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(BL小説)風のゆくえには~R18・試行錯誤

2015年03月07日 23時27分36秒 | BL小説・風のゆくえには~ R18・読切

単なるやおいです。やまなし・おちなし・いみなしです。自己満足です。
BLのR18です。大丈夫な方だけどうぞ。


基本情報。

渋谷慶:浪人1年目。身長164cm。中性的で美しい容姿だけど性格は男らしい。
桜井浩介:大学1年。身長177cm。見た目ごくごく普通。優しそう。


前に、「風のゆくえには~影日向」というので、慶の妹・南ちゃんの視点で「どっちが受けか」とか潤滑油とかの話書いたのですが、そこらへんの続き的な?
これから書く話は、卒業後5回目くらい……
なんとなく分かってきて、あれこれ試したくなる感じ? でもまだ遠慮がある、みたいな?
書きやすい慶視点でいきまーす。


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「風のゆくえには~R18・試行錯誤」



 風呂上がりに部屋でストレッチをしていたら、妹の南が顔をのぞかせ、

「うわーーーーーーーホント体柔らかいよね、お兄ちゃん」
と、ニヤニヤと言った。

 ……なぜ、ニヤニヤしている……。

「それ、今でも毎日してるの?」
「まあ……よっぽど何かないかぎりは……」

 小学校の時にミニバスのチームに入って以来かれこれ10年、バスケを辞めた今でもストレッチをするのが日課になっていて、歯磨きしたり風呂に入ったりするのと同じで、しないとなんだか落ち着かない。

「あれできる?あれ。股開き。床までつく?」
「あー……たぶん」

 普段はやらないけど、やってみる。普通についた。昔はもっとすんなりできた気がするが、まあ合格点だろう。

「へえええええ……すごいねえ……」

 引き続きニヤニヤしている南……。
 なんなんだいったい……。

「なんなんだよ?」
「いや、別に……。おやすみ~~」

 ニヤニヤしながら手を振っていってしまった。
 我が妹ながら、いつも、本当に、意味の分からない奴だ。


***


「うわーーーーーーーホント体柔らかいよね、慶」
「…………………」

 既視感。デジャブ。つい最近まったく同じセリフを聞いた……。

「慶?」
「いや………」

 一瞬、南の顔が浮かんで、萎えそうになり、慌てて速攻で頭から追い払う。

「ホントにつらくないの? この姿勢」
 足を押し広げられ、胸の横に膝がある状態で、浩介の唇が太ももの内側を這ってくる。刺激されるたび、ビクッと体が反応してしまう。

「おれ、絶対無理だよ。10秒もたない」
「全然平気」

 そんなことより……

「そんなことより、じらされてるほうがつらい」
「んんん?」
「だーかーらー」

 ガシッと両足で浩介の腰を抱え込む。

「さっさと入れろっつってんだよ」
「そんなムードも何もない……」
「うるせーよ」
「もう………」

 浩介が枕元に置いておいた容器を取り出す。透明のジェル状のもの。どこで手に入れたのか聞いても教えてくれない。でも、たぶん……南のような気がする。

「なあ…それナシでしてみねえ?」
「え」

 浩介の手が止まる。

「もう何回もしてるから、大丈夫じゃね?」
「でも……」
「いいから」
「んー……」
 浩介の唇が耳元に落ちてきた。首に食いつく。

「こうす……っ」
 言いかけて、息を止めた。下半身に刺激がはしったのだ。

「お前……何を…っ」
 浩介の指がぐりっとねじ込まれた。今までそんなに奥まで指を入れたことはない。

「こう……っ」
「今、2本なんだけど、痛くない?」
「う、動かすな……っ」

 いつもと違う中での動きに動揺する。指の先が中で曲がるたびにビクッとなる。今まで経験したことがない刺激。

「いくらなんでもおれ、2本以上の大きさはあるよねえ?」
「し……知るかっ」
「知ってるでしょ?」

 浩介が目を細める。時々…本当に時々、浩介はこういう顔をする。いつもは優しいだけの男なのに、ふっと攻撃性というかSっ気というか、そういうのが顔をだすときがある。その顔にメチャメチャドキドキしてしまうということは内緒にしておきたいっ。

