昨日は心不全の高齢女性2名が救急搬入されて循環器科に入院した。
87歳女性は20年前に大動脈弁置換術を受けた既往がある。慢性心房細動・慢性心不全があり、内科医院で利尿薬が処方されていた。昨年12月末から浮腫が増加して来ていた。
昨日は呼吸困難で救急搬入された。胸部X線・CTで肺うっ血水腫と・胸水貯留を認めた。BNP 991pg/mlと著明に上昇していた。
外来でフロセミド20mgを静注して、フロセミド20mg/日の持続静注が開始された(K保持性利尿薬のカンレノ酸カリウム=ソルダクトン静注併用)。血圧は140台で保っている。
糖尿病があり、DPP4阻害薬のトラゼンタ5mg内服でHbA1c6.7%と良好な血糖コントロールになっていた。糖尿病だけ考えれば87歳としてはこれだけで十分な治療になるが、心不全への効果を期待してSGLT2阻害薬(フォシーガ10mg)が開始されていた。
米国糖尿病学会2020年版診療ガイドラインによれば、心血管疾患・慢性腎臓病・心不全の既往または高リスクがあれば、HbA1cの基礎値や個別化目標値と無関係に、SGLT2阻害薬・GLP-1 受容体作動薬の処方を考慮とある。
要するに、現在のHbA1cがどのくらいであるか、どこまで下げるかに関係なく、糖尿病で心血管疾患・慢性腎臓病・心不全があればSGLT2阻害薬・GLP-1 受容体作動薬を処方する。
SGLT2阻害薬が使えるので、(軽症の)糖尿病もあるほうがよい?、ということになるのだった。