Goo・ちょき・パーで、なに作ろう!

定年退職してしまいましたが、再任用でまだまだ老後の蓄えをしなくてはなりません。それでも悔いのない人生にしたいと思います。

彫刻用手斧(ちょうな)を作ったぞ~

2011年10月18日 23時27分15秒 | Weblog

2011年9月7日

鍛冶屋・包丁会もすでに3年目に入った
単身赴任で始めたもうひとつの趣味、彫刻をやっていると、あんなとこ彫るのに、こんな刃物というものが出てくる

妻はもっと役に立つものを~と言うが、包丁も4本作ったし、自由にさせてもらうさ

ってな訳で、今度の作品は彫刻用手斧
ちなみに昔ながらの大工道具の手斧の説明はこちらでどうぞ
http://www.takumi-homes.com/yomimono/daikudougu/0017-chouna.htm

でも、作りたいのは彫刻用の手斧
ノミよりも早く、小まめに手早く斫り(はつり)、形を彫り出せる、そんな手斧が欲しかった
ある程度の規格物の形のナイフや包丁ならともかく、他の生徒も作らない作品は、デザインスケッチか紙や板で作ったモデルを持って行かないと相談にならない事が分かっているので、事前にエクセルで作った図面を持参した

先生との事前のレクチャーで、大きさや角度について、アレコレと論議して鋼材と形が決まった。
先生は、窯の火を入れると~

 

窯の周辺の棚から、ゴソゴソと鋼材の端切れを引き出した~
それを見て、『エッ、こんな切れっぱしで』と思ったのが正直なところ



先生は温石と金尺で、サッと線を引いて、温まった窯の中に投げ込んだ。
そして温石の線に合わせて切断機で切断



一方、鉄パイプをディスクグラインダーでカットし、柄を突っ込む部分を切り出した。
二つを合わせると形が見えてきた

 

今度は僕の作業~グラインダーでパイプ切断面のバリを綺麗に削り、内側は棒ヤスリで磨いた

 

刃になる方も、綺麗に形を整えた。
パイプの径の大きさに合わせて、接合部分のU字の窪みもグラインダーで削り込んだ~※この写真は無い
作業場が暗くて写らなかったのだ
でも、だいたいピッタリ合体

 

パイプと刃の接合はアーク溶接となった。
アーク溶接は母材と溶接棒の両方を溶かしながら溶接を行う方法で、ガス溶接よりも安全で、溶接速度が速く、溶接部の強度がある。でも、この様にスザマジイ溶接光で肝心の溶接箇所が見にくいため、初心者には難しく失敗をしやすい~ここは、アドバイザーのNさんに任せた。(アーク溶接の詳細)
http://www.nmri.go.jp/eng/khirata/metalwork/welding/electric/index_j.html

溶接は綺麗に出来た。
その後、水砥石で焼き入れ前の刃付けの荒研ぎ~
先生から『裏表間違うなよ』と念押しされた
この手斧は内側が鋼で外側が軟鉄になる(大工道具の手斧は逆)ので、外側に傾斜を付けて研がねばならないのだ

 
この夜、宿題が出た。『これをやるから、柄(取っ手)を来週までに作って来る事』
これと言って渡されたのは、折れた鎌の柄だった

9月10日

またまた久しぶりに帰省した。
この時も自宅に持ち帰り自宅で作業
グラインダーで溶接部分を綺麗にし、鎌の柄を切って、ハマる大きさに削った

 

ピッタリ合ったところで、試しに使ってみると、なかなか良い角度で当たっているので、一安心

 

9月14日

『先生、柄はこんな感じで、使ってみたらなかなか良い感じの角度でした。』
 先生いわく『なんコレこの角度が気に入らん~もっと段差なく、なだらかに仕上げんとったく、何にでも美的センスってものが必要よ
 そんな訳で、先生の鉋を借りてなだらかに削った。(右上の写真)
 それまでと言えば、パイプに入る部分だけを削った、(極端に言うと)徳利かワイン瓶の状態だった。
 でも『~美的センス』と言われたのには、ちょっと落ち込んだ

 『来週焼き入れをしておくから、もう少し刃を付けて~』の指示が来た。気を取り直して~再度水研ぎに臨んだ。
焼き入れ前にあまり鋭くすると、焼き入れで欠ける心配がある
0.5mm位の刃を付けた
それを柄に取り付けると、先生による試し切り
『うん、角度は良かバイ


 

9月28日


中1週空いての包丁会~焼き入れが出来ていて、マイ砥石持参での研ぎに入った
先生は砥石を見ると『Wwn、こぎゃん砥石じゃいかん平面に均してから研がんと、どんだけ研いでもダメばい
ってな診断で、先ずは砥石の平面化基準の平面荒砥石同士を擦り合わせて均した。平面化した判断は、研ぎ汁の着き方の均(ナレ)具合。
低い所にはこの様に溜まりが出来る。
さて、研ぎ出しはこの様に刃の中央に2筋の擦り跡が出た(右写真)
刃が湾曲しているのだ
中央が切れる刃になっても、両側にはまだ刃は着いていない。
それを均等に当たる等に研いでいく。
しばらく研いだら、砥石を手前と向こうを逆に転回する
この理由は~、どうしても手前が強く擦れ先は弱まる人間の腕の動きこれで、手前の窪みが早くなる。均等に砥石面を使うためにする
合点・合点
そしてまた、砥石同士を擦り合わせて平面化を繰り返す

  

中砥石に入った。ここでも、平面化は同じ。
手斧の刃の向きを変え、横向き研ぎに変えた。
この理由は、荒研ぎで均一に刃が着いたなら、仕上げになるに従って、ちょっとした手首・指の角度のブレが刃先に影響する。手前が角度が急になり、腕が伸びた向こうでは刃先が上がり浅くなりやすい。熟練すればマシンの様な手首・指の角度の微調整をで繰り返し、刃先は砥石に常に同じ角度で研げるようになる。
素人で間違いないのはこの横向き研ぎになるのだ
しかしこれも持ち手の右手がブレたら同じ事
必死で同じ角度を維持し、時々刃先を観察し思いどうりに研げているかを確認しながら研ぎ続けた背中が汗バンで来た
いよいよ、仕上げ砥石に移った。
相手は1枚の堅い金属板なのに、左手の指で押さえるところが余計に研げるのが不思議だでも、それを利用して加減して、目的の研ぎを極めて行く
荒砥石、中砥石、仕上げ砥石の使う時間的割合は、だいたい6:3:1くらい~荒砥石段階の基礎が出来ていなければ、いくら頑張っても切れる刃は着かない。
これまで仕上げまで来ていても何度も、『荒砥まで戻ってやり直し』と言われて来た
研ぎは本当に難しい


 

帰宅して明るい元で刃を見た
近くの紙きれを切ってみた~カミソリで切ったみたいに綺麗な短冊になった

 

これなら、ヒゲも剃れるのではと、足の毛で試してみた
剃れた


 

10月12日

仕上げを急ぎたかったが、先生の都合により、中2週空いた
いよいよ仕上げ
楔(クサビ)を打ちこんで固定すると思ったが、先生はピン止めが良いとした。ドリルで穿孔(右上写真)
ピンを打ち込んで、完成


 

帰宅してしげしげと観察
これで次の彫刻の作品もバンバン彫るぞ


 

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