最初はSAH

2000.11にくも膜下出血(SAH)発症。無事後遺症もなく生還。今興味あること:脳のこと,教育のこと,テニスのこと

奈良妊婦死亡問題について

2006-10-20 20:43:08 | 医療と健康
奈良県大淀町の町立大淀病院で 妊婦がが分娩中に脳内出血のため意識不明となり、
19病院から満床などで受け入れを拒否された末、
転送先の病院で男児出産後に死亡した問題で
県警は業務上過失致死容疑で捜査を始めたという。
この話を聞いて、まず、この方、そして家族の方、
無事に生まれたがお母さんの腕に抱かれることのない赤ちゃん。
こんな悲惨な話があるのか思った。
ご主人が泣きながら話す気持ちもよく分かった。

しかし、この事件のマスコミの取り上げ方は大いに疑問。
また、このことで、大淀病院の産科医が犯罪に問われるのでは
やはり医師にとって酷すぎる。
これではますます産科医になろうとする人が減るのではと思った。

先日も書いたが、医師は人間だ。
産科医は普段、脳内出血の患者を診ることは無いだろうし、
CTを撮ってはどうかと言ったとされる医師も内科医だったということだ。
非常に稀な出産時の脳内出血をお産では第一の危険とされる子癇と症状も似ていれば、
間違えることもあるのではないだろうか?
そして、こんな難しい患者を引き受けて救うことができると判断し、
搬送を許可できる病院がどれだけあるだろう?

私がくも膜下出血になった時、
私は何も知らずに我が子を出産した病院(脳神経外科はあった)に
希望して搬送してもらった。
しかし、そこはCT室が塞がっているという理由で断られた。
後で考えるとそこは脳動脈瘤手術はほとんど無い病院だっから、
くも膜下出血の患者は引き受けたくなかったのだと思う。
(でも、強烈な頭痛を訴えていない私をくも膜下出血の疑い有りと判断し、
断ったこの医師もvery good!と別の脳外科医にいわれたが… )
これが、私にとっては幸いした。
次に運ばれた病院はくも膜下出血は大得意な病院だったのだ。
私は、手術を受け、その後もずっとその病院にかかっているが、
その時はいい印象を持っていなかったし、
引き受けてくれるというなら、そこに行くしかないか程度に思いながら運ばれた。
もし、最初の病院にはいって手当を受けていたら、今の私があっただろうか?

どんなことにも運がいいとか、悪いとかあるが、
病気もいつ発症するかそれによって助かるか助からないかは分かれ目になることはある。
休日や夜間はやはり手薄だし、
学会開催中(今日も脳外科学会が京都で開催されているが)などは
病院は本当に医師が少ない。
入院中、こんな時だったら、きっと私もダメだったかなと思った。

悲劇をなくすために、いろいろ病院間の連携を組織したり、
医師自身もこういう場合、どうするべきだったかなどの反省と、
今後、少しでも悲劇を減らす対策は必要だ。
しかし、このケースを“業務上過失致死 ”。
これでは医師の患者を救う気力を削ぐだけだと思うが…
コメント (4)
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