたが、それより少し前の作品であったかもしれません。


いずれにしても、お話を聞かせていただいて、この作品も結局脇田和のど真ん中の作品であるように感じられ、ホッと安心致しました。

描かれた少女の目は本当に綺麗で、「歳を重ねるほどに何事にもこんな目を向けられる人になれたら良いのに」と思えます。

日本語には素晴らしい言葉が沢山ありますね。「心眼」もその一つです。

良い画家は皆「心眼」を持っているのだと思います。

良い作品に触れながら、全ての奥、裏まで見通すことのできる「心眼」を私自身も養いたいと「あれから一年後の今日」強く感じました。


台風の影響が出始めているようです。

どうぞ皆様お気をつけてお過ごしください。

私も気をつけて過ごします。











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土曜日

2024年08月28日 | 森芳雄
先週土曜日にブログを公開させていただいた後にふとご来客がありました。

初めてのご来店のように思いましたので、まずゆっくり店内をご覧いただきました。

お帰り際に、「前をお通りになられてお立ち寄りいただきましたか?」とだけお聞きしてみると

「少し前にこの前を通った時に、ショーウィンドウに貼ってあった展覧会の案内の紙に『沈黙も言葉』と
いう一文があって。。その時の自分にとても響いて、その時は入れなかったのですが、今日は勇気を出して入らせてもらいました。」

とおっしゃってくださいました。


あまりに思いがけず、けれど大変嬉しく

「まぁ〜 ありがとうございます!とても嬉しいです。あの言葉は吉本隆明さんの言葉で、今回の森芳雄作品から受ける私の印象を代弁してくれるように思いましたので、使わせていただきました。」とお話しさせていただきました。

展示している森芳雄作品をご覧くださり、印象に残った作品もお知らせくださったので、私には「土曜日も店を開けさせていただいてよかったぁー』と心から思える出来事でした。


森芳雄の作品は、大変潔く、作品を見る人に媚を売ったり、何かを想起させたりはしないので、
展覧会に来ていただくのも、作品をご覧いただいてその魅力をお感じいただくのも難しいと思っていました。

ですから、今回は私なりによく考えて副題を付けさせていただきました。


1人なってみなさまに助けていただくことばかりで、私が画商としてできることは本当に少なく、皆様のお役に立ちにくいと思ってきましたが、お若いかたが、たとえお一人でもこの展覧会に気づいてくださったこと、副題の言葉をお心に刻んでくださったことがわかり、これからの勇気をいただきました。


気持ちは次の展覧会に行ってしまいそうになりますが、今展示させていただいてる作品。

森芳雄作品もまだまだみなさまにきちんとご紹介しなくてはと思えました。

今日もお若いお嬢さんたちが店に入ってきてくださったので「森芳雄」のことを少しご紹介いたしました。

当店の作品も含め、近代日本美術の普及活動を私なりに、続けて参りたいと思います。

















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奥村土牛

2024年08月28日 | 日記・エッセイ・コラム
昨日、今日の二日間で行われている将棋の王位戦、会場の床間に珍しく見覚えのある作家作品が!

奥村土牛の扇面作品。描かれているのはカトレアのようです。
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展示一覧

2024年08月26日 | 佐橋美術店の展示・展覧会



例えば、清宮質文のガラス絵の画集を見ていても、それぞれの作品の表情は少しづつ違っています。

同じ作家の作品を沢山持つことのなかった、できなかった当店が、まず最初に選ぶ作品は、清宮の「泣いている作品」や「今にも心が崩れ落ちそうな作品」「恋しく、せつない作品」ではなく、どちらかというと思想性の強い骨格のしっかりした作品であったように思います。





それをどう評価してくださるかはお客様にお任せすることですが、まちがいなくこの作品の真ん中にこの作家がいることだけは、その清宮の姿勢の美しさだけは作品を実際にご覧いただければ、感じてしいただけるだろうと思っています。





画像におさめきれない美しさというものを各作品が持っています。



休日などにテレビで見るようになった中国の歴史もののドラマ、といっても白馬に乗った王子様が登場するようなお話で恐縮ですが、その中には必ず漢詩などが出てきて、案外勉強になることがあります。

先日は論語の中にこんな言葉あるのを知りました。

「君子に三戒あり」李氏篇 16-7

孔子曰く、君子に三戒あり。
少き時は、血気未だ定まらず。之を戒むるは色あり。
其の壮なるに及びては、血気方に剛し。之を戒むるは闘いに在り。
其の老ゆるに及びては、血気既に衰う。之を戒めむるは得に在り。 


青年期は身体の欲求が不安定で動物的である。その性欲を戒めよ。
壮年期は身体の欲求が盛んであるので他者に負けまいとする。
その競争欲を戒めよ。
老年期50歳を過ぎれば身体の欲求は衰え、失うことを恐れる。
その物欲を戒めよ。



老年期の「物欲」という言葉が妙に気になりました。
人の上に立つ立場でもありませんし、勲章が欲しいとか、名誉が欲しいとかあまり論語的なことは思いませんが、「絵がほしい」という気持ちは確かに年齢を重ねる度に強くなっているような気がしてきました。

気のせいであってほしい。
こんなことを書いて、店の仕事は大丈夫だろうか?

と思いつつ、今週の佐橋美術店 展示作品一覧をご紹介いたします(;^_^A


◇ ~30万円  
☆ ~50万円  
☆彡 ~100万円  
☐ ~200万円  


土田麦僊 紙・水彩  「アルル風景」 竹喬シール ◇

森芳雄 SM 「赤い裸婦」 ☆

織田広喜 SM 「群衆」 1951年 非売

織田広喜 ミニ 「早春の少女」 ◇

清宮質文 ガラス絵 無題  ▢


脇田和 6F 「少女」 ☆

香月泰男 8M 「トレド」 ▢


牛島憲之 SM 「初日」▢





◇ ~30万円  
☆ ~50万円  
☆彡 ~100万円  
☐ ~200万円  


森芳雄  キャンバス・油彩作品



「中東の朝」 3F ☆




「りんご」  3F ◇



「アフガニスタンの布」 25F   ▢




「桃」 3F  ◇




「リンゴ」SM ◇



「浜辺にて」12号 ▢


「小鳥と女」8F ☆彡



「ひととき」4F ◇




「働く人」6F ☆




「ひととき」SM ☆



白い裸婦 8F  ▢

◇ ~30万円  
☆ ~50万円  
☆彡 ~100万円  
☐ ~200万円  


八月もいよいよ終わりに近づきました。
東海は一日のうちにお天気がコロコロ変わり、きっと秋らしい秋を今年も迎えられないのではないかしらと寂しい予感を感じさせています。


明日からまた店に出させていただきます。
どうぞよろしくお願い致します。


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