最初はSAH

2000.11にくも膜下出血(SAH)発症。無事後遺症もなく生還。今興味あること:脳のこと,教育のこと,テニスのこと

riding SAH

2007-10-27 19:33:54 | くも膜下出血
一昨日(10月24日)の記事に書いた♪REGE♪さんの話はいろいろ考えさせられる話しだ。
♪REGE♪さんは、明らかに最初に行った救急病院でくも膜下出血であることを見落とされている。

友人と話している最中、突然めまいがして気分が悪くなった。
貧血かと思って、しばらく横になったが、一向に良くならないので、家に帰った。
しかし、頭痛とめまいがひどく、いつもと様子が違うので夜間診療の救急病院に 行った。


この症状を聞いたら、医師は「SAH」を疑うべきなのに、
CTもとらずに、痛み止めを処方して帰宅させた。
もし、♪REGE♪さんが再破裂して、死亡したりすれば、訴訟にもなりかねない事例だ。
こういったことでの訴訟は非常に多い。例えば↓


カルテ記載めぐり主張翻す 医師に慰謝料命令 医療ミス訴訟
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 仙台市若林区の民間病院で2003年に死亡した同市の男性=当時(44)=の妻が診断ミスなどを理由に、担当医に約3920万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は22日、医師の過失を認め、約3370万円の支払いを命じた。さらに争点の一つだったカルテの記載について、虚偽の説明で原告に不要な負担をかけたとして、慰謝料50万円も合わせて支払うよう命じた。医療過誤訴訟で医師の証言を賠償の対象とした例は珍しい。

 判決によると、男性は03年12月上旬、医師に緊張性頭痛と診断されたが、同月下旬にくも膜下出血で死亡した。妻は誤診と専門医に転送しなかったことの過失があるとして05年2月に提訴した。

 審理では、医師が緊張性頭痛と診断した際、カルテに「nuchal stiffness」という英語を記載した真意が争点の一つになった。

 本来はくも膜下出血の兆候とされる「項部硬直」の意味なのに、医師は本人尋問などで「首から肩にかけての『こり』という意味」と説明し、緊張性頭痛との診断を正当化してきた。

 しかし、結審間近の昨年11月になって「項部硬直がないことを示す『-』(マイナス記号)を単に記載し忘れていた」と主張を変更。今年2月の再尋問では「カルテへの記号の入れ忘れは医師として恥ずべきミス。裁判所にも信じてもらえないと思った」と虚偽証言を認めた。

 判決で潮見直之裁判長は「訴訟当事者は誠実に訴訟を進める責務を負う。被告は自分の認識と異なる主張や立証を積極的に行い、原告に無用な訴訟活動を強いた」と指摘した。
2007年05月23日水曜日 河北新報



医師の間では“地雷”を踏むというようだ。

しかし、考えてみると

♪REGE♪さんが、病院に着くと、
医師は緊急手術をしていた。
ナースの入れてくれた座薬で
痛みが大分楽になったところで診察を受けた。
♪REGE♪さんはバイクに乗って病院に来た。


緊急手術で疲れ切って、出て来てみると
頭痛がひどくて病院に来たが、座薬で大分楽になったという患者がいる。
しかも、自力で、バイクに乗ってきた患者だ。
まさか、《くも膜下出血》だ!とは、考えないのが普通かも…

くも膜下出血を発症した場合、多くが救急車で運ばれるが、
中には歩いて自力で病院に診察を受けに来る患者がいる。
これを「walking SAH」というそうだ。
しかし♪REGE♪さんのように「riding SAH」までもいるのだ。

この最初の医師は、地雷を踏んだが、全く無傷で、
本当にホッとしたのではないだろうか?
地雷を踏むことは、どんな医師にもあることだと思う。
どんなに慎重な医師でも踏む可能性はある。
頭痛患者に全部CT撮影をすることはできない。
それはよくわかるし、病気が治らなければ医師の責任にして、
少しでも非があれば、犯罪とみなすような今の風潮は、
医師が積極的に医療をすることに及び腰になり、
患者にとっても不利益になっていることは重々わかっているつもりだ。

しかし、敢えてをお願いしたい。
医師が多くの事例を学び、丁寧に患者の言うことをきいて、
少しでも、「あの時、気付いていれば…」を無くしていく努力を…




コメント (5)
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