閃き

変化も気付く事も無い平凡な毎日の中にきっと閃きがあるはず。閃きを求めた記憶

船大工

2015-04-09 07:29:25 | 閃き
海岸縁の漁師町に立ち寄った

そこは温泉もあるので人気も高く随分発展した

しかし、一歩町の中へ踏み込むとシャッター通りと化している

どこも今は同じ憂き目に会うようだ


夕食前に一風呂頂く事にして早速、最上階にある浴場へ行く

既に一人の先客が湯船に浸かっていた

先客は坊主頭に厳つい顔立ちをした初老の男性

直ぐに会話が始まった


その男性は北海道からやってきたという

近くの船大工に木造船を依頼に来たという

最近は木造船を作る船大工がいなくなり、後継者も少ないのだという


男性の話に依れば、船の舳先の丸みは樹の曲がりを利用する為に山で素性の善い樹を探すところから始まるのだという

木造船は手入れを怠らなければ永く持つのだそうな


初老の男性の話では、その風呂の縁にしいてある板は、その船大工の作だろうと言う

それは敷板の角の丸みが船大工特有のカンナでなければ出来ないからだと説明した

露天風呂の大きな木の風呂桶もおそらくその船大工の作に違いない


ふらりと立ち寄った海辺の温泉宿で、思いも掛けない船大工の事を教えられた

露天風呂の樹の桶の優しい感触と温泉を堪能しながら、善い出会いに感謝した
コメント
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