閃き

変化も気付く事も無い平凡な毎日の中にきっと閃きがあるはず。閃きを求めた記憶

線を束ねる

2017-12-20 07:42:26 | 閃き
子供の頃、初めて訪問した同級生の友人の部屋では驚きの連続であった

一人っ子の友人は両親から溢れるばかりの愛情を受け、贅沢とまでは言わないが当時としては羨ましい環境を与えられていた

当時高嶺の華であったステレオを買ってもらったというので見学に行ったのである


部屋は綺麗に整頓されていて、ご自慢のステレオも堂々とした配置に収まっていた

コンポタイプなのでプレーヤとスピーカーは別々であり、小学生の私にとっては未知の世界である

プレーヤーとスピーカー、アンプなどの配線について尋ねると自分で行ったという

興味があったので裏側を覗いてみると配線が綺麗に束ねられていた


彼の机の上も綺麗だったが、驚いたのは彼の机の引き出しである

小引き出しは区画されていて、鉛筆や消しゴム、定規など一目で判るようになっている

ここまでくると几帳面さも驚きに変わり、それ以来、彼の几帳面さの語り草になっている


会社で新しいプロジェクトを始めることとなり、新しく工場を借りて取り組む事になった

以前も工場として使用されていた所謂居ぬき物件であるが、一応全て手を入れなおさねばならない

内装に関しては全てリフォームするという姿勢は会社のやる気を彷彿させる

その責任者を命じられて3ヶ月が経過し、ほぼ完成に近づいてきた

完全空調設備を施した検査室に並ぶ機器類は目の飛び出る高額なものばかりである


昨日、ようやく電話回線が開通し、ささやかな事務室も出来上がった

ネットの環境も併せて行ったが、経費も掛けられないので機器類を綺麗にまとめる必要があった

電源等も含めて部下にまとめるように指示したが、性格なのであろうか、とてもまとめたとは言えない状態に

苦言を呈しつつ、線を束ねて綺麗に収めながら、子供の頃の友人を思い出した

歳を重ね、ようやく彼のように線を束ねることが自然に行えるようになれたと、今さらながらに感謝した
コメント
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