ときどき見るNHKの「イッピン」。
日本の優れた手仕事を紹介する番組です。
たまたま見たのは「久留米絣」の紹介でした。
私自身は、特別久留米絣に魅かれるわけではなく、むしろ、「少し野暮ったいなあ」と、済みません、こんなことを思っておりました。
でも、そのときに紹介されていた久留米が、あまりにキュートでした。
藍のなかに浮か水玉。
この生地をワンピースにしたものがこちら。
それよりなにより目を引いたのは、久留米絣の創始者だという井上伝さんのお話。
この方、1788年というから江戸時代、米屋の長女として生まれ、7,8歳くらいからもう木綿の機織りをはじめ、12・3歳にして大人も及ばない腕になったとか。
久留米絣は、藍染めのなかに「白い斑点」を見付け、「きれいだなあ」と思ったのか、藍のなかに白の模様を織りこむことを思いついたとか。
藍と白、というのは日本人の原点。
その美しさは当然だと、現代に生きる私は思っていましたが、それだって「発見」だったのですね。
それ自体が驚き。
で、もっと面白いのは、この白の絣模様を出すために、からくり人形で知られる田中儀右衛門」こと、田中久重の協力を得たこと。
この人、ほら機械仕掛けでお茶を運ぶ人形とか作った人。
伝は、彼の協力を得て、絵模様も織り出すことに成功!
そのとき田中はなんと15歳だったそうです。
そして伝は25歳!
毎日毎日、ひたすら機を織りながら、そのなかから、「藍と白の組み合わせ」の美しさを発見し、それをどうにか身にまといたいと試行錯誤の日々。
こぎん刺しや刺し子の美しさもそうだけど、必要に迫られやっていた手仕事、でもそのなかに「美しさ」を感じたい、自分の手で美しさを作り出したいという女性の感性と、それをほかの人に伝えていく伝播力ってすごいよね。
食べるだけでも大変だった日々のなかで、寝る間を惜しんで、でも、きっと、作ることが楽しくて仕方がなかったんでしょうね。
私の持っている久留米は、自作の右のうさぎちゃん。
機械織りです。可愛過ぎて着用できない。
埋もれているようで、実はどっこい埋もれていない女の底力。
いまさらですが見習いたいものです。
いや、私たちだって、日々の暮らしのなかで自分なりの美というものを探し、作っているんですよね。
きもののなかにも新しい美を発見いたしませう。
そうそう、田中久重って東芝の創始者なんだってね、
きものって、いろんなこと教えてくれるもんです。
「北斎の娘、杏さんの「百日紅」を観る」→このお栄さんも北斎の代筆までしたとか。
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