つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

水仙

2022年03月29日 | 佐橋美術店よりのお知らせ



雑用にとり紛れ、更新が遅くなりました。

お休みの間にHPに少し手を入れさせていただきました。
在庫作品に変化はございませんが、よろしければご覧ください。


裏庭のシナの木が病気にかかり倒されてしまい、何年が経つのでしょうか。
結局代わりの樹は植えていただいていないので、数年前に佐橋が少し水仙の球根を植えさせていただきました。


この庭には陽があまり当たりませんので、毎年水仙の花が咲くのは遅めなのですが、
今年は特に遅くなってしまった気がします。

待ちに待って。。






遅くなっても、季節外れでも、たとえお花があっちを向いていても💦
こうして花を咲かせてくれると何か少しホッとするものですね。感謝が生まれます。






さて、今回の展覧会にも多くのお客様からお問い合わせやメールを頂戴致しました。
なかなかきちんとお礼をお伝えできず、大変恐縮に存じますが

最後に香月泰男について、少し前にいただきました情報をこちらにご紹介申し上げます。

昨日会期を終えてしまいましたが、東京練馬区立美術館さんで香月泰男展が開かれ
その企画下で、香月についての動画が公開されたそうです。

こちらに美術館さんのHPと動画のアドレスを貼らせていただきますので
よろしければ、ご鑑賞ください。




動画は香月さんの人柄を想像できる良い内容のものでしたが、
佐橋はまず 野見山先生??いったいお幾つだぁ?お元気だなぁと
驚いていました。ある年齢からは「魂」がその方の寿命を決めるのかもしれないなぁと
私は密かに考えました。

野見山先生の香月のシベリアシリーズに対するご意見は、今回当店HPに掲載させていただきました
小林秀雄の言葉と同じ意味を指すものだと感じます。







誠に勝手ながら、明日は臨時にお休みをいただきます。
ご了承くださいませ。


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春、彼岸。

2022年03月22日 | 入江波光
  
出会いから半年。
いよいよこの作品を皆様にご紹介させて戴く日がやって来ました。


というより、やってきてしまいました🤦‍♀️🤦‍♀️

良い作品であればあるほど、
皆さまに御覧にいれたい、自慢したい、当店に評価をいただきたい。
⇄どなたにも見せたくない、独り占めしたい、、、うぅ、どなたも買わないでぇ〜

の気持ちの行ったり来たりになってしまいます。

けれど、画商は何を持っているか?でなく、何をお客様にお納めしたか?だけが、評価される仕事です。
画商として生きた証は、本来、お客様方のコレクションの中に、そっと静かに消えていかなくてはいけないのですね。
ここはきちんと弁えて、作品のご紹介をさせて戴こうと思います。頑張ろうー









画家というものの本分を、よくよく弁え、それをその人生と画業に徹底させた。
それが入江波光であったと思います。



そして、その徹底は、結局画家に対する評価は画家本人でなく、画家が他界した後の作品の独り歩きのうちに得るものであるという信念に基づくものでした。

半年前、私はひとりで店番をしながら、この作品を受け取らせていただき、あの応接室の床に上がり、意を決してこのお軸を開きました。

今まで、こうした高価なお軸、しかも長物は佐橋が全て扱ってきました。
私がお軸を開いたり、閉じたりたしたら、変な癖がついてしまうのではないか?という心配もあります。

けれど、見たかった。早く見たいと思いました。





お軸を自在にかけ、開き始めてもなかなか絵が出てこないのです。
出てこないのだけれど、、その余白は今まで開いてきたどんな作品の余白より、美しく、軸を開いている自分の動作がストップモーションのように感じられました。既にここで波光はお軸という形態の本分を私達に教えています。






軸を開ききる手前にやっと、ささやかで、とても美しい山桜が咲き始め、その下に鴛鴦の雄が身を震わせ体の水を捨て、椿の花の咲く影に雌が静かに水面に浮かんでいます。
最後に散った桜の花びらの薄さ、水に濡れて透き通っては消えていく色の儚さを圧倒的に鮮やかな緑の苔の上に乗せ表現をし、
この場面、物語を終えます。

お軸の上から下へ時間が経過し、生きるということの美しさと儚さがこのひと巻きに展開される。

本当に美しく、感動に満ち満ちる作品です。














制作年ははっきり致しませんが、印譜から波光晩年の作品だと思われます。
(印譜の画像を撮り忘れました。明日以降追記させていただきます。)


入院中の佐橋の退院を待つことなく、独りでこの軸を開いてしまう私。
お客様にこの作品をお納めしたいと願いながら、ずっとこの作品を眺めていたいと思う私。
父母や妹、弟との思い出。子や孫への想い。


全ての私を許し、ますます歳を重ねていくことへの孤独を忘れさせてくれる。

波光作品は、本来の芸術のあり方、日本画の意味、お軸の素晴らしさをいつも私達に教えてくれます。護持尊の作品について書かせていただいた時にもお伝えしたと思いますが、波光はその画業の殆どを壁画修復に費やし、古画に学び、作品保存の研究に徹し、また家族との細やかで愛情に満ちた生活を大切にしようとした画家です。


開廊20年。佐橋が私の画廊での仕事を静かに見守り、私を育ててくれた20年でもございます。
その象徴ともいえる作品に出会えた事を何より幸せに感じ、お求めくださるお客様がいらっしゃいましたら、喜びと敬意を持ってこの作品をお納め申し上げます。



