一月六日(金)晴れ。
野村先生の獄中句集『銀河蒼茫』の「冬の句」の中に、「いまは亡き悲願の人の悲願を継ぐ」というものがある。先生が千葉時代において「今は亡き悲願の人」と言うのは、昭和四十六年の十月に亡くなられた三上卓先生のことであろう。
野村先生は、旅に出ると、良く絵葉書を書いて送ってくれた。一緒に、海外に出ている時も、事務所の人たちにマメに絵葉書きを送った。
それを見ていたせいもあって、私も旅に出ると、家族や友人に良く絵葉書を書いた。しかし、三泊四日程度の小旅行だと、子供たちに宛てた葉書よりも私の方が先に家に着いてしまい、手紙を出したことの意味がなくなってしまう。それでも、飛行機の中の無聊を紛らわせるために、葉書を書いていると、「ああ旅に出たんだなぁー」という感慨が湧いてきて旅も楽しくなる。
後輩で、大陸浪人の杉山茂雄君も海外に出ると、必ず葉書を送ってくれる。絵葉書が好きな私としては、彼からの葉書をまとめておいて、たまに読み返す事がある。手紙を書いている時は、相手のことを思って書いているので、一枚の葉書の中に、出す人の思いがこもっているような気がする。
今は亡き人の悲願…と言うほどではないが、旅先で葉書や手紙を書くことを教えてくれたのは、野村先生である。
夜は、頂き物の酒を懐に抱いて、酔狂亭で月下独酌。
野村先生の獄中句集『銀河蒼茫』の「冬の句」の中に、「いまは亡き悲願の人の悲願を継ぐ」というものがある。先生が千葉時代において「今は亡き悲願の人」と言うのは、昭和四十六年の十月に亡くなられた三上卓先生のことであろう。
野村先生は、旅に出ると、良く絵葉書を書いて送ってくれた。一緒に、海外に出ている時も、事務所の人たちにマメに絵葉書きを送った。
それを見ていたせいもあって、私も旅に出ると、家族や友人に良く絵葉書を書いた。しかし、三泊四日程度の小旅行だと、子供たちに宛てた葉書よりも私の方が先に家に着いてしまい、手紙を出したことの意味がなくなってしまう。それでも、飛行機の中の無聊を紛らわせるために、葉書を書いていると、「ああ旅に出たんだなぁー」という感慨が湧いてきて旅も楽しくなる。
後輩で、大陸浪人の杉山茂雄君も海外に出ると、必ず葉書を送ってくれる。絵葉書が好きな私としては、彼からの葉書をまとめておいて、たまに読み返す事がある。手紙を書いている時は、相手のことを思って書いているので、一枚の葉書の中に、出す人の思いがこもっているような気がする。
今は亡き人の悲願…と言うほどではないが、旅先で葉書や手紙を書くことを教えてくれたのは、野村先生である。
夜は、頂き物の酒を懐に抱いて、酔狂亭で月下独酌。