書店を覗くと樹木希林さんの断片的な言葉を
集めた本が山積みになっていました。
「一切なりゆき」文春新書。
帯には
「求めすぎない。欲なんてきりなくあるんですから」
とあります。
人からモノはもらわない。
買わない。
あるもので済ますのが楽しいと、
いろんなところで仰ってて、
お住まいだけは?趣味が不動産をみることと
いうくらいですからリッパ。
それはそれとして、
私がチェックしたのは、
「~~折口信夫(民俗学者)がある本のなかで
言っていたことばで、
日本は八百万の神の国、一人の一人のなかに
神がいるのに、(日本人は)「個」というものを
確立しなかった~」
との言葉。
はい、日本人は最初から
自分が神、なのにね。
自分への愛イコール神への愛なのよ。
彼女は役者の道を選びながらも、
自分が決して「美人ではない」ので、
どのように生き延びようかと考えたのだと思います。
そのときに、「自分にしかできないこと」、
たとえば20代で老け役を演じるという道を選んだ。
自分の「それなりの容姿」という「個性」をこそ売りにした。
先の拙ブログじゃないけど、
自分が独自の存在であるという自尊心があった。
自分が他の役者と違うところは
なまじ美人ではないところだと。
だとしたら、
美人になろうとするのではなく、そうでないところで
差別化した~~。
と不肖紫苑は考えます。
この方、自分でも「意地が悪い」と言っていますが、
「貫太郎一家」ドラマの打ち上げパーティで、
演出家の愛人、妊娠トラブルをすっぱ抜いて
大騒ぎになったことを覚えています。
わざわざ大勢の前で暴露することないなじゃかと
当時は思いましたよ。
そのため、一時はテレビ界から干されたことも。
演出家はテレビ局を辞めるし、離婚するし、
で大変だった~~。
もしかしたら相手を、そして自分までを
破滅に導いたかもしれない
こんな行動を起こしたほどの
強い感情って何だったんだろう。
いい人とは「どうでもいい人」とも言われる
ように、どんな人にも影の部分はある。
この方は自分のそんなところも
しっかりわかっていた。
人間なんて、役者なんて、
汚い部分ないと面白くないじゃない。
それがわかっているから
自分のなかにある嫌な部分や影をこそ、
演技や人間の深みにしてしまうことができるのですね。
死ぬ間際はそんな影の部分は陰を潜め、
いい人全開ですが。
ガンをカミングアウトしてからは
「死ぬ死ぬ詐欺」と言われたそうで、
確かにガンという病気すら自分の武器に
するところはあっぱれです。
欠点や逆境って、自分の大きな武器に
なると思えば、怖いものなしですよね。
統計は信じない、というところもこの人らしい。
というわけで、亡くなっても
健在な樹木さんでした。
いつも応援ポチ
ありがとうございます。
励みになっております。