「……入れてもいい?」
「…………」
 浩介の別人のような声に、おれはこっくりと肯いた。


 …………結論。
 ジェルをつけたほうが気持ちいい。
 でも、つけない方がはじめは痛いけれど、しばらくすると大丈夫(たぶん浩介の先走りで馴染んでくる)で、一体感も増す気がする。


「どっちも捨てがたいけど、やっぱりつけた方がいい気がする」
 風呂にお湯をためながら、浩介が言う。

「だってやっぱり慶が痛そうなの嫌だもん」
「そうか?」

 シャワーで流しながら答える。そんなに痛そうにしているつもりはないんだけれど……。

「あと1時間くらいあるよね?」
「んーそうだな。入ったの7時くらいだったよな」

 ここは都内のラブホテル。
 男同士で入るなんて止められるんじゃないかと初めのうちは緊張したけれど、そんなことはなかった。というか、ここのホテルは誰にも会わないで部屋まで行けてしまうので、咎められようもない。出るときも、部屋の入り口にある自動販売機みたいな機械にお金を入れるだけ。便利な世の中だ……。

「ここ、ジェットバスついてる。おもしろそうだよ」
「へえ…。あ、泡風呂にできるって。………あ、でも、風呂ためる前にこの入浴剤入れるんだったみたいだな」
「え! 手遅れ?! もう3分の1くらいたまっちゃってるよっ」
「いや、要は、上からの水圧で泡になるってことだから今からでも大丈夫じゃないか?」

 とりあえずその入浴剤を風呂の水の出てくるあたりに入れてみる。うーん。あまり泡立ってこない……。 

「上からシャワーかけてみるとか……」
「そうだな……」

 水圧強にして入浴剤の上からシャワーをかけてみる。

「あ、泡立ってきた」
「よしよし。いいぞいいぞ」

 泡がブクブクと形作られていく。
 浴槽の横に並んでしゃがんでそれを見ていたら、なんだかおかしくなってきた。
 男2人、素っ裸で泡風呂作って喜んで……いったい何してんだおれ達……。

