なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

S状結腸穿孔?

2021年01月04日 | Weblog

 12月31日日直の時に、腹痛の90歳男性が救急搬入された。ふだんは車を運転しているそうで(それも怖いが)、認知症はない。

 午前7時半ごろに朝食をとろうとした時に、突然腹痛が発症した。部位は臍部から左下腹部だった。痛いというより、唸り続けているということで、家族が救急要請した。当院は緊急手術ができないので、当院で診察して手術を要すると判断された時はさらに搬送するつもりだった。

 痛みの部位に圧痛があるが、我慢強いのか、そんなに痛くないと言ったりする。当初はS上結腸穿孔を疑って、排便ではないかと訊いたりした。

 発症2時間後なので、白血球3100・CRP0.1と炎症反応上昇はなかった(むしろ白血球減少?)。腎機能を確認して、腹部造影CTを行ったが、直腸~S状結腸に便がたまっているが、腸管の穿孔はなかった。救急室で排便があり、まったくの普通便だった。

 腸管に造影不良域は指摘できず、上腸間膜動脈・腹腔動脈に血栓塞栓や解離はない(心電図は洞調律で心房細動はない)。腸閉塞ではなかった。非閉塞性腸間膜虚血も考えたが違うようだ。

 アセリオ1000mg点滴静注を行うと、腹痛は軽快して痛くないという(実際は軽減しただけだった)。本人と家族に、今のところはっきりしないので、入院で経過をみてまた検査を考えると伝えた。

 夜間は腹痛で、アセリオ1000mg点滴静注をソセゴン7.5mg静注が行われた。翌1月1日朝にもアセリオ1000mg点滴静注を追加していて、その2時間後に診に行ったことになる。訊くと今は痛くないと答えるが、実際は持続痛がある。圧痛だけではなく、デファンスがあるとしていい?。

 白血球13000・CRP13.9と炎症反応を再検すると上昇していた。腹部造影CTも再検したが、あまり所見がないように見えた。外科当番の先生に相談して診てもらった。

 最初は経過をみるしかないかと言っていたが、少量の腹腔内液体貯留を指摘された。それに接するS状結腸の壁が一部切れているようにも見える。

 S状結腸の小穿孔とそれにる腹膜炎とすると症状は合う。少なくとも、外科手術ができる態勢で経過をみるか、すぐに手術するかを決める必要がある。

 外科医が直接、地域の基幹病院の外科に連絡してくれた。先方のたぶんトップの先生が出て、引き受けてくれた。家族に連絡して、当院ではなく、先方の病院に直接行ってもらうとにして、すぐに救急搬送した。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする