なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

転送した新型コロナウイルス感染症

2021年01月12日 | Weblog

 先週の水曜日に入院した新型コロナウイルス感染症の50歳男性は、入院後も39℃の高熱が続いていた。

 1月4日に発熱・鼻汁・咽頭痛で近くの内科医院を受診した。新型コロナのPCR検査を受けて、翌5日に陽性と判明した。感染経路は不明ということになっている。

 高熱が続くということで、6日当院の感染病棟に入院した。白血球5000・CRP1.1と炎症反応は軽度だった。胸部CTで両側肺野にごくごく淡いすりガラス陰影が散在していた。(淡すぎて放射線科の読影レポートでは指摘されていないが、当方と放射線科の技師さんはあると判断。)

 入院したのが発症4日目で39℃の高熱だった。酸素飽和度は正常域だったが、入院時からいやな感じはしていた。

 入院後も39℃の発熱が続き、1月9日(発症6日目)に画像を血液検査を再検することにした。白血球4300・CRP6.3と悪化はしていたが、これまで肺炎でデキサメサゾンを使用した患者さんたちよりは軽度だった。

 胸部CTは両側肺野にすりガラス陰影が顕在化して多発していた(入院時から多発はしていたが)。重症相当ではない。

 酸素飽和度が93%(室内気)で、食事を片付けるのに病室内を歩くと90%をきった。酸素吸入1L/分で開始したが、その日のうちに2L/分、3L/分と増加していった。

 県のウイルス感染症の本部に連絡した。その時点では中等症相当ではあるが、軽快するようすがまったくないことから、重症化した場合に対応できる病院に転送したい、と相談した。

 重症でないと搬送できないことになっていますと言われた。確かにそれはそうだった。それでも高次医療機関に連絡して、最終的には大学病院で診てもらえることになった。

 その日は無理で、翌10日に搬送と決まった。その日の夜も39℃の発熱が続いた。アセトアミノフェンも効かなくなっていた。高熱が継続して、精神的にも耐えられないという訴えがあった(大学へ搬送といわれたのもショックだろう)。夜間でもあり、デパス0.5mgを内服してもらった。少し寝られたそうだ。

 10日の搬送日は発症7日目にあたる。発熱39℃。酸素3L/分で酸素飽和度は保っているので中等症Ⅱ相当ではあるが、病状はまさに現在進行形(右肩上がり)だった。

 中等症相当で高次医療機関に搬送したのは、県内で初めてかもしれない。弱気な判断として非難されても仕方ないが、いよいよ重症化してから搬送の手配をするよりは、患者さんにとってはいいと思う。(感染病棟の看護師さんたちも、急変するのではないかと、かなり怖い思いで診ていた)

 

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