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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

広範なすりガラス陰影

2021年01月30日 | Weblog

 水曜日の夜間に呼吸困難の96歳女性が救急搬入された。当直は内科の若い先生だった。

 グループホームに入所していた。前日から咳をしていたそうだ。水曜日の日中に酸素飽和度が低下して、内科クリニックを受診した。経口抗菌薬(第3世代セフェム)を処方されて、木曜日に当院外来の予約をとっていた。(クリニックでの胸部X線)

 搬入時は酸素吸入5L/分を要した。胸部X線では日中に比べて心拡大・すりガラス陰影の著明な増加を認めた。胸部CTですりガラス陰影の分布がわかりやすく描出されている。

 心電図では以前からの心房細動があり、右脚ブロックになっていた。BNPは189と上昇していたが、以前に受診した時(呼吸不全ではない)と比べて変わりなかった。肺炎・心不全として入院させて、家族と相談して病状悪化時はDNRの方針となった。

 搬入時に発熱がなかったためか、発熱外来としても扱いにならなかったらしい。普通に救急室に搬入されて、検査後にもともとICUとして使用していた病室(3つのベットが間隔は大分離れているが、並んでいる)に入院していた。

 翌日すりガラス陰影ということで、問題になった。外来看護師長も病室に確認に行っていた。対応がまずかった、ということになった。(看護師不足で夜間の外来は看護師2名から1名になった)

 心不全について相談した循環器科医からも、コロナは大丈夫なのかという話が出た。個室に移動して、新型コロナウイルスPCR検査(院内に入った簡易的PCR)とインフルエンザ迅速試験を行ったが両者とも陰性だった。(グループホーム入所の高齢者が突然コロナになることは考えにくいが)

 放射線科の読影は「急性肺炎、急性間接性肺炎?」だった。白血球10300・CRP7.7でLDHが311と上昇していた。間質性肺炎のマーカー(KL-6、SP-D)を提出したが、外注で結果は来週になる。

 聴診ではcoarse cracklesが聴取されて、両下肢の浮腫がある。日中にクリニックで撮られた胸部X線と、同日夜間に当院で撮られたX線を見ると肺水腫の進行になる(急性間質性肺炎はここまで速くはない?)。

 ラシックス注・抗菌薬に加えて、ステロイド・ハンプ点滴静注を追加したが(血圧は高めで推移)、週末を乗り切れないかもしれない。

 

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