この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

スピード・レーサー。

2008-07-05 23:10:02 | 新作映画
 アンディ&ラリー・ウォシャウスキー監督、『スピード・レーサー』、7/5、Tジョイ久留米にて鑑賞。2008年29本目。

 映画『スピード・レーサー』は実に皮肉に充ちた作品だ。
 この作品のテーマ、一つは「家族の絆は何よりも大切だ」であり、もう一つが「零細企業だって決して大企業に劣るものではない」というものだと思う。
 そういった、よくいえば時代に不変な、悪くいえば前時代的なテーマが悪いというわけではないけれど、それをテーマにした作品が一億二千万ドルという巨額な製作費を投じて作られたとなると、ひねくれ者の自分は皮肉めいたものを感じ取ってしまった。
 何しろ作中マッハ号は家内制手工業といっていい、家族総出の元、手作業で作り出されるわけだが、作品自体はバリバリのCGを用いて作られ、作り手の存在というものをほとんど感じさせない。
 CGといえば、昨年『トランスフォーマー』を観た時も「CGもここまできたか!」と度肝を抜かれたものだが、本作のCGは間違いなくそれを上回るレベルのものだ。本作はCG実写映画の一つの到達点といっていいだろう。
 しかしながら究極のCG技術が、究極の迫力を映像にもたらしているかというとそれはまた別の話で、ぶっちゃけ本作のレースシーンを観ていても手に汗握るとか、ドキドキするとか、息を呑むとか、そういったことはほとんどなかった。
 マッハ号がごく当たり前のように空中でクルッと一回転し、相手の車をピョーンとジャンプし、空を飛び、断崖をよじ登り、etcといったすさまじいアクションを見せるうち、マッハ号ならどんなことでも出来て不思議じゃないよな、と思えてきてしまう。
 ここらへんはウォシャウスキー兄弟の演出の問題なのかもしれないが。

 といった具合に辛口のレビューになってしまったけれど、本作はあまり深く考えずに観る分には充分楽しめる娯楽作だと思う。ただし、ほとんど目に痛いといっていい、あまりにポップなカラーに耐えられればの話。

 お気に入り度は★★☆、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)。
コメント (6)
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