なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

新型コロナウイルス感染症~やっと解熱

2021年01月18日 | Weblog

 1月12日に入院した新型コロナウイルス感染症の43歳男性は、入院後も高熱が続いた。

 1月5日に咽頭痛が出現した。1月7日から高熱が出て、4日間高熱が続いた。1月11日に当院の救急外来(発熱外来)を受診した。日直は内科の若い先生で、コロナの抗原検査を提出して陽性と出た。

 入院患者さんの急変で病院にいたので、抗原検査陽性者が出ましたと相談された。コロナの患者さんとの濃厚接触歴はないそうだ。保健所にその旨を報告して、その日にPCR検査を提出した。

 翌1月12日にPCR検査陽性と判明して、新型コロナウイルス感染症と確定された。高熱が続いていたので、その日の午後に入院した。

 発症から8日目だったので、有意な肺炎を併発しているだろうと予想された。胸部CTで両側肺野にすりガラス陰影が多発していた。いかにもコロナの陰影だった。白血球5000・CRP4.3と炎症反応はさほどでない。

 

 発症から8日目で、ちょっと時期的に早いかとも思ったが、デキサメサゾンを開始した。入院後も高熱が続き、酸素飽和度が92%(室内気)となったので酸素吸入(1L/分)を開始した。

 1月13日、14日、15日と高熱が続いた。1月15日に血液検査の再検と、ちょっと早すぎるが胸部CTを再検した(土日の前に評価したかった)。

 白血球12300(デキサメサゾン後)・CRP4.3と炎症反応は同程度だった。胸部CTではすりガラス陰影が広がっていた。

 呼吸器外来に来てもらっている大学病院感染症科の先生に相談した。確かに陰影は広がっているが、酸素吸入は1L/分で中等症Ⅱにぎりぎり入るくらいになる。そのままデキサメサゾンを継続するしかない、ということだった。

 線状の引きつれた陰影は初期像ではなく、少し経過している時の陰影で、収束しているのかもしれないと言われた。感染初期にすぐに悪化する場合はすりガラス陰影が全体に広がるそうだ。この患者さんのような陰影は後になって悪化する時の陰影だという。

 デキサメサゾンが過剰な炎症を抑えきれていないが、そのうちに効いてくる時期がくる(らしい)。解熱する時にはスーッと下がりますから、とも言われた。

 病棟の看護師さんたちは急変するのではないかと不安な気持ちで診ていた。大学病院の先生の話を伝えて、診療情報提供書とCT画像のCD取り込みを行って、搬送時の準備をした。(準備をしていると案外使わないですむのでは、という変な占い的な気持ちで準備した)

 幸いに15日の夕方から解熱して、そのまま解熱した状態で週明けまで経過した。ようやく炎症が治まってきたのだろう。

 

 高熱を除けば、程度としては中等症Ⅱのそれも軽度な方になってしまう。この程度でハラハラしていてもしょうがないのだろうが、当院(当方の)の実力ではこうなってしまう。

 当院と同規模の他の郡部の病院では、外科の院長がひとりで新型コロナの入院をみているそうだ。よくやっているものだと感心する。少なくとも度胸は当方よりはるかにある(大学の同級生)。

 

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