ある日の配達先でのこと、小一時間、それなりに重い荷物の積み下ろしを終えて一息ついたころ、遠くから「い~しやぁ~きいも~」という石焼き芋屋さんの客寄せのアナウンスが聞こえてきた。
「○○くん(←自分のこと)、焼き芋、食いたいね?」と配達先の社長(社長といっても個人経営だけど)が聞いてきた。
生まれてこの方焼き芋を食べたいと思ったことは一度もない。世のご婦人方が、なぜ焼き芋に目がないのか、焼き芋のどこら辺に惹かれるのか、正直よくわからない。
が、こう見えて、自分も社会人になってウン十年経つ。こういった場合どう答えるべきかは心得てるつもりである。
「ハイ、食べたいですっ!」と快活に答える。
じゃ、買ってこんね、と言って、懐から財布を取り出すと、社長は千円札を自分に手渡した。
大きい奴なら一本、小さい奴なら二本でよかけんね、と社長。
大きい奴なら一本?小さい奴なら二本?どこからどこまでが大きい奴で、どこからが小さい奴になるのか、その境目がわからなかったが、自分も一人の社会人として、「どこからどこまでが大きい奴で、どこからが小さい奴になるんですか?」などと聞いてはいけない、聞くべきでない、ということはわかる。
じゃ、買ってきます、社長!そう見得を切って颯爽と表に飛び出す自分。
が、石焼き芋屋さんの姿はどこにもない。
ただ、確実にさっきよりも遠くから、「し~~やき~いも~」の声が聞こえる。
やばい。大見得を切って飛び出しておいて、焼き芋を買って帰らなかったら、カッコ悪い。っていうか、お前は焼き芋を買ってくる、そんな簡単な用事も果たせんのか、と呆れられるかもしれない。
そんなわけで、かすかに聞こえる客寄せの声に、全身全霊を傾けて集中する。
こっちだ!!半ば以上勘で走り出す。
果たして焼き芋屋さんはいた。
百メートルぐらい先だろうか。
焼き芋屋さぁぁあああああん!!!
走りながら必死に呼びかける。
今回初めて知ったことがいくつかある。
まず、焼き芋屋さんは(百メートル)後ろから呼びかけても気づいてくれない。こっちが必死に呼びかけても、向こうのアナウンスで相殺されるからだ。
さらに、近くに客がいないと踏んだ焼き芋屋さんの移動スピードは結構速い。
社会人になってこんなに必死になって走ったことがない、っていうぐらい必死になって走った。
そのおかげで大通りに出るギリギリ手前で追いつく。
元々小一時間荷物の積み下ろしをしてばてていたのに加え、百メートル全力疾走したせいで千円札を差し出す自分はゼェゼェと息も絶え絶えだった。
店主はそんな自分の様子に感激したのか、よし、おまけしちゃるけんね、と袋に一杯の焼き芋を詰めてくれた。
まぁ何とか役目を果たせたかな、そう思いながら戻った自分に、社長が一言。
そんな一杯焼き芋を買ってくる奴がいるか!!
怒られました。
社会人ってつらいです。。。
「○○くん(←自分のこと)、焼き芋、食いたいね?」と配達先の社長(社長といっても個人経営だけど)が聞いてきた。
生まれてこの方焼き芋を食べたいと思ったことは一度もない。世のご婦人方が、なぜ焼き芋に目がないのか、焼き芋のどこら辺に惹かれるのか、正直よくわからない。
が、こう見えて、自分も社会人になってウン十年経つ。こういった場合どう答えるべきかは心得てるつもりである。
「ハイ、食べたいですっ!」と快活に答える。
じゃ、買ってこんね、と言って、懐から財布を取り出すと、社長は千円札を自分に手渡した。
大きい奴なら一本、小さい奴なら二本でよかけんね、と社長。
大きい奴なら一本?小さい奴なら二本?どこからどこまでが大きい奴で、どこからが小さい奴になるのか、その境目がわからなかったが、自分も一人の社会人として、「どこからどこまでが大きい奴で、どこからが小さい奴になるんですか?」などと聞いてはいけない、聞くべきでない、ということはわかる。
じゃ、買ってきます、社長!そう見得を切って颯爽と表に飛び出す自分。
が、石焼き芋屋さんの姿はどこにもない。
ただ、確実にさっきよりも遠くから、「し~~やき~いも~」の声が聞こえる。
やばい。大見得を切って飛び出しておいて、焼き芋を買って帰らなかったら、カッコ悪い。っていうか、お前は焼き芋を買ってくる、そんな簡単な用事も果たせんのか、と呆れられるかもしれない。
そんなわけで、かすかに聞こえる客寄せの声に、全身全霊を傾けて集中する。
こっちだ!!半ば以上勘で走り出す。
果たして焼き芋屋さんはいた。
百メートルぐらい先だろうか。
焼き芋屋さぁぁあああああん!!!
走りながら必死に呼びかける。
今回初めて知ったことがいくつかある。
まず、焼き芋屋さんは(百メートル)後ろから呼びかけても気づいてくれない。こっちが必死に呼びかけても、向こうのアナウンスで相殺されるからだ。
さらに、近くに客がいないと踏んだ焼き芋屋さんの移動スピードは結構速い。
社会人になってこんなに必死になって走ったことがない、っていうぐらい必死になって走った。
そのおかげで大通りに出るギリギリ手前で追いつく。
元々小一時間荷物の積み下ろしをしてばてていたのに加え、百メートル全力疾走したせいで千円札を差し出す自分はゼェゼェと息も絶え絶えだった。
店主はそんな自分の様子に感激したのか、よし、おまけしちゃるけんね、と袋に一杯の焼き芋を詰めてくれた。
まぁ何とか役目を果たせたかな、そう思いながら戻った自分に、社長が一言。
そんな一杯焼き芋を買ってくる奴がいるか!!
怒られました。
社会人ってつらいです。。。