昨年春まで勤務した内科専攻医が、一昨年の症例をJ-Oslerに登録したので、評価・確認していた。
研修の後半はすっかり慣れて、診療は専門医レベルでまったく問題がなく、分野(脳神経)によってはこちらが感心するような内容だった。
その中に76歳女性の症例があり、発熱・炎症反応上昇が続いていた。肺炎はなく、あるとすれば尿路感染症かもしれないと判断された。抗菌薬(セフトリアキソン)を投与したが、反応はなかった。CRP15~20で推移していた。
頭痛(側頭部痛)があり、側頭動脈が経過中に硬結・怒張しているように見えた。造影頭部MRIで同部位に炎症像があり、読影レポートは「側頭動脈炎の疑い」とされた。顎跛行は認めず、視力障害もなかった。
患者さん自身はそれなりに元気なので、退院にしてリウマチ膠原病内科のある病院に紹介とした。(症例報告としてはここまで)
この症例はその後どうなったのか確認してなかった。今回確認すると、紹介した病院からの返事が来ていた。側頭動脈炎とは確定できず、経過をみたそうだ。炎症反応はしだいに軽快して、3か月後にはほぼ正常となっていた。そこで終診とされている。
現在は、高血圧症などで普通に当院に神経内科外来に通院している。あの発熱・炎症反応上昇は何だったのだろうか。側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)などの血管炎が自然に治ることがあるか?(約4か月の経過で)
これ症例はリウマチ性多発筋痛症(PMR)を示唆する症状はなかった。日常的にPMRを診ているが(現在は3名)、これも1~3年(当院は2年にしている)の治療で終了して、そのまま治ってしまう患者さんと、数年後に再発する患者さんがいる。発症した時と発症していない時の違いは何なのだろうか。
何かが引き金になって発症しているだけで、いったん治まるとそのまま経過するということなのか。