白雲去来

蜷川正大の日々是口実

噴射践板、転把って分かります。

2013-01-28 18:35:27 | インポート

一月二十四日(木)晴れ。

毎日、特別な用事がない限り、ほとんど自宅か事務所にいる。何をしているかと言えば、PCに向かって原稿を書いたり、新しいカタログのデザインをしたりで、あっという間に夕方になる。

五時を過ぎれば、子供たちが学校から帰ってきて、「お腹がすいたぁー」の連呼である。愚妻が帰ってくるのは七時ごろ。やっと晩酌の支度。ウッシッシと冷蔵庫を開けて、さぁーて何を肴に一杯やるかと、呑兵衛にはたまらない時間である。どんなに原稿や野暮用が立て込んでても六時過ぎは絶対に仕事をしない。大切な酒の時間を犠牲にしてまで、仕事なんかやっていられるか。

テレビがくだらない番組ばかりなので、本を酒の肴に加えて、日にちが変わる直前まで読みふけった。今日読んだ本は、司馬遼太郎の「歴史と視点-私の雑記帳-」(新潮文庫)である。

可笑しかったのは、司馬センセイは、戦争中に兵庫県の加古川の青野ヶ原にあった戦車十九連隊に初年兵として入隊した。当時、陸軍は海軍と違って、英語と民間語を宗教的禁忌のように嫌っていたそうだ。たとえば、ミシンはホウセンキであり、スリッパは上靴であり、ズボンは袴(こ)であり、物干しはブッカンバ(物干場)である。アクセルのことを噴射践板といった。クラッチは連動板であり、ハンドルは転把(てんぱ)。

いやはや頑固ですね。そう言えば、刑務所もその名残か、ズボン下は「袴下」、下着は「メリヤス」、講堂に入ることは「繰り込み」、食事は「喫食」と言っていた。ちなみに旧陸軍が使っていた三八式歩兵銃は、明治三十八年に正式採用されたので「三八式」。ゼロ戦は、昭和十五年の紀元二千六百年に採用されたので、最後のゼロをとって「ゼロ戦」と呼んだ。

あーあ酒だけは避けられねぇー。


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