なんでも内科診療日誌

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街場の血液学~血小板の異常を診る

2018年12月16日 | Weblog
CareNeTV
街場の血液学
 宮崎医院 宮崎 仁先生
 
第6回 血小板の異常を診る
 
血小板増加
 
Case 84歳女性
 白血球9300(分葉核球68.7%、好酸球2.8%、好塩基球0.3%、リンパ球24.4%、単球3.9%)、Hb13.2%、血小板76.4万
 ・好中球アルカリホスファターゼ(NAP)活性正常
 ・BCR/ABL(FISH)陰性
 ・JAK2遺伝子変異陽性
 読み方
 ・白血球著増なし
 ・白血球分画正常
 ・血小板著増
 ・BCR/ABL陰性
 診断:本態性血小板血症
 
血小板増加の鑑別
 血小板増加45万/μl以上(実際は60万以上が続かないと有意にとらない気がする
 (一過性?)
 ・生理的増加?
 ・反応性
 ・クローナル
 
反応性血小板増加症を来す病態
 1.鉄欠乏(一番頻度が高い)
 2.脾臓摘出後
 3.外傷・外科手術後
 4.感染症
 5.慢性炎症性疾患
 6.リウマチ・膠原病関連疾患
 7.悪性腫瘍
 8.リンパ増殖性疾患
 9.その他
 
血小板増加を来すクローナルな血液疾患
 1.本態性血小板血症(ET)
 2.慢性骨髄性白血病(CML)
 3.真性多血症(PV)
 4.原発性骨髄線維症(PMF)
 5.骨髄異形成症候群(MDS)(一部)
 
本態性血小板血症の頻度
 ・クローナルな増加のなかでは45%
 ・血小板増加症全体でみると5%(今まで2例しか経験してない。
 
血小板増加症のポイント
 ・血小板増加症の大半は反応性(二次性)であり、原因となる基礎疾患がある
 ・本態性血小板血症(ET)などの骨髄増殖性腫瘍に由来するものは全体の10~20%にすぎない
 ・一過性の血小板増加も多いので、血小板数を経時的に追うことが大切

血小板減少
 
Case 30歳男性
 検査で指摘、症状なし
 白血球数4600、Hb15.9、血小板数1.1万、凝固系検査正常
 診断:EDTA依存性偽性血小板減少症(有名だがそんなにはないと思う
  採血管内の血小板凝集
  EDTA以外の抗凝固薬(フッ化Na、クエン酸Na、ヘパリン)を用いた板採血管で再検査すると血小板数は正常

薬剤性血小板減少症を来す薬剤
 1.ヘパリン
 2.キニン、キニジン
 3.抗リウマチ薬(金製剤、D-ペニシラミンなど)
 4.抗菌薬(ST合剤)
 5.抗けいれん薬(バルプロ酸、カルバマゼピン、フェニトインなど)
 6.H2ブロッカー(シメチジンなど)
 7.鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)
 8.利尿薬(サイアザイド系利尿薬)
 9.抗がん剤/免疫抑制剤
 
Case 30歳女性
 1カ月前から点状出血、紫斑。2日から鼻出血。
 白血球4800、Hb13.2万、血小板1.1万、凝固系検査正常
 診断:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
 
ITP診断のポイント
 ・血小板少(<10万/μl)あり
 ・偽性血小板減少症ではない
 ・末梢血スメアでMDSを疑わせるような形態以上(dysplasia)なし
 ・貧血なし
 ・白血球数正常
 ・血小板減少を来しうる各種疾患を否定できる(ITPは除外診断)
 
血小板減少に対する対応(ほかの血球に異常がない場合)
 ・血小板数10万以上で「出血症状なし」なら経過観察
 ・血小板数5~10万なら精査
 ・血小板数5万以下なら精査・治療
 ・血小板数2万以下なら緊急の対応が必要
 血小板数10万未満が続けば、PAIgG・抗血小板抗体を測定した上で血液内科へ紹介している。すでに診断がついている患者さんが1名外来通院していて、プレドニン5mg/日で安定している。
 
血小板減少症のポイント
 ・血小板数のみが低下しており、それに見合うだけの出血症状がない場合は、偽性血小板減少症を疑う
 ・ITPと診断するためには、血小板減少を生じる可能性のある病態を除外する必要あり
 ・血小板数2万以下では、緊急の対応を
 
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コメント
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