この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

『奇跡』、是枝マジック爆発!!

2011-05-26 23:14:03 | 新作映画
 是枝裕和監督、『奇跡』、5/26、ワーナー・マイカル・シネマズ筑紫野での試写会にて鑑賞。2011年18本目。

 こういう映画が試写会で観れるのはありがたいなぁと思います。
 どういう映画かというと、予告編や公式サイトを見ただけでは、もう一つ(本上映で金を出してまで)観ようという気になれない映画のことですけどね。
 去年でいえば、『春との旅』(おじいちゃん子は必見!)や『ヒックとドラゴン』(2010年No.1!)なんかがそうです。
 特に『ヒックとドラゴン』は同時期に他に何本かアニメ映画を観に行くつもりだったので完全にスルーの予定でした。
 試写会が当たらなければ観逃すところでした。

 さて、この『奇跡』もあらすじを読んだだけでは正直まったくピンときませんでした。
 両親の離婚によって別々に暮らすようになった兄弟が、再び家族全員で暮らせるように、九州新幹線の一番列車がすれ違う瞬間、願をかける…。
 このあらすじで、うわ、面白そう!って思う人ってどれぐらいいるんでしょうか。
 第一、九州新幹線の一番列車がすれ違う瞬間を見たからって、何で願いが叶うのかがわからない。今どき、そんなことを信じている小学生がいるとも思えないけどな~。
 なんてひねくれた自分は思ったりもしました。

 しかし、そこは日本を代表する実力派監督の一人である是枝裕和です。
 どこが面白いのかよくわからないプロットで、すごく面白い映画に仕上げてきました。
 上映中、ひたすら上手いもんだなぁと感心させられましたよ。

 何が上手いかといって、まず、一瞬一瞬の子供たちの輝き。まったくカメラの存在を意識してないような笑顔や、泣きそうな顔や、自慢げな顔など、並みの映画監督ではこんなに自然に撮れないと思います。

 あと、話の流れの上手さ。
 前述の通り自分は、そんなことで奇跡が起こるわけないやんと思っているわけですが、一つ一つのエピソードの積み重ねに、もしかしたら奇跡が起こるのかも?って期待している自分がいるわけなんです。

 そしてオチのつけ方の上手さ。
 この映画のタイトルは『奇跡』ですから、当然この映画は“奇跡”についての映画なんですが、単純に奇跡が起こってハイ終わり、って映画ではないんですよね。
 そこら辺はネタバレになるので実際劇場に観に行って確認してもらうしかないのですが…。

 そうそう、この映画で触れずにいられないのは、キャスティングの贅沢さ、ですね。
 豪華なキャストの映画、というのはよく見かけます。
 しかしこの映画のキャスティングの贅沢さはそれとは一味違って、本当にこの俳優をわざわざ鹿児島まで呼んで撮影したんだろうか、と思わせること必至です。
 その点でも是枝監督は只者ではないな~と思いました。

 本作は一見するとすごく地味で、パッと見、あまり惹かれるものがないかもしれませんが、とても丁寧に作られた、上質の感動作です(感動作といっても鑑賞後、感動の涙が止まらない、といった作品ではなく、あ、いいもん観たな、と思えるタイプの作品)。
 全国公開は6/11からですが、時間に余裕があれば是非観に行ってください。 
 

 お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント (5)
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