追記












入江波光 軸  鴛鴦  絹本彩色  共箱 酉一郎鑑  119×25㎝

軸 200×37.3. 軸先42㎝















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ご案内

2022年03月11日 | 佐橋美術店の展示・展覧会
皆さまのお手元に展覧会のご案内をお届けいたしました。

過去に当店でお買い物をいただきましたお客様を中心に、大変少ない数の封筒の発送でしたが、
ご案内の到着がご迷惑のようでしたら、恐れ入りますがメールなどでお知らせくださいませ。
次回から発送を控えさせていただきます。

また逆にご案内をご入用のお客様はご住所をお知らせくだされば、発送をさせていただきますので、こちらもご遠慮なくお知らせください。

感染問題が想像以上に長引き、また不安定な世界情勢から、私たちの価値観は大きく変わりつつあるように思います。

美術品へのご興味が無くなられることも、また新たにご興味をお持ちくださることもあるのが人の心の常だと感じます。



相変わらず「手作り感満載😊」の当店のご案内を少しでも皆さまにお楽しみいただければ幸いに存じます。
またご感想などもお寄せくださいますようお願い致します。





さて、私たちは案内状の発送を終えると、今度は店の飾り付けの仕事をさせていただく事になります。

幸いというか?だからこそ!の小品選び。佐橋と私の体力に無理のない程度の重さの新しい作品達を
楽しみながら飾らせていただこうと思います。

来週早々からは、各作品のご紹介もホームページやブログで順次させていただきますので、もう1日、2日
お待ちいただけたらと存じます。

自己満足という言葉はこの為にあったかぁ〜と思えるような品揃え。

私たちが楽しければ、きっと皆さまにもお喜びいただけると信じて来週から展覧会を開かせていただきます。





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美人画

2022年03月08日 | 舞台
昨年末、お客様から山種美術館さんのカレンダーをいただきました。

2ヶ月単位のカレンダーですので、3月には新しい作品、山種美術館の所蔵品を楽しめます。

楽しめると言っても、画商のおうちにやって来た美術館カレンダーさんは少しお気の毒💧のように思えます。



先日も、カレンダーを捲る私が「あぁ、3月は松園なんだぁ。あれ?この松園は何年ごろの作品だろう?
若い時の印譜に見えるけど」と言いながら眼を凝らして、作品下のタイトルと制作年を見てみると



昭和17年「娘」とありました。

「昭和17年ってあるよ。結構晩年の作品なんだわぁ」と私が言うと、

カレンダーに背をむけ作業していた佐橋がやっと声を出してくれました。

「17年だと、線がむっちりしてくるんだよね。なんていうかな?ふくよかな線になって
描かれる女性が悪く言うと中年っぽくなるんだ。」

結局、佐橋はカレンダーをじっくり見ることなく部屋を出て行きました。

17年と聞いただけで、作品を見なくても、雰囲気や線を想像できるのはさすがだなぁと思いましたが、








何をおっしゃる😤 可愛らしい娘さんではありませんか!
これは、中年のむっちりでなくて、若いお嬢さんのパンとしたお肌なの!

昭和10年代以降、松園は60代となり、日本画家としての円熟期に入ります。
線は益々豊かなり、女性ならではの美しいふくよかさが作品に表現され、現在の市場でも
この時期の作品が最も高く評価されています。

さすが、山種さん、大変素晴らしい作品をお持ちです。

ただ、あえて佐橋の好みと申し上げておきますが、

「松園が最も松園らしい線、生きている線を引いたのは昭和の初め、50代の頃だ」と感じているようなのですね。






晩年の作品に比べると、硬いといえば、少し硬いのかもしれませんが、
確かに線はピシと引けている、画家の画面に対する緊張感や集中力を感じます。



画家達の名前をずらっと並べ、或いはその画家の評価の高い時期の作品を集めることだけを目的にされる
コレクターさまがいらっしゃいます。そして、それは案外ご予算の豊富なかたがたに多い気が致します。

その画家の作品に何を見ているか?
その目線こそが、各コレクターさまの個性であり、ご自身の生きている証になるのだと思います。

松園>清方>深水?



清方>深水>松園?


笑笑

好き嫌いの基準で十分だと思います。頭ではなく、体ごとで、作品をお感じくだれば良いと思います。


ちなみに私は、やきもちが焼けるので、美人の美人画は苦手です😅














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福井良之助版画

2022年03月03日 | 【版画】
以前当店で扱わせて頂き、皆さまにご好評いただきました福井良之助のミニサイズのエッチングをご紹介致します。

昭和52年フジイ画廊から発行されました「窓 ミニアチュウル画集」の付録として付いて居りました版画をまとめて入手、
当店で額装をさせていただきました。

今回はマットに隠れた部分に、ヤケやシミが出ておりますので、以前よりお安く提供させて頂きます。

とはいえ、作品部分にはシミやヤケは感じられず、これ以降状態が悪化するとも考えにくいのでご心配なくお求めいただけるかと存じます。




絵柄は、「丘の城」「時」
「椿(明石潟)」「虞美人草(けし)」の四種類となります。

4点共に、サインあり、また椿と虞美人草は手彩色となります。

残念ながら、バラバラのナンバーとなりますので、番号を揃えてのお求めはしていただけません。







小さな作品ながら、版画家としての「福井良之助」を十分お楽しみ戴けると存じます。
よろしければ、お求めください。




「丘の城」 
額の大きさ 30.8×27.3㎝ 
作品の大きさ(額マットの窓の大きさ) 13×10㎝
価格 12,000+税



「時」
額の大きさ 34.3×25.8㎝
作品の大きさ 16.5×7.5㎝
価格 15,000+税



「椿」
額の大きさ 27×25.8㎝
作品の大きさ7.5×7㎝
価格 18,000+税



「虞美人草」
額の大きさ 27×25.8㎝
作品の大きさ 7.5×7㎝
価格 15,000+税





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