私には今日が体育の日だ。

十月十日（土）曇り。

私の世代は、今日が体育の日である。昭和三十九年の今日、アジアで初めてのオリンピックが東京で開催された。私は中学の二年生で陸上部に籍を置いていた。その日は土曜日、学校は半ドン。急いで家に戻ってオリンピックの開会式をテレビで見た。

テレビ実況を担当したNHKのアナウンサーは冒頭で、「世界中の青空を全部東京に持ってきてしまったような、素晴らしい秋日和でございます」。と述べ、またラジオ実況を担当したアナウンサーは、式典の最初のオリンピック序曲の演奏が始まると、「東から西から、南から北から、海を越えて、空を飛んで、世界の若人が、世界のスポーツマンが、東京に集まって来ました」。と述べた。

最後尾で国立競技場に入り行進する日本の選手団に興奮した。響き渡るファンファーレ、聖火の最終ランナー、ブルーインパルスの描いた五輪の輪。何もかもが感動的だった。因みに、聖火の最終ランナーが坂井義則に決まった理由は広島への原爆投下の日の昭和二十年年八月六日に広島県三次市で生まれ、陸上競技選手であり、その平和の象徴として選ばれた。その坂井氏は、昨年の九月、脳出血で亡くなられた。

私は、五十一年前の東京の青空を今でも思い出すことができる。日本人が揃って日の丸を応援したあの日を。

なぜか体育の日が、十二日に変更となった。様々な理由があるのだろうが、歴史的な日をずらして何の意味があるのだろうか。祭日の本来的な意味がなくなり、それに伴い、伝統文化も薄れていくと思うのは私だけではないだろう。

夕方から事務所へ。夜は七時過ぎから酔狂亭で、「牛筋の煮込み」を肴に独酌。