「なに笑ってるの?」
「いや………平和だな、と思って」

 おれは今、浪人生だけれども、このぐらいの息抜き、神様も許してくれる……と信じたい。

「んじゃ、もう一回する?」
「ばーか。しねえよ」
「えーしようよー」
「これ以上したら体裂ける。足腰立たなくなる」

 若干本気で答えると、浩介がシュンとなった。

「ごめん……」
「あ、いや、別にそういうことじゃなくて……。あ、風呂もういいんじゃね? 入るか」

 なんとなく気まずい雰囲気になって、先に湯船につかる。無言になってしまう。
 するとあとから入ってきた浩介が、おれを足で挟んで、後ろからぎゅっと抱きしめてきた。

 そして、耳に唇があたるくらいの近さでつぶやくようにいった。

「じゃ、抜くだけならいい?」
「………………は?」

 何言ってんだ……と振り返って言いかけたところを、唇でふさがた。
 浩介の手がおれのものにのびてきて、お湯の中でゆっくりとしごきはじめる。

「ちょっ浩介っ、さっきいったばっかだっつーのっ」
「うん。でももう……」

 耳からうなじまで唇がおりてくる。ゾクゾクする。でも、理性が勝った。

「ちょっと待てって。ここで出たらせっかくできた泡風呂から出ないといけなくなるだろっ」
「んーーじゃ、慶、ここ座って」
「え?」

 風呂の縁をトントンとたたく浩介。

「なんで?」
「いいから」

 意味が分からないけれど、言われたまま腰をかけると、

「こ………っ」
 浩介がぱくっとおれのものを口に含んだ。舌が絡まってくる。

「ちょ、待……っ」
 これ、どうしても慣れない。3回目くらいだけど、どうにもこうにも……

「やめ……っ」
「ダメ?」

 浩介が上目遣いでこちらを見る。

「ダメっていうか、恥ずかし……」
「おれ、結構好き」
「な……っ」

 屈託のない笑顔に赤面する。何を言うんだこいつはっ。

「それに、慶の困った顔みるのも好き」
「なんだよそれ……っ」
 ツーッと指で内股をなでられ、腰があがる。

「だって、かわいいし」
「こ……っ」
 ゆっくりと味わうような舌先。絞られるように吸いつかれる。丁寧な愛撫。

「こう……っ」
 やめさせようと頭に手を置いたが、無駄な抵抗だった。とてつもない快感に思考が止まってしまう。
 ああ、でもダメだ。このままだと……

「待てって。ホントにいっちまうから……」
「うん。いってよ?」
 浩介は止めようとしない。

「だからダメだって」
「なんで? おれ、いってほしい」
「だーかーらー」
 無理やりに、浩介を引き剥がす。浩介が不満丸出しでムッとしている。

「なんで、慶……」
「だから、いくなら、お前としながらがいいから」

 言うと、浩介はひるんだように口を引き結び、

「………………慶。だって」
 泣きそうな顔になった。……なぜ、泣く?

「だって……」
「あー体冷えてきた。中入る」

 えいっと浩介も湯船の中に座らせて、その股のあいだに後ろ向きに座り、もたれかかる。

「あー泡消えてきたなー。……おっ、こうすると復活する」
 水面をバシャバシャとたたくと、また泡が出はじめた。

 浩介がそろそろと後ろから腕をのばしてきて、おれの腰のあたりにぎゅっと抱きついた。

「慶……ごめんね」
「なにが」

 どうせこいつ、ろくでもないこと考えてるんだろうなあと思いながら水面を叩き続ける。ちょっとずつ泡が復活してくる。

「なにがごめんだよ?」
「だって、おればっかり気持ちよくなってる」
「…………………へ?」

 意味が分からない浩介のセリフに手が止まる。

「なにいってんのお前?」
「だってさ、結局、その………慶が受っていうの? 慶ばっかりがそうなるようになっちゃったじゃん? それで慶ばっかり痛い思いしてて、おれは気持ちいいだけで……」
「………………」

 やっぱり、ろくでもないこと考えてたな……。

「だからせめて、おれがって思ったのに……あ、いや、ホントに慶のするの好きだけど、それだけじゃなくて……」
「……………」
「それなのに慶、おれとしながらがいい、なんて……無理させちゃってるよなあ……と思って……」
「…………めんどくせえ奴だなあ」

 思わず本音がボロッとでると、浩介がガックリとお湯に顔をつっこんだ。ブクブクいってる……。

「こら、浩介。顔あげろ。死ぬぞ」
 向い合わせに座り直して、頭をぐりぐりとなでると、ようやく水面から顔をだした。が、まだ下を向いたままだ。

 浩介は、普段は能天気で明るいんだけど、時々スイッチがはいると、妙に自己評価が低くなり、後ろ向きな考えに囚われてしまう。今もスイッチが入ってしまったようだ。切ってやらないと……。

「なんかお前、勘違いしてるぞ?」
「勘違い?」

 コツンとおでことおでこをくっつける。

「おれ、気持ちいいよ? お前とするの」
「でもさ、痛いでしょ?」
「だーかーらー」

 ぐしゃぐしゃぐしゃと髪の毛をかきまぜてやる。浩介はされるがままに頭をフラフラさせている。

「正直、初めのころは痛かったし、違和感しかなかったけどな」

 実際、高2の終わりの時も卒業前の時も痛くてできなくて……。
 で、浩介が大学生になってホテルを使うようになってから、色々試してみて、おれがされるほうがスムーズに事が進むこともわかった。それについておれに不満はなかったんだけど、浩介はやたらと気にしている。
 しょうがないので、まだ落ち込んでいる浩介に、正直なところを話すことにする。恥ずかしいから本当は言いたくないんだけど……。

「こないだの……前、くらいからかなあ。なんか…当たるようになってきたんだよ」
「当たる?」
「あー………うん」

 言ってて、本当に恥ずかしくなってきた。おれ今絶対顔赤い。

「当たるって?」
「だから………なんかすっげー気持ちいいとこがあんだよ」
「……………………」

 ゆっくりと浩介の顔があがってくる。でも、疑うような目つきをしている。

「ホントに……?」
「ウソついてどうすんだよ。それに入れるだけでも気持ちいい時あるぞ?」
「今まで、おれに気つかってとかじゃなくて、入れてもいいって思ってくれてた?」
「なんでお前に気つかわなくちゃなんねーんだよ。入れたいから入れろって言ってるに決まってんだろ」
「………慶」

 ぎゅっと抱き寄せられた。ぎゅーぎゅーぎゅーと力強く抱きしめられる。

「……なんか、固いもん当たってんだけど」
「だって、そんなこと言われたら……」
「ホントに今日はもうしねえからな?」

 念を押すと、浩介はちぇっと頬をふくらませてから、

「あ、じゃあ、ジェットバス、やってみようよ」
「おー、このボタン、かな」

 ジェットバス、とかかれたボタンを押してみたら、本当に浴槽の両側から勢いよくお湯が噴き出してきた。

「わーおもしろーい」
「肩こりに効きそうだなこれ」
「あ、泡復活してきた!」

 二人で水圧に当たりながら笑い合う。

「あー二人で温泉とか行きたいなー」
「ジジイかお前は」
「なんでーいいじゃん温泉」
「とりあえず受験終わってからだな。……あーーー」

 自分で言った「受験」の一言で現実に引き戻される……。
 タイミング良く、ジェットバスが止まった。
 シンッとした中、浩介が真面目な顔で問いかけてくる。

「こないだの模試どうだった?」
「まあまあ……。あ、それで、英語で教えてほしいとこがあるんだった」
「うん。じゃ、もうあがろっか」
「いやいやいやいや」

 立ち上がろうとした浩介の手をひっぱり、引き寄せる。

「なにが面白くて、せっかく人の目気にしないで二人でいられるってのに勉強なんかすんだよ。帰りの電車の中でいいよ」
「そう?」

 えへ、と浩介が嬉しそうに笑う。かわいいなあと思う。

「せっかくなんだから、時間いっぱいまで遊ぼーぜ」
「うん!」

 即座に強く抱きしめられる。

「慶、大好き!」
「………だから、今日はもうしないからな」
「まあまあまあ」
「まあまあ、じゃない! 変なとこ触んなっ」
「えー、さっきの続きさせてよー」
「しねえよ」
「するする」
「だから……」

 ここのホテルの基本時間は3時間。
 弁当買って持ち込んで、夕飯食べて、それから諸々……あっという間だ。

「早く一緒に暮らしたいなー」
 ため息まじりに浩介が言う。
 そんな夢みたいな日、いつかくるのかな……。
 そのためには、頑張って勉強しないといけないんだけど、今、この時間だけは、見逃してもらいたい。

「浩介……」
 大好きなその瞳にその頬にその耳にキスをする。
 いつまでも一緒にいられますように。いつからかはずっとずっと一緒にいられますように、と願いながら。




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当初の予定では仲良くお風呂入って終わり、のはずなのに、なにしてくれちゃってんの?二人とも?
勝手に動かれたため、書きたかったシーンが一つ飛んでしまいましたわ。
いや、単なる体位の話なんですけどね……そのうち書こう。(←私の頭の中、基本こんなことばっか)


その他の今回書きたかった話。

・南ちゃんの「柔らか~い」と浩介の「柔らか~い」のデジャブ。
・浴槽の横に二人で並んでしゃがんで、泡がでるの見てるところ。
・慶が受で本人納得しているって話。

でした。
私に絵心があれば、挿絵で、浴槽の横に並んでしゃがんでる二人の後ろ姿、を描きたいとこなんだけどなあ。

体位の話はまた今度にしときます。7000字超えちゃったし……。長くてすみません。
もうねえ、ずーっとダラダラ書いちゃうんですよね。この二人。単なる日常会話だし。


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「風のゆくえには」シリーズ目次 → こちら

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