白雲去来

蜷川正大の日々是口実

田舎は「行って良し、帰って良し」。

2013-08-26 16:52:33 | インポート

八月二十四日(土)晴れ。青森から帰宅。

青森での楽しみは何と言っても「食」にある。何しろ魚介類がとても安い。加えて、家のすぐ裏には義母が丹精込めた畑がある。愚妻に「オイ、ネギ無いの」と聞けば、義母が、愚妻に「畑から抜いてきて」。その他、キュウリ、ナス、ミョウガ、唐辛子に枝豆、トマトにミニトマト。食べる時に食べる量だけ畑からとってくる。こんな贅沢なことはない。最も、私は食べるだけで、耕す、植える、育てるという一番大切で大変な作業を省いているのだから、美味しいと思わなければ罰が当たる。

義母はゲートボールの大会とやらに出かけたので、挨拶も出来ずに空港へ向かった。申し訳なし。空港までは約一時間半。稲の実りで黄金色一色になった津軽平野の彼方にお岩木山が雲を従えて座っている。愚妻の、いや津軽の人たちの原風景であろう。短い滞在だったが津軽富士の別名のある岩木山にも感謝。空港まで送って頂いた義兄にお礼を言って、機上の人となった。

たいした揺れもなく羽田着。京急で井土ヶ谷まで。自宅に戻ったのは五時少し前のこと。窓を全開にして空気を入れ替えて片づけ。そうか今日は藤棚商店街の最後の縁日である。カメチャンに連絡して待ち合わせ。

しかし残念ながら、祭りが重なったのか、それとも先日の花火での事故の影響か、屋台がほとんど出ていない。仕方がないので「やまと」にて安着祝い。愚妻とアコチャン、ヒデちゃん合流。青森で魚ばかりの日々だったので、焼き鳥が美味い。少し飲んでから「一休寿司」に転戦。さすがに疲れているのか、「九べろ」(注・九時にベロベロの略)となって帰宅。


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斜陽館へ。

2013-08-26 16:25:40 | インポート

八月二十三日(金)晴れ。青森にて。

午前中に、五所川原の病院へ検査に行く義母を送って行った愚妻が戻り、皆で太宰治の生家として有名な斜陽館に行く。好きなテレビのBSの番組に「名作を旅してみれば」と言うものがある。その何回目かに太宰治の「津軽」が取り上げられていた。青森に行く前に子供たちにその番組を見せて置いたのが役に立った。

私は、十年ほど前に一度来たことがあるが、子供たちも大きくなって、また感慨も違うものがある。のんびりと斜陽館を見て回った。太宰を語るほど彼の小説を読んでいないが、何という題名の物か忘れたが、人の家に行って「しじみ」の実を食べるのを躊躇したとか、旅館の女中が、太宰に口説かれたと思って驚くものを読んだことがあり。こういった面白い物も書くのかと驚いたことがある。新潮社の日本文学全集を読破したのは、網走の大学時代のことだった。でも個人的にはそれほど好きな作家ではない。ごめんなさい。

Dscf6172※斜陽館。

遅まきながら文学全集などと向き合った網走時代。決して負け惜しみなどではなく、これまでの人生であれほど充実した時間を過ごしたことはなかった。読み、書き、思索し。そして耐え、忍び、諦観し・・・。怠惰な日々に流されていると、ふと寒さに震えながら独房で学んだ日々のことが懐かしく思えてならない。

気障なようだが、江戸後期の儒学者である菅茶山の「冬夜読書」に、冬に伐採の作業で行った山深い「住吉農場」でのことを思い出す。寒いので、薪ストーブの火を絶やさないように、交代で「薪当番」が回ってくる。その燃え盛る火を見て、いつも「冬夜読書」の詩をそっと口ずさんでいた。

雪擁山堂樹影深 雪は山堂を擁して 樹影深し
憺鈴不動夜沈沈 檐鈴(えんれい)動かず 夜沈沈

閑収乱帙思疑義 閑(しず)かに乱帙(らんちつ)を収めて疑義を思えば
一穂青灯万古心 一穂の青灯 万古の心

明治の香りのする斜陽館でそんなことを思い出していたら。後ろから子供たちが、「お腹がすいたぁー」。現実に引き戻された。

病院で検査を終えた義母を迎えに行き、途中でお決まりの魚屋へ寄り「ヒラメ」を仕入れた。四十センチサイズの物が二千五百円也。さすがに、刺し身にするには素人の私では無理なので、造ってもらった。青森最後の夜は、ヒラメの刺身で一杯。

 


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山の中 三十三湖 落葉かな

2013-08-26 15:28:29 | インポート

八月二十二日(木)曇り。青森にて。

 朝、何と寒くて目が覚めた。子供たちも「寒い」と言うので掛け布団を出してもらった。さすがに青森である。朝食は、昨日の「わらさ」の刺身と大好きな「筋子」。義母の漬けた「キュウリの麹漬け」は私の大好物。朝食を済ませてから皆でお墓参り。

愚妻の「先祖代々」のお墓は自宅から歩いて五分ぐらい所にある。お墓を掃除して、お花を供えてから皆で手を合わせた。岳父が亡くなってから早いもので九年が過ぎた。お墓のすぐ近くには「陸軍上等兵〇〇の墓」がある。墓誌によれば昭和十三年上海事変に出征。漢口付近にて戦死」とあった。英霊となった皇軍兵士のお墓にも手を合わせた。

午後から、世界遺産となっている白神山地にある十二湖(じゅうにこ)へ向かった。十二湖は、青森県西津軽郡深浦町にある複数の湖の総称。資料によれば、「白神山地の一角で、津軽国定公園内にある。十二湖を構成するこれらの湖は、1704年の能代地震による崩山(くずれやま、標高939.9m)の崩壊で塞き止められた川から形成されたのではないかと推定されている。十二湖という名称は広大なブナの森に点在する33の湖沼が、「大崩(標高694m)から見ると湖沼数が12に見える」ということに由来するとも言われているが、詳しくは分かっていない。ただし、偶然にも面積が10,000平方メートルを超える湖沼数は12となっている。近隣にはブナ林が密集し、それらの水分の含有量が多いため、自然の造った水桶あるいはダムのようであり、しかも自然の浄化装置を持つとでも表現できるほどの水質の良い水が各所で湧き出している。海抜約250m付近の台地に点在する湖の総数は約30あり、それぞれ透明度は高い」。

その中の「青池」は、まるで青インクを流し込んだようなコバルトブルーが特徴で、陽光と見る角度によって変化する表情が幻想的。湖面の色がブルーに見える理由はいまだ不明で神秘的な魅力を持っている。白神山地の雄大な自然に囲まれた美しい湖は多くの人々を魅了し癒してくれるパワースポットとしても大変人気の場所。今日も、若い女性のグループが沢山来ていた。

Dscf6146※本当に神秘的です。

青池の手前にある鶏頭場(けいとば)の池の前に明治の文豪、大町桂月の句碑があった。桂月がこの地を訪れた際の一句を刻んだ碑。 

Dscf6145※「山の中 三十三湖 落葉かな」 桂月の句碑だが、誰も興味を示さない。ナメンナヨ!

その後、「千畳敷海岸」の近くにある「道の駅」にて、ヒラマサを買った。これも二千円也。早めに晩酌。愚妻の親せきら集まったが、酔うと何を言っているのかさっぱり分からない。津軽弁恐るべし。

 


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青森へ。

2013-08-26 09:09:44 | インポート

八月二十一日(水)晴れ。青森へ。

朝八時に、家族を叩き起こして朝食。今日から愚妻の里に帰省するので、冷蔵庫の在庫整理の意味もあってテーブルはいつもと違って豪華なものとなった。

車で羽田に行ってそのまま駐車場に置いておこうかとも思ったが、愚妻曰く「駐車料金の一万円はもったいない」ということで、仕方がなくバス、京急を乗り継いで羽田行きとなった。何しろ、稼ぎのない私は、我が家の財務大臣には頭が上がらない。

最近は便利になって京急は羽田まで直行で行く。下車すれば五分もかからないうちにカウンターへ着く。一時半の出発までまだ時間があるので、地下のフードコートで軽食を取ったが、ここが最低だった。まあ聞いたことのあるようなお店もあるので、幾らかは大丈夫かと思ったが、がっかり。私は「五目焼きそば」を頼んだが、どう見ても、食べても「レトルト食品」としか思えない物だった。民営化される前の東名のSAも、ゴミみたいな料理しかなかったが、それを思い出した。まあ、そういう店と分かっただけでも正解か。子供たちはスパゲティー。推して知るべし。

飛行機がランディングしている最中に、寝てしまった。飛行機嫌いの私としては最高のパターン。無意識に背もたれを倒したのだろう。良く眠れたが、これが失敗だった。「当機はあと十五分ほどで青森空港に・・・」との機内アナウンスがあったのだろう、CAが「すみません背もたれを戻してください」に起こされた。ああもうすぐ到着か。と思ってから二三分すると、飛行機が雲の中に入ったのか、ものすごく揺れだした。エアーポケットかすーっと下がって、お尻が浮いた。いやはや、こんなに揺れたのを経験したのは初めてかもしれない。

背もたれをそのままにしておけば、起こされずに、この揺れも夢の中だったかもしれないと思っても後の祭り。それでも恙なく到着。空港に迎えに来てくれていた義兄の車で、実家へ。途中、是非見て行きなさいと、津軽平野の南部にある田舎館村の「田んぼアート」を見学に行く。村役場の裏にある「田んぼアート」は役場の屋上から見るのだが、百人ぐらい人がエレベーターの順番を待っている。

自分たちの順番が来て、屋上から眺めた「アート」は、これが本当に稲で創作されているのか、とても信じられなかった。感激。

Dscf6086

Dscf6095※素晴らしいの一言でした。

実家に到着する前に、さかなの専門店に寄り今晩の肴を購入。このお店に来るのが帰省の楽しみでもある。何と五十センチ近い「わらさ」が二千円。早速購入した。五時ごろ、実家着。義母にご無沙汰を詫びて、お仏壇に手を合わせ岳父に帰省の報告。夜は、わらさを肴に安着祝い。


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