なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

少しだけ回復していた

2018年12月28日 | Weblog

 水曜日に地域の基幹病院脳神経内科から、80歳女性が転院してきた。当院の消化器内科に通院していたが(といっても逆流性食道炎でPPI1剤のみの処方)、今月初めの日曜日の夜間にけいれん発作で救急搬入された。

 当直医(大学病院からバイトの外科医)がジアゼパム5mg静注を3回行ったが、けいれんが治まらず、基幹病院に救急搬送していた。てんかん重積状態としてミダゾラム点滴静注が行われて、何とかけいれんは治まったそうだ。

 発熱・酸素飽和度の低下があり、重症の両側誤嚥性肺炎をきたしていたことが判明した。抗菌薬変更などでこれも何とか治まったが、昏睡状態が続いていた。もともと糖尿病もあるが、血糖が900mg/dlまで上昇して、糖尿病科もかかわったそうだ。

 両側誤嚥性肺炎から高血糖高浸透圧症候群になり、さらにてんかん重積発作になったという経緯らしい。脳炎髄膜炎とはされていないが、通常の抗菌薬量で肺炎が軽快しているので、ないのだろう。

 もともと認知症があり、会話も単語程度で、自宅内を這って移動するくらいのADLだった。昏睡寝たきり状態となり、お看取りの方針となっていた。点滴ンラインはCVカテーテルが挿入されていたが、点滴は末梢用のソルラクト500mlのみになった。

 先週脳神経内科医から転院依頼の連絡がきて、「お看取りで」と言われた。確かにその状態ではどうしようもないと思われた。ところが、当院に転院すると患者さんは開眼していた。ただし視線は合わないし、発語もない。

 家族の話では先週末から開眼していたそうだ。家族もすっかり諦めていたが、開眼すると少し希望も出る。もう抗てんかん薬も入りません、血糖測定も不要ですという紹介内容だったが、会う程度は治療してみようと思った。

 まずは末梢用のグルコース入り点滴にしてインスリンで血糖を調整して、全身浮腫に対して利尿薬を使用することにした。家族との話し合いで、心肺停止時の心肺蘇生はしないことになったが、点滴でできる治療を進めて反応をみることにした。

 時々開眼するだけで回復は止まってしまいそうで、そこからどれほどのことをするかは悩ましい。

 

 

  

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