なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高齢者のてんかん(講演会)

2018年12月02日 | Weblog

 木曜日にてんかんの地域医療連携セミナー行ってきた。てんかんを専門とされる脳神経内科医と脳神経外科医が講演があった。

 

 最初に脳神経内科の先生が、てんかんの新薬の話をされた。

 第3世代の3LPを使用して下さいという話だった。3LPは、Lで始まるレベチラセタムLevetiracetam(商品名イーケプラ)・ラモトリギンLamotrigine(商品名ラミクタール)・ラコサミドLacosamide(商品名ビムパット)とPで始まるペランパネルPerampanel(商品名フィコンパ)

 これらは作用が強いというよりは副作用が少なく、他剤との相互作用が(薬によるが)少ない。古典的なフェニトイン・バルプロ酸・カルバマゼピンではなく、最初から第3世代を使用して下さいという。ただし薬価が高いので、自己負担が1割になる自立支援医療の申請をするよう勧めていた。

 てんかん講座の教授から紹介された患者さん2名はさっぱり発作が治まっておらず、てんかん薬を変更して何とか改善したという話で、会場の笑いをとっていた。難治性てんかんで専門医も治療に苦慮するレベルの話だが。

 

 その後に脳神経外科医の先生が「高齢者のてんかん」の話をされた。

 てんかん発作型分類(2017)では、焦点発作(以前の部分発作)と全般発作があり、焦点発作は覚醒(以前の単純)と意識減損(以前の複雑)に分かれる。

 てんかん病型分類(1989)では焦点性・全般性がそれぞれ、特発性症候性に分かれる。

 てんかんの発症は10歳以下で多く、その後低下して、65歳以上の高齢者でまた増加する。高齢者では、脳血管障害・認知症・脳腫瘍・外傷・感染症などによる症候性てんかんになる。

 高齢者の焦点性意識減損発作(以前の複雑部分発作。二次性全般化になれば痙攣する。)では、けいれんしない発作が大部分だそうだ。急にぼんやりしたり、動きが止まったり、奇異な動きを繰り返いしたりということで気づかれる。

 非けいれん性てんかん重積non-convulsive atatus epilepticusは原因不明の意識障害の8~20%を占める。変容する意識障害、顔面ミオクローヌス・眼振、失語・せん妄・認知症様症状、先行するけいれん発作後の遷延性意識障害で疑う。診断には脳波検査が必須になる。予後不良で死亡率57%という報告もある。

 要は、高齢者てんかんはけいれんしない発作が大部分ということ。

 講演後に、非けいれん性てんかん重積の治療について確認の質問をした。治療はけいれん性と同様のジアゼパム静注とそれに続く抗てんかん薬の点滴静注になります、ということだった。まあ当然だとは思うが、けいれん性ではためらうことなくジアゼパム静注を行うのに対して、非けいれん性では意識障害の鑑別がつかない状況での使用になるので、ジアゼパム静注はためらってしまいそうだ。

 てんかんのガイドラインの項目に「痙攣」と記載されているが、非けいれん性もあるので、正しくは「てんかん発作」とすべきだと言われていた。こういうのは直接聴かないとわからない話だ。

 

 

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