ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

夏祭りの色

2016-08-05 00:32:55 | 
長きにわたる曇天を掻き分け、太陽が顔を出し、大声を張り上げる

冷房を入れても、喉は冷たいものを欲しがり

僕は自分で補充した自販機で冷えた缶コーヒーを買う


7時を過ぎてもまだ明るさが残っている

僕は店を閉め、歩いてドラッグストアに向かう

途中、微妙な距離感で踏切が鳴り始めた

降りてくる遮断機を見ながら、僕は走り出し、軽く背を丸めてくぐった

走って生きてた遠い昔を思い出していた

彼から見たいまの僕は、どう評価されるのかな

そんな蔑むような眼を向けないで欲しい

哀れむような眼もいらない

君の言いたいことはわかるよ

それでも僕は、まだこの世にしがみついているんだ


彼方で響く太鼓の音

着物のおばさんのグループとすれ違い、後ろから少女たちの楽しげな声が聞こえた

僕は少しだけ長い瞬きをした

遠い夏祭りの色が映った






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