きのうはやあるきのじいさんにおいぬかれる

犬と酒依存症のおっさんが、車椅子を漕ぎながら、ネガティブに日々見たり聞いたり感じたりした暗めの話題を綴ります。

覆面浪人

2022-04-13 18:41:32 | 徒然に
昔は合否は電報だった。

「ムサシノノハルマダトオシサイキヲキス(武蔵野の春遠し再起を期す)」だったか、「ムサシノノサクラマダサカズサイキヲキス(武蔵野の桜まだ咲かず再起を期す)」だったか、流石に忘れた。
所謂「サクラチル(桜散る)」ではないところに温かみがあった。

行きたかった東京の大学に落ちて、その東京にある近くの大学に行くことになった。
そこで落ち着くということをせず大学に行かずに勉強を始めた。
儂の頃は仮面ではなく覆面だった。そういうコトバだったはず。
儂は難聴があった分、人とは違う「イロ」を付けて差別化を図らないと、うまく希望の進路に結びつかないのではないかと思っていた。再受験に舵を切ったのはそういうのもあったのかもしれない。学歴というより大学名で入口が固まるというのはあるなと。
ただ。
それより何より、受験で同じホテルに泊まり、同じ大学を受けた岩手の女の子に「もう一回受けて」と言われたのが大きい(その子は受かったのだが)。
案外そんなもん。
ただ。
1年後、補欠で合格して滑り込んだキャンパスで1学年上級生になる彼女と会ったが、行動のレベルが違い過ぎ程なくして行き違いになった。何か追いつけないというか。
でも、覆面浪人を経て、入った大学で様々なことを学んだ。彼女との出会いがなければ得ることのできないものばかりだった。
運というより、縁だな。

それは確か。