ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫

書籍「年金五万円が教えてくれたお金の向き合い方」「あるもので工夫する楽しい節約生活」は9万部。工夫の毎日は続く。

全身コンビニ色にそまった「コンビニ人間」

2017-12-17 18:38:35 | きものの本&本

 

 著者の村田紗耶香さんは、

 芥川賞をとった今でも週に何日か

コンビニで働いているそう。

小説はコンビニで働きながら

作家を目指している人の話かなあと

思いながら、

気になりながらも買う気にならず、

しかし図書館での予約数をみると、すごい数。

古書店で見つけたのでゲット。


 

笑っちゃうほど面白かった。

 

というのは、主人公は頭から身体まで

全身コンビニ一色。

たとえば、ペットボトルが売れる音に身体が動き、

一個の袋菓子の売り上げに喜び~~、

身体は店内のすべての乱れを見逃さないよう

反応している。

どこにいても誰といても、

コンビニの音、匂いなどに

五感が動き始める。

喋り方も、コンビニ仲間の「

語尾を伸ばす」話し方を

いつのまにかマネしていて、

この話し方は、

「AさんとBさんのしゃべり方を混ぜたもの」

などと冷静に分析。

言ってみれば、コンビニに恋し、耽溺した人。

 


異例のコンビニでもサイン販売会、だとか。

文藝春秋刊

 

コンビニと主人公の初めての出会いは、

大学一年生のとき。

「コンビニ店員になる前の自分は

おぼろげにしか覚えていない」などと、

まるで「運命の恋人」に出会った前と後、

ビフォアアフターのよう。

 

コンビニの店員になったとき、

「~~そのときはじめて世界の部品になることが

できたのだ。私は生まれた。

世界の正常な部品としての私が生まれたのだ」

と高らかに宣言している。

脳の「RAS細胞」がコンビニに

快感を得たんですね。

シニアはシニアを見る・で何が起きる?」

 

面白いのは、この場所が

IT業界でもハリウッドでもない、つまり

「普通の人」が憧れる場所ではないと

いうだけ

ほかの場所ならむしろ「根気がある」「好きの力」

などと誉められたかも。

だって好きな仕事やっているのだもの。


しかし周りの人たちは~~、

「36歳にもなって結婚もしないで

なぜいつまでもコンビニのパートなの~~!」

「社畜!」「マニュアル人間」

「底辺の人間」「負け犬」

「気持ち悪~~い」などと罵倒され。

しかし主人公にはまったく堪えず、

「私のような人間は交尾して

遺伝子など間違っても残すなと

いうんですね。ではそうします」

と淡々と対応。

「普通の人」とのやり取りがおかしくて、

笑ってしまう。

「普通の人」だって、どこかおかしい。

自分が普通だと思っている分、やはりおかしい。

「普通の人間」の異常さをも

描くことが作者の狙いでもあるのだろう。


夜の街のオアシスのような、水槽のようなコンビニ

 借りフリーイラストです。


 

コンビニいくために身体を清潔にして、

朝しっかり起きていたのに、

コンビニをやめた主人公が拠り所をなくし、

元気を失っていく様子は、失恋した人、

大切な人を亡くした人、

アルプスの少女ハイジが都会に連れていかれ、

どんどん元気をなくしていったときのよう。

 

普通の人と「コンビニ人間」の違いは、

普通の人がモザイク、

つまり家族30%、友人20%、

上司、先生、恋人などなど

いろんな人の考え方などを倣い、

学習してできているモザイク人間だとしたら、

この主人公は

コンビニ一色に染まっているだけ

マッ、宗教人間、会社人間、

ゲーム、スマホ人間,ブログ人間、

などいろいろいるわけで。


まっ、どんな人やものに

どんな影響を受けるか、

先の脳のなかの「RAS細胞」じゃないけど、

快感を得るものによって、自分は出来上がる

というわけ。


で、私自身はどんなものが、どんな割合で

構成、出来上がっているのかな。

着物率高いだろうなあ。

 

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