昔は、夏冬問わず、おでんを食って酒を呑んでいた。
今から三十数年前のことである。
下北沢に『宮鍵』というおでん屋があった。
千客万来の人気店だった。
オカブもほとんど毎週末、通った。
それから、しばらくして結婚したこともあり、足が遠のいていた。
四年ほど前にふらりと訪れてみた。
店は、その当時の女将「おかあさん」の息子が継いでいた。
これはちょっと・・・・という感じだった。
それ以来『宮鍵』にも行っていないし、外でおでん酒をやることもない。
家で、かーたんの手作りのおでんで一杯やるのが一番である。
おでん酒与党野党と喧し 素閑
おでん鍋囲む面々したり顔 素閑
おでん食ふ墨田のへりの小雪かな 素閑
久闊を述べおでん酒さっそくに 素閑
俸給の話となりしおでん酒 素閑
小身の市井の人なりおでんかな 素閑
此処かつて田中英光食ふおでん 素閑