つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

土曜日

2024年08月28日 | 森芳雄
先週土曜日にブログを公開させていただいた後にふとご来客がありました。

初めてのご来店のように思いましたので、まずゆっくり店内をご覧いただきました。

お帰り際に、「前をお通りになられてお立ち寄りいただきましたか?」とだけお聞きしてみると

「少し前にこの前を通った時に、ショーウィンドウに貼ってあった展覧会の案内の紙に『沈黙も言葉』と
いう一文があって。。その時の自分にとても響いて、その時は入れなかったのですが、今日は勇気を出して入らせてもらいました。」

とおっしゃってくださいました。


あまりに思いがけず、けれど大変嬉しく

「まぁ〜 ありがとうございます!とても嬉しいです。あの言葉は吉本隆明さんの言葉で、今回の森芳雄作品から受ける私の印象を代弁してくれるように思いましたので、使わせていただきました。」とお話しさせていただきました。

展示している森芳雄作品をご覧くださり、印象に残った作品もお知らせくださったので、私には「土曜日も店を開けさせていただいてよかったぁー』と心から思える出来事でした。


森芳雄の作品は、大変潔く、作品を見る人に媚を売ったり、何かを想起させたりはしないので、
展覧会に来ていただくのも、作品をご覧いただいてその魅力をお感じいただくのも難しいと思っていました。

ですから、今回は私なりによく考えて副題を付けさせていただきました。


1人なってみなさまに助けていただくことばかりで、私が画商としてできることは本当に少なく、皆様のお役に立ちにくいと思ってきましたが、お若いかたが、たとえお一人でもこの展覧会に気づいてくださったこと、副題の言葉をお心に刻んでくださったことがわかり、これからの勇気をいただきました。


気持ちは次の展覧会に行ってしまいそうになりますが、今展示させていただいてる作品。

森芳雄作品もまだまだみなさまにきちんとご紹介しなくてはと思えました。

今日もお若いお嬢さんたちが店に入ってきてくださったので「森芳雄」のことを少しご紹介いたしました。

当店の作品も含め、近代日本美術の普及活動を私なりに、続けて参りたいと思います。

















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森芳雄

2023年10月19日 | 森芳雄
展覧会の準備を進めさせていただいています。

「裸婦」は油彩画において、特に近代日本洋画において大切なジャンル、画題だと思えますが、最近ではお客様にその作品をお求めいただいていない印象があります。

それは、佐橋美術店だけのことかもしれず、その理由のひとつに「夫婦で営んでいるから」ということが挙げらるのかもしれませんが、あんなに素敵だった寺萬の裸婦をお客様にお納めできなかったのは、日本近代作品をあつかう当店としてなんたること?と、今も残念に感じています。






秋になると、金山の「くろぶな~」とともに、どうしても飾りたくなるのがこの森の「赤い部屋」です。

秋は大腸と肺が活性化される季節。春と同じようにアレルギー反応が顕著になるのも、乾いた空気に「悲しみ」の感情が増すのもすべて自然の摂理だと思えます。

そして、その感情に応えてくれるように赤とんぼ、赤く色づく葉や実、美しい赤が私たちの目と心に小さな灯を灯してくれるのですね。

「具象と抽象の間に」森芳雄という画家の存在があるのではないでしょうか。その「狭間」という世界に、卓越した描写力で人物の存在感を追い求めた画家が森であったと思います。

この画家に対する温かみの発見は、私にはなかなか難しいものでしたが、「少し大人になれたかな?」と思える今は、唯一当店にあるこの森作品がさらに恋しく感じられています。

この作品については過去にも何度もかかせていただいていたつもりでしたが、たぶん他の作品の納品の加減で記事がすべて削除されていましたので、あらためて今日書かせていただくことにいたしました。

今回の無眼界展にも飾らせていただきます。

男性は、女性に対し、男性本来の心を過剰に隠そうとすることがあると思います。それは、男性に対する女性も同じことなのですが、この裸婦ならきっと、ご家族のみなさまに愛していただけると一応女性であるわたくしは、そう思っています。

ご参考までに。





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