碧南市藤井達吉現代美術館で開催中の
富山県水墨美術館名品展 「墨色の輝き」 を鑑賞しました。
2年前、富山に杉山寧展を訪問した際、残念ながら水墨美術館には
寄らせて頂く時間がなかったので今回のこの企画を楽しみにしていました。
展示作品の数には限りがありますが、
水墨美術館所蔵の名品と出会え、とてもよい時間を過ごすことができました。
いくつかの作品を絵葉書からご紹介いたします。
右上から 横山大観 明治37年作 「木立に白鷺」
これは本当に素晴らしい作品で何度も観てしまいました。
朦朧体で描かれた木立のなかの白鷺がなんとも可愛らしく自由で、大観らしい生命感にあふれた作品です。
針がねと呼ばれる落款のバリエーションを見ることができ勉強にもなりました。
右下 前田青邨 昭和15年~25年 「風神雷神」
左上 堅山南風 昭和42年ごろ 「富士越之龍」
左下 小林古径 昭和19年ごろ 「牡丹」 紅白双幅
墨の変化のなかに紅白の花の色が見事に引き立ち、輝いていました。
そのほか栖鳳、玉堂、東山、高山、加山・・それぞれの名品があり
おもわず「上手い!」と声を出してしまうこともありました。
もちろん今回もカフェで自然食のランチを頂き、お土産に玄米のおはぎを買って
満足の一日となりました。
「墨色の輝き」は3月10まで開かれています。
是非一度ご覧いただきたい展覧会です。
生誕150年記念 クリムト ―黄金の騎士をめぐる物語― を鑑賞しました。
鑑賞し終えた時、「結局私はクリムトについて何もしらなかったのだ」という実感がつよく残るよい展覧会でした。
もし、焼失した傑作「ウィーン大学講堂天井画」が当時絶賛され、今も作品が残っていたら
そのあとクリムトはどこへ向かったのだろうか?
あの黄金様式は生れたのだろうか?そう考えずにはいられなくなりました。
ちょうど一年前、当店で杉山寧展を開催させて頂いた時、
「非凡な描写力を持つ天才的な画家にはきっと、その“絵描きにしか見られない世界“をみることができるのだろう」と感じていましたが、
今回の展覧会で、クリムトの初期作品の圧倒的な描写力を見て、また無限に自由なウィーン大学講堂天井画の資料画像に大感激をして・・まったく同じことを思いました。
絵描きにしかみられない世界。
本当はそれこそが真の絵画芸術の世界なのだろうと思います。
愛知県美術館の入口から出口まで
琳派や若冲などの江戸時代の画家、青木繁など日本の近代画家、ヨーロッパ宗教画、印象派の画家・・とにかく多くの作家にいっぺんに出会ってしまったような展覧会でした。
画像はクリムトの画集から
1905年の「人生の三段階」です。
ちょうど前回高山辰雄さんの「いだく」を載せさせて頂いたので、同じような母子像を選んでみました。
この老女の存在が晩年のクリムトの死生観を描いているのだと思いますが、
この点が高山辰雄さんの東洋的な死生観とずいぶん違っているように感じています。
愛知県美術館でのクリムト展は2月11日まで。
そのあと、長崎、宇都宮の美術館を巡回予定です。