この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

もはやRECでも何でもないじゃん!!『REC/レック3 ジェネシス』。

2012-05-20 20:42:22 | 新作映画
 パコ・プラサ監督、『REC/レック3 ジェネシス』、5/20、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13にて鑑賞。2012年19本目。


 日曜日は『REC』シリーズの最新作『REC/レック3 ジェネシス』(以下『REC3』)を観てきました。
 最初の予定ではこの日、ティム・バートン監督の最新作『ダーク・シャドウ』を観るつもりでした。
 『REC3』も観たいな、とは思っていたんですけど、ゴールデン・ウィークに『テイク・シェルター』を観損ねたことが後々のスケジュールに響いて、公開日に『ダーク・シャドウ』を観ると、『REC3』を観られない可能性もありました。
 それが、『ダーク・シャドウ』を後回しにして『REC3』を先に観ることにしたのにはいくつか理由があります。

 一つ目、シリーズの一作目と二作目を観ていたので、三作目も観ないと気分的に落ち着かないものがあったから。毒食わばサラダまで、って言いますからね。

 二つ目、鑑賞料金が¥1000だったから。
 通常、映画の鑑賞料金は当日で¥1800です。日本で公開される九割方の映画はそうだと言ってよいでしょう。
 配給会社が何を思って鑑賞料金を¥1000にしたのか、その思惑は量りかねるのですが、その大盤振る舞いには応えないといけないかな、と思ったのです。
 もし、¥1800払わなければいけなかったとしたら、まず観なかったでしょうね。

 三つ目、実はこれが一番大きい理由なのかもしれませんが、「『REC3』の公開が楽しみ!」と言っていた友人が直前になって「監督が代わったので観るかどうか迷ってる」と言い出したんです。
 元来捻くれ者なので、彼が観ないというのであれば、せめて自分が観なければいけない、という義務感めいたものに駆られました。
 ちなみに、監督が代わった、というのは間違いで、正確には一作目と二作目がジャウマ・バラゲロとパコ・プラサの共同監督だったのが、本作をパコ・プラサが、四作目をジャウマ・バラゲロが単独で監督することになったんです。

 さて、いろいろ考えた末に観に行った『REC3』なのですが、感想を言うと、ひじょ~~~~に微妙でしたね。

 POVという撮影方式があります。
 直訳すると主観ショットのことであり、簡単にいうと、登場人物の一人が撮影カメラを持っていて、そのカメラで撮影されたフィルムを、観客である我々が検証する形で鑑賞する映画のことです。
 代表的な映画は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティヴィティ』などがあります。

 POV映画の長所は何といっても通常の映画にはない臨場感がある、ってことでしょうか。あと撮影が比較的容易だ、ってことも挙げられるでしょうね。
 逆に短所は(素人がカメラを持っているという設定なので)画面がやたらブレる、そしてもう一つは上映時間が九十分なら九十分、カメラを持つ人物が、何があろうとカメラを手放さない、その不自然さが拭い切れない、ということです。
 
 自分がこれまで観たPOV映画で最も高度な撮影テクニックが用いられていると思ったのはモンスター・パニック映画の『クローバー・フィールド』です。
 この作品では、カメラで撮影するのはパーティ会場でたまたまカメラを手渡された一人の素人カメラマンなのですが、モンスターに襲われようと、ビルからビルに飛び移ろうと、彼は本当に何があろうとひたすら撮影を続けるんですよね。
 映画自体はそれなりに迫力があったんですけど、その不自然さゆえにあまり作品に乗ることが出来ませんでした。

 『REC』の第一作はこの不自然さが感じられないように作られていました。
 撮影するのがプロのテレビカメラマンだった、というのもありますが、それ以外にも工夫が見られて好感が持てました。

 続く第二作は、何とかPOV方式を維持しようという涙ぐましい努力も窺えたんですが、途中で撮影しているカメラが切り替わるので、はっきりいって不自然でした。
 ただ、努力していること自体は評価してあげたいな、と思いました。

 そして第三作である『REC3』なのですが、驚いたことにPOV方式をあっさり放棄してました。
 監督であるジャウマ・バラゲロとパコ・プラサの二人にはそれほどPOVに強いこだわりはなかったみたいです。
 『REC』というのは「RECORD」の略だと思っていたので、POVじゃない『REC』は『REC』じゃないと思うんだけどな…。

 で、POVの代わりにパコ・プラサが本作の売りにするべく用意したのが何とギャグ。
 ゾンビ対策用に礼拝堂に置いてあった聖騎士の鎧が有効なのではと考えた花婿と友人が鎧を身に着けて外に出たら、鎧は単に重いだけだったというオチや、「これは『スポンジ・ボブ』じゃなく、『スポンジ・ジョン』なんだ、著作権の関係で…」と呟きながらゾンビにがぶりと噛まれる着ぐるみの男や、「今日は私の晴れの日なんだから!」と叫びながらいきなりゾンビにカンフーをぶちかます花嫁など、所々にギャグが盛り込まれてるんです。

 確かに全く笑えないってわけではないのですが、でもギャグを盛り込むなら盛り込むで『ブレイン・デッド』並みに突き抜けていないと、ギャグがどこまでも中途半端な感が否めません。

 あとは、監督は悲恋を結末に用意してるんですが、自分の目から見ると、単純に花婿の決断が鈍いだけにしか思えなくて、、、まぁネタバレになるのでこれ以上詳しいことは言いませんが、やっぱり中途半端でしたね。

 と、何やかやケチをつけましたが、鑑賞料金が¥1000ならこれで充分かな、っていう気がしないでもないです。
 これからも配給会社には作品の出来や規模によっては鑑賞料金を下げて欲しいと思います。


 お気に入り度は★★☆、お薦め度は★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント (2)
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