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街場の血液学
宮崎医院 宮崎 仁先生
街場の血液学
宮崎医院 宮崎 仁先生
第6回 血小板の異常を診る
血小板増加
Case 84歳女性
白血球9300(分葉核球68.7%、好酸球2.8%、好塩基球0.3%、リンパ球24.4%、単球3.9%)、Hb13.2%、血小板76.4万
・好中球アルカリホスファターゼ(NAP)活性正常
・BCR/ABL(FISH)陰性
・JAK2遺伝子変異陽性
・BCR/ABL(FISH)陰性
・JAK2遺伝子変異陽性
読み方
・白血球著増なし
・白血球分画正常
・血小板著増
・BCR/ABL陰性
・白血球著増なし
・白血球分画正常
・血小板著増
・BCR/ABL陰性
診断:本態性血小板血症
血小板増加の鑑別
血小板増加45万/μl以上(実際は60万以上が続かないと有意にとらない気がする)
(一過性?)
・生理的増加?
・反応性?
・クローナル?
血小板増加の鑑別
血小板増加45万/μl以上(実際は60万以上が続かないと有意にとらない気がする)
(一過性?)
・生理的増加?
・反応性?
・クローナル?
反応性血小板増加症を来す病態
1.鉄欠乏(一番頻度が高い)
2.脾臓摘出後
3.外傷・外科手術後
4.感染症
5.慢性炎症性疾患
6.リウマチ・膠原病関連疾患
7.悪性腫瘍
8.リンパ増殖性疾患
9.その他
1.鉄欠乏(一番頻度が高い)
2.脾臓摘出後
3.外傷・外科手術後
4.感染症
5.慢性炎症性疾患
6.リウマチ・膠原病関連疾患
7.悪性腫瘍
8.リンパ増殖性疾患
9.その他
血小板増加を来すクローナルな血液疾患
1.本態性血小板血症(ET)
2.慢性骨髄性白血病(CML)
3.真性多血症(PV)
4.原発性骨髄線維症(PMF)
5.骨髄異形成症候群(MDS)(一部)
1.本態性血小板血症(ET)
2.慢性骨髄性白血病(CML)
3.真性多血症(PV)
4.原発性骨髄線維症(PMF)
5.骨髄異形成症候群(MDS)(一部)
本態性血小板血症の頻度
・クローナルな増加のなかでは45%
・血小板増加症全体でみると5%(今まで2例しか経験してない。)
・クローナルな増加のなかでは45%
・血小板増加症全体でみると5%(今まで2例しか経験してない。)
血小板増加症のポイント
・血小板増加症の大半は反応性(二次性)であり、原因となる基礎疾患がある
・本態性血小板血症(ET)などの骨髄増殖性腫瘍に由来するものは全体の10~20%にすぎない
・一過性の血小板増加も多いので、血小板数を経時的に追うことが大切
・血小板増加症の大半は反応性(二次性)であり、原因となる基礎疾患がある
・本態性血小板血症(ET)などの骨髄増殖性腫瘍に由来するものは全体の10~20%にすぎない
・一過性の血小板増加も多いので、血小板数を経時的に追うことが大切
血小板減少
Case 30歳男性
検査で指摘、症状なし
白血球数4600、Hb15.9、血小板数1.1万、凝固系検査正常
診断:EDTA依存性偽性血小板減少症(有名だがそんなにはないと思う)
採血管内の血小板凝集
EDTA以外の抗凝固薬(フッ化Na、クエン酸Na、ヘパリン)を用いた板採血管で再検査すると血小板数は正常
採血管内の血小板凝集
EDTA以外の抗凝固薬(フッ化Na、クエン酸Na、ヘパリン)を用いた板採血管で再検査すると血小板数は正常
薬剤性血小板減少症を来す薬剤
1.ヘパリン
2.キニン、キニジン
3.抗リウマチ薬(金製剤、D-ペニシラミンなど)
4.抗菌薬(ST合剤)
5.抗けいれん薬(バルプロ酸、カルバマゼピン、フェニトインなど)
6.H2ブロッカー(シメチジンなど)
7.鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)
8.利尿薬(サイアザイド系利尿薬)
9.抗がん剤/免疫抑制剤
Case 30歳女性
1カ月前から点状出血、紫斑。2日から鼻出血。
白血球4800、Hb13.2万、血小板1.1万、凝固系検査正常
診断:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
1カ月前から点状出血、紫斑。2日から鼻出血。
白血球4800、Hb13.2万、血小板1.1万、凝固系検査正常
診断:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
ITP診断のポイント
・血小板少(<10万/μl)あり
・偽性血小板減少症ではない
・末梢血スメアでMDSを疑わせるような形態以上(dysplasia)なし
・貧血なし
・白血球数正常
・血小板減少を来しうる各種疾患を否定できる(ITPは除外診断)
・血小板少(<10万/μl)あり
・偽性血小板減少症ではない
・末梢血スメアでMDSを疑わせるような形態以上(dysplasia)なし
・貧血なし
・白血球数正常
・血小板減少を来しうる各種疾患を否定できる(ITPは除外診断)
血小板減少に対する対応(ほかの血球に異常がない場合)
・血小板数10万以上で「出血症状なし」なら経過観察
・血小板数5~10万なら精査
・血小板数5万以下なら精査・治療
・血小板数2万以下なら緊急の対応が必要
・血小板数10万以上で「出血症状なし」なら経過観察
・血小板数5~10万なら精査
・血小板数5万以下なら精査・治療
・血小板数2万以下なら緊急の対応が必要
(血小板数10万未満が続けば、PAIgG・抗血小板抗体を測定した上で血液内科へ紹介している。すでに診断がついている患者さんが1名外来通院していて、プレドニン5mg/日で安定している。)
血小板減少症のポイント
・血小板数のみが低下しており、それに見合うだけの出血症状がない場合は、偽性血小板減少症を疑う
・ITPと診断するためには、血小板減少を生じる可能性のある病態を除外する必要あり
・血小板数2万以下では、緊急の対応を
・血小板数のみが低下しており、それに見合うだけの出血症状がない場合は、偽性血小板減少症を疑う
・ITPと診断するためには、血小板減少を生じる可能性のある病態を除外する必要あり
・血小板数2万以下では、緊急の対応を
プライマリケア学会のセミナーで宮崎先生のワークショップに出た。著者サイン入り。