78歳男性が呼吸器科外来(大学からの応援医師担当)を受診した。当院呼吸器科で診断してがんセンターに紹介されていた。小細胞肺癌で抗がん剤治療と脳転移の対する放射線治療を受けていた。骨転移も進行して、そろそろ癌に対する治療は限界になり、あとは緩和ケアのみで経過をみることになった。応援医師だと医療用麻薬の処方ができないので、内科で担当することになった。
患者さんはまだ、というのも何だが、割に元気だった。食欲もあり、癌性疼痛はオキシコンチン20mg/日で治まっていた。子供はいないそうで、年上の老妻と二人暮らしだった。その妻の弟が何かと面倒をみていて、今日も車で送ってきていた。患者さんも病状の説明は全部聞いているというが、理解力が乏しいと思われた。難聴があって、かなり頑固な印象だった。肺内の転移もあるが、脳転移や骨転移の進行で病状が悪化すると予想された。まずは、がんセンターと同じ処方を継続とした。2週間から1か月おきに経過をみていくが、どのくらい持つものか。できるだけ自宅で過ごして、いよいよ悪化した時に入院という、いつもの方針でいくことにした。