先週の土曜日の日直の時に受診した85歳女性は、3~4日前から右上下肢の動きが悪いという訴えだった。これは脳梗塞だろうと思って診たので、左右を比較して確かに若干右側の脱力があるかもしれないと判断した(先入観)。
この患者さんにはまず頭部MRI検査を受けてもらって、その間に他の患者さんを診ておくことにした。MRIが終わって画像を見ると、拡散強調画像で新規の病変はなかった。陳旧性の病変もない。
改めて診察すると、脱力というよりは肩や腰部・大腿が痛くて動きが悪いのだった。それも左右。右側がと言ったのは利き手の方が不便を感じるせいだろう。蹲踞からの起き上がりは痛くて大変だった。朝のこわばりもあるという。白血球数7200(普段は4000)・CRP6.1と炎症反応の上昇を認めた。
リウマチ性多発筋痛症だった。連休明けまでプレドニンで経過をみることにした。発熱はなく、これまで経験で程度からは軽度から中等度なので、プレドニン10mg/日で開始した。
今日外来に来たが、症状が軽快して喜んでいた。白血球数8300(プレドニンのため)・CRP0.2となって、血沈は64/87mmと亢進していた。抗CCP抗体(外注)も出した。プレドニン10mg/日1か月投与で再受診とした。寛解を確認して、1mgずつの減量は、かかりつけの内科クリニックの先生に依頼する予定だ。
今日外科内科クリニック(外科医)に高血圧症で通院している71歳女性が、5~6日前からの同じ症状で当院の内科新患を受診した。痛くて動けないとい症状だった。施設から紹介の患者さんなどを診に外来にいたが、話だけでリウマチ多発筋痛症と思われたので、最初から直接診ることにした(新患は大学病院からのバイトの先生。
3日前から急性に発症していた。両肩が上がらず、蹲踞からの立ち上がりが難しかった。白血球数7300・CRP1.7と軽度だったが、血沈は73/97mmと亢進していた。この方もリウマチ性多発筋痛症のようだ。比較的軽度な方で(1人で歩いて受診している)、プレドニン10mg/日で治療開始とした。
リウマチ性多発筋痛症は本当にcommon diseaseだと思う。臨床診断(除外診断)なので、経過を見ないと確定できないという不安はあるが、間違いないと症状が劇的に軽快して患者さんに喜ばれる。