閃き

変化も気付く事も無い平凡な毎日の中にきっと閃きがあるはず。閃きを求めた記憶

古き友の死

2016-07-05 07:19:51 | 閃き
20代後半の頃、住まいの近くの喫茶店で知り合い、妙に気が合ったので自然とお付き合いが始まった友人がいた

友人と言ってもその当時は只、色々なお喋りをするだけの間柄だったが、経済団体に加入してからは実に色々な事を教わり共にした


彼は、小さいながらも町の老舗の酒屋さん

ずんぐりのイメージがあり、行動派タイプでは無いが相撲で例えるなら、じっくり取り組む腰の重いあんこ型力士だった

ロッテが何年かぶりに日本一になった夜、彼の恋の悩み相談に何時間も電話した記憶が懐かしい

彼の背中を押し、お目当ての彼女へのアタックをお手伝いする計画を練った

彼女の趣味のお茶にも、なにかと名目をつけてミニ茶会や茶懐石を体験する企画をし、なるべく打合せを彼と彼女で行う様にした

又、プライベートでは彼女の実家のお寿司屋さんに酒を呑まない彼を運転手にして彼と一緒に足繁く通い、会う機会を増やした

勿論、サポート役は私だけでは無く、彼の周りにいる大勢が担っていた

当時、彼女には恋人がいたようにも記憶しているが、結果的には恋を実現させるに至った


地元の子供達の為にと誘致した子供向けのスポーツイベントは地元に受け入れられ、今なお5月の祭りの時の行事として継続している

このイベントを誘致する時も彼に協力した

経済団体の役員の方々から夜遅く呼び出され、文句を言われ諦める様に言われたのだが、彼の粘り強い性格で1回限りの解砕として承諾頂いて開催に漕ぎ着けた

元々勝算があると見込んでいた彼は、開催すればその面白さ、大切さに気付いて貰えると自信があったのだろう

あっさり主催を経済団体から地元のお祭りに移管してしまった

経済団体の役員達も、誘致したという実績だけが残り面目を保ちつつ、現実には子供達の為になるイベントを定着させたその手腕は、戦国武将の軍師顔負けの見事な采配であった


経済団体を辞してからはめっきりお付き合いも無くなり、たまに街角で見かけるだけの関係になってしまっていたので、彼が病気になっていることも知らなかった

通夜で奥様にご挨拶を申し上げた時、知り合った当時の喫茶店のお嬢さんとも久し振りに偶然再会し、当時は本当に楽しかったと昔話に花が咲いた

お嬢さんが嫁に行ってからはその喫茶店も閉めてしまていたので、年賀状位のお付き合いである


病魔というのは恐ろしい、未だ若い彼の命を簡単に奪って行く

病院で域を引き取った彼の命日は、実は私の誕生日でもある

私が、お世話になったり、以前親しくして頂いている人で、私の誕生日に無くなったのは二人目である

長い文になったが、安らかなるご永眠をお祈り申し